
「一目でわかるっていうのは大事にしていく」楪柚姫さん(前編)

●楪柚姫
Profile
美術系の高校を卒業後専門学校でイラストを勉強しました。
SNSを中心に活動し、看板制作のお仕事なども行なっています。
日常風景のワンシーンを切り取ったような動きのあるイラストを描いており、
光を感じるようなあたたかみのある温度感をぜひ見ていただきたいです。
色々な絵を描いてみて、一番楽しいもの

専門学校入学時の絵
—クリエイターを目指したきっかけはありますか?
楪柚姫:元々私はあまり絵を描くタイプじゃなくて外で遊んだりするタイプだったんですけど、中学生の時に腰を痛めて運動ができなくなっちゃったので、美術部に入ったのが一番最初のきっかけかなって思っています。
その美術部は本格的にデッサンをするとかじゃなくて、漫画やアニメの研究会みたいな感じで、そこで初めてアニメや漫画に触れて、絵を描く楽しさに気づいて絵を描き始めたっていう感じですね。
—お子さんの時からお絵描きしていましたというわけではなく。
楪柚姫:そうなんです。ずっと外で活発的に遊んだり転んだりするタイプの人間で(笑)
—中学生の時に美術部に入られて、キャラクターデザインやアニメなどを描かれていたのですか?
楪柚姫:美術部に入っていた友達がものすごく絵が上手くて、可愛い女の子を描いていて、楽しそう~!と思って真似しはじめて…って感じですね。
—そこから今、絵のお仕事をされているということは、中学生で初めて絵を描いてそこからつながっていると?
楪柚姫:そうですね。その時に比較的早く上達して、中学生から描き始めたけど中学校の後半には賞を頂けるようになっていました。それで美術系の高校に入って、高校の頃の先生に「こういう学校あるんだけど…」って薦められたのがデザインの専門学校でした。なので、絵を描き始めてからは一筋ですね。
—今現在、主に活動されてらっしゃる内容ってどんな感じですか?
楪柚姫:Twitterでイラストを投稿しつつ、関西コミティアなどに出展したりという感じですね。
—楪柚姫さんは女の子のデザインが多いと思うんですけど、いろんな美術の中からキャラクターデザイン・コミックデザインを選ばれたのは、もともと中学の時からお好きでずっと女の子を描かれていたからなのか、それとも何かのきっかけでそちらに向かったのでしょうか?
楪柚姫:いろいろ画風を変えていて。描き始めた頃はそれこそ友達が可愛い女の子を描いていたので、それに引っ張られて可愛い女の子をたくさん描いていましたが、高校に入って美術史に触れてみて、油絵がすごく好きになっていって。
印象派っぽい油絵だったり、ダ・ヴィンチやドガとかのダークチックでリアルな写実主義的な感じの絵画も実際描いていました。
そこから専門学校に入学して、アニメチック・漫画チックなイラスト表現を描くことが多くなって、やっぱキャラクターを描くのは楽しいな!となり、今の画風に落ち着いたって感じですね。
—最初アニメや漫画で出会ったところからずっと同じ絵ではなく、色々な絵を描かれていたんですね。
楪柚姫:もともと専門学校に入った当初は今みたいなタッチじゃなくて、厚塗りっぽい油絵っぽいイラストやキャラクターを描いていましたが、専門学校で学ぶにつれて線画をしっかり描いて、そこに塗りを重ねていって、みたいな感じの今の画風に落ち着いたかなって感じがします。
—これは自分に合うとか合わないという風に常にチャレンジされていらっしゃるんですか?
楪柚姫:結構いろんなものにチャレンジしていて、油絵・水彩画・アクリル絵の具とか、デジタルでもいろんなツールを試してみたりして、一番肌なじみの合うものは何かなっていうのを考えながらやっていたので、多分昔の頃の私を知っているTwitterのフォロワーさんとかは、すごく絵柄変わっているな~!って思っていらっしゃると思います (笑)
—そうですよね、油絵とコミック系の人物画って全然違いますもんね。油絵風のイラストも是非とも見てみたいですね。
楪柚姫:また描こうかな(笑)
インプットしたことはアウトプットし続ける

専門学校入学から8ヶ月後の絵
—この画風って決まったから過去の画風では描かない、みたいなことはないんですか?
楪柚姫:そうですね、常に新しいものを取り入れていこうかなっていうのは心の中にあって。私が小学生くらいの頃と今とでは、流行り廃りもありますしタッチが全然違ったりすると思うんですけど、厚塗りが最近また人気が出てきている感じがありますので、線画は残しつつも厚塗りっていう感じのも取り入れていけたらなって思っています。
—イラスト一つに対しても、表現に対しても、常にチャレンジされてらっしゃるんですね。新しい塗り方などはどういう風に学ばれているんですか?
楪柚姫:最先端を行っているイラストレーターさんのTwitterを眺めて、この人は人気だけど何が人気の秘訣なのかな~みたいなのを探していきながら、自分と違うところとかを比較していって、こういうところが違うな~っていうところから盗んでいく、って感じでやっていますね。
—常に流行りのクリエイターさんがどう売れてらっしゃるかとかどういう風に人気があるかとかを研究されてらっしゃるんですね。
楪柚姫さんの中では、描きたいものを描く、売れそうなものを描く、っていうのはどっちを意識されていますか?
楪柚姫:描きたいものを描くのは自分の中でできちゃうことではあるんですけど、Twitterとかで見せるっていうことを考えたら、自分の好きなものというよりはフォロワーさんの好きな傾向だったりとか、今流行っているもの、そういうのも描いてみようかなぁみたいなのもちょっと気にしたりしますね。
—チャレンジ精神が旺盛ですね。それは過去色々な事をなされているからかと思いますが。
楪柚姫:Twitterだと数字で見れちゃうんで。マーケティング的にも、もうちょっといいねもらえるやつは何かな~っていうのを探したりとかも、ちょっとしちゃいますね(笑)
—活動をされている中で、良かったことっていうのはありますか?
楪柚姫:実家はイベントとかと無縁なところなので、関西で初めてそういうイラストや作品の即売会に出店してみて、自分のフォロワーさんでない人でも自分の絵を見て、「この絵すごくかわいいね!」とか「好きです!」って言ってくれたのが一番心に残っていまして。Twitter上で褒めてくれる人も結構いらっしゃいますが、やっぱり友達付き合いというか、Twitter上の人脈のために言っているのかなというところもあると思うので、実際に会って「これ好きです」って言われたらすごい自分の中で嬉しくて。
それが一番活動を続けてきて、画力を伸ばそうと頑張ってきて良かったなぁって思いました。
—楪柚姫さんの画力を伸ばしたいっていう気持ちがすごく伝わってきます。
特に関節の描き方とかは観察して、すごく描きこまないと上手く
楪柚姫:そうですね、人間の関節とかって自分の身体をよく観察します。
違和感があったらすぐここおかしいなって気づかれちゃう部分ではあるので、そこはこだわっていきたいなって思ってものすごく練習していたのでとても嬉しいです。
—逆に、活動されていらっしゃる中で苦労されたことってありますか?
楪柚姫:やっぱり絵の不自然さって気になったらとことんこだわっちゃうんで、Twitterとかで自分からあまり発言というかツイートをしないんです。イラストだけ上げる、みたいな感じで。
自分の印象を残すことがなかなか難しいっていうことは、すごく苦しいと思います。
やっぱり自分のアピールやPRをどんどんしていかないと。
今絵を描く人達ってたくさん増えてきちゃって倍率が高いので、なかなか上に上がれないなっていうのはすごく感じていますね。