「人生はトライ&エラー」結琥さん

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絵を描き始めたのは20代から

―現在の活動内容について教えてください。

結琥:活動内容は主にSNSの更新と、展示関係です。とりあえず知ってもらわないと話にならないので、基本的に描いたらSNSに毎日あげるようにしています。

今は作品を制作して、ストックをため続けている時期ですね。

展示やライブペイントはどれぐらいのペースでしていますか?

結琥:ライブペイントは声がかかったら、自分の世界観が崩れないようなイベントであれば出させてもらっています。去年は5回くらいでしたが、今年はまだ2,3回しかできてないですね。

絵を仕事にしようと決心したきっかけや理由を教えてください。

結琥:遡れば長くなりますが、明確なのは2年前です。コロナ禍で当時の仕事が減った代わりに、描く時間が増えたんです。

絵はもともと描いていましたが、趣味程度で仕事にする気もありませんでした。たまにイベントに呼ばれたら出ていたくらいですね。もともとアパレルで働いていましたが、アクセサリー制作でやっていこうと思って2016年くらいに独立したんです。

片手間で絵も描いてはいましたが、当時はずっとアクセサリーや服を作ってばかりでした。

ただ、コロナ禍になって委託先の店舗が閉じるところが出てきて、売り上げがどんどん落ちていってしまいました。その結果、絵を描ける時間がかなり増えました。やっぱり絵は好きだったので、絵の道に振り切るためにこの状況になったんだと思って、思い切って絵を仕事にしようと決心しました。

絵は20代から描き始めたそうですが、10代や幼少期はそこまで描いていなかったのですか?

結琥:そんなに描いてないですね。もともとは女優になろうとタレント養成所に3歳からずっと行っていて、CMとかドラマとか出たりしていたんです。でも女の子は中学で顔つきが変わってくるそうで、一気に仕事がなくなって中学の時に辞めました。

何かを表現することが昔からずっと好きでしたね。

20代の頃に何か転機があったのですか?

結琥:なんでしょう、全然覚えていないです。専門学校に行ったのも絶対大学に行きたくなかったのが理由で、それも1年経たずしてやめちゃったので、そこでの学びとかはあまり記憶にないです。でもどこか絵の事が気になっていたんです。絵って面白いなみたいな。人生ってわかんないです。

あとは、20代の頃9年くらい勤めていた仕事を辞めて30歳でアパレルへ転職したことが私の中で凄く大きくて、全て今に繋がっている気がします。個性を尊重してくれる会社だったので、自分や周りへの考え方とかも成長出来て、私を変えてくれた場所です。あの転職がなかったら今の自分はないです。今でもその頃の仲間とは仲よくさせてもらっています。

私を変えてくれた周りの人たちには、本当に感謝しています。

自然と見つかった画風

自分の作品の方向性はどうやって決められましたか?

結琥:モノクロで描こうとか、こういう雰囲気でやっていこうみたいなのは一切なくて、自然とこうなった感じです。

20代の頃描いていた絵はカラフルで、蛍光色いっぱいな絵ばっかり描いていたんです。

でも30歳のときに大好きだった彼と別れたことをきっかけに画風が一気に変わったんですよ。そのころからモノクロになって今に至ります。

そのスタイルを継続されたってことは、しっくりくるものがあったんですか?

結琥:モノクロで描いていてすごく楽しかったんです。色をいっぱい使う絵だと何色使おうとか、この色使ったらおかしくなるなとか、頭で考えないといけない。それが苦手なので、モノクロだと制作がすごく速く進んで好きなものをいっぱいかけるようになりました。

アウトプットしやすいこのスタイルが確立されたのは大きいですね。

絵を描くにあたって大切にしていることや意識していることを教えてください。

結琥:絵の余白は絶対大事にしていて、描き込みすぎないようにしています。

ギチギチに描く絵とかも好きなんですけど、自分の画風的には余白があればあるほど綺麗に感じるんです。あと線の細さを気にしているのと、どの方向から見ても、ひっくり返しても成り立つ絵になるよう天地をつけない絵にしています。

余白を大事にされるのは役者のルーツがあるからかなと感じました。演技も間が大切じゃないですか。

結琥:大事ですね。確かにそういう面もあるかもしれない。

―作品に天地をつけないのは理由があるのですか?

結琥:その理由はないですね。絵を描いているとき、結構キャンバスをくるくる回して描く癖があって、ということはどこから見てもいいよなと思って天地をつけていないです。

こっちが上でこっちが下ですよって決めつけたくないというか。人物画じゃないんでなんか見る人にとって、自由に見てほしいというか、発見をしてほしいかもしれないですね。

影響を受けたクリエイターはいますか?また、どんな点で参考にされていますか?

結琥:一番好きな方が映画のエイリアンのデザイナーをされていたコンセプトアーティストのH・R・ギーガーさん。ギーガーは高校生のときから好きで、すごい細かいラインとかが、ずっと好きでした。

私は結構、金属が好きなんですよね。ギーガーの絵ってすごく金属感が強くて。線の細さとか曲線の美しさとかが好きです。

あと日本で言うと水木しげるさんの描く背景が好きなんです。もちろん、お化けとか妖怪もめっちゃ好きなんですけど背景が細かくて好きですね。

結構繊細なタッチで、モノクロの作品が多い方々ですね。

結琥:お二方は特にそうですね。

画力を上げるために実際にやったことやおすすめの勉強方法はありますか?

結琥:私は絵の学校を卒業したわけではなく、プロの知識みたいなのが正直ないので、描くしかないと思っていました。描いていくうちに、ミスしたと思ってもそれがいいなと感じて、ミスから学ぶことが多いです。

YouTubeで誰かの技法を学ぶとかしていなくて、描き続けるだけ。

あと、今まで描いたことのないものに描いてみることもありますね。今まで紙にしか描いてなかったけど、木やアクリルに描いてみようとか、これやったら面白いなとか。他の人を参考にするより、自分で見つけて試行錯誤していくのが好きですね。

現在、どうやってお仕事をとられていますか。また仕事が増えてきた際にどのような基 準でお仕事を選ばれていますか?

結琥:知り合いの方や友達からの紹介とか、インスタで見つけてくださってDMいただくとか、声をかけてもらうことが多いです。自分から仕事を取りにいくのは正直やってないですね。

今後は自分からも動いていきたいですが、信頼してる人からじゃないと、怖くて動けていません。それじゃ駄目とよく言われるんですけど、今のところこのスタンスは変えられそうにないですね。

作品制作にかかる時間はどのくらいですか?

結琥:ものにもよりますけど、そうですね。自分の気持ち次第っていうか、ノッているときなら1日や数時間で終わるものもありますし、何日かかっても納得いかないものもあるけど、基本的には2、3日で出来ています。

好きなことに蓋をしない

クリエイターとして活動する上で不安はありましたか?また、不安とどのように向き合ってこられましたか?

結琥:不安はもちろんありますが、自分の芸術的センスに関しては自信があるんで、それに関しては全然不安はないです。何かいいものを作る自信もあるし、いいものを描く自信もあるので、あとは金銭面ぐらいじゃないですかね。収入のアップダウンがすごいですから。それ以外はほぼないですね。自分の好きなことに蓋をする方が不安です。

今はすごく幸せです。

自分のセンスに自信を持てる人は多くないと思うのですが、結琥さんが自信を持てたのはいつくらいからですか?

結琥:そういう風に育てられたというか、父も母も自信のある人だったっていうのもあると思いますね。

絵を仕事にしていて良かったことと大変だったことを教えてください。

結琥:趣味にしているときは正直自分だけが満足すればよかったし、時間のある時に描くし、なんか全然気負いせずに描けたんですけど、仕事としてやっていくとなったらどうしたら人の心に響くものが描けるのかなとか、色々なことを考えるようになったことはいいなって思いますね。可能性を広げるチャンスですし、絵は紙に描くものって思っていたのでギターに描いたり、インテリアに落とし込んだりとか、いろんな可能性のあるジャンルであることを知れたのは良かったなって思います。

大変なことは金銭面だけです。それ以外は大変だと思ったことはないかもしれない。

最後に、今後の目標や展望を教えてください。

結琥:今までグループ展ばかりだったので、個展をやってみたいです。大阪か東京でやってみたいなって思っています。いつもは大阪メインで、東京はグループ展で1回行っただけなので気になってます。

個展は近いうちにやりたい気持ちが強いですね。

あとは原画以外にも壁紙とかにも興味ありますね。インテリアとかギターなどの楽器とか。ピアノとかバイオリンとか日常に落とし込むことをたくさんやっていきたいです。

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