色々な転換期を経て、流れでイラストレーターに…
―現在の活動内容について教えてください。
にへいみき:普段は企業さんからご依頼をいただき、そのご依頼に沿ってイラストを描く、という活動を主にしています。
具体的には、現在Webメディアのねとらぼさんから毎月の連載のような形で『隠し絵クイズ』というものを出させていただいていますね。
それ以外では、最近だと銀座コージーコーナーさんのバレンタイン限定ブランド「コスモリリック」のパッケージイラストを担当させていただきました。
あとは、昨年(2024年)あたりからデザインフェスタに出てグッズを作ったり、次の7月に東京の吉祥寺で個展を予定していたりと、色々オリジナルのものも発表していこうかなというところです。
―イラストレーターとしてお仕事をしようと決心したきっかけを教えてください。
にへいみき:元々、子供の頃から絵を描くのがすごく好きでした。
当時はそれを仕事にしようとは特に思っていなかったのですが…高校生の頃、進路に悩んでいた時に唯一「絵は好きだな」と思い、専門学校に行こうと考えたんです。
ところが、近くにあった美大予備校に行ったらそのまま美大を受験することになり、多摩美術大学のグラフィックデザイン学科に入りました。
そこからはデザイナーを目指して、卒業した後は、広告の制作会社に入社したんです。
でも、子供が産まれたり、自分が病気をしたりということもあり、会社は退社しました。
その後、空白期間…コロナ禍の頃に、ちょっと知り合いからイラストを頼まれることがありまして。
以降、イラストを描いたら他からも頼まれるようになり、流れでイラストレーターになってた、という感じです。
―なるほど、色々な転換期を経て、今に繋がっていらっしゃるのですね。では、ご自身の作品の方向性はどのように決められましたか?
にへいみき:クライアントワークに関しては、方向性というものがあまりありませんでした。
今でも、クライアントさんの意向に合わせた絵柄で描くこともあります。
でも、そうですね…
昨年11月のデザインフェスタに出た時、本を作ろうと思ったのですが、その本に載せる絵を描いていたタイミングで、ふと「ノスタルジーな感じにしたいな」と考えたんです。
それで結構、自分の絵は割とノスタルジックというか、改めて新しい感じの雰囲気ではないのかなと感じました。
昔は絵本を読むのが好きで、今だと映画を観るのがすごく好きなので、そういう物語などから引っ張られて影響を受けているのかな、と思うところはありますね。
あとはとにかく、花のモチーフが多いかもしれないです。
色に関しては、謎に自分に縛りをかけて描いていることがある
―作品を描くにあたって大切にしていること、意識していることがあれば教えてください。
にへいみき:色ですかね。
絵の中で結構いろんな色を使うのですが、明度は意識しています。
ガチャガチャしているけれど、ガチャガチャしないように見せたい、みたいな。
色数が多くても、明度を一定にしたりなど、共通点を作って仕上げていく感じです。
あるいは逆に、色数は4色や5色ぐらいしか使っていないけれど、その組み合わせや見せ方、重なり合いそうな場所などで多色に見せたり…とか。
そんなふうに、色に関しては、謎に自分に縛りをかけて描いていることがありますね。
―影響を受けたクリエイターさんはいらっしゃいますか?
にへいみき:すごく難しいのですが、特定の誰か1人というよりは、絵本や映画などたくさん見てきた作品の中から、無意識に要素を引っ張っているのかなと思います。
浮世絵なども好きで、構図や色をよく見ていたこともありますし…
昔の絵画やヨーロッパの絵画なども、いいなと思うものを無意識に覚えて、アウトプットしているのかなという感じですね。
ただ、とても好きな作家さん、という意味では、ティム・バートンがすごく好きです。
他にも、アンリ・ルソーとか。
特に意識しているわけではないのですが、もしかしたら受けている影響としては大きいかもしれませんね。
―では、作品のクオリティを上げるために意識していること、おすすめの方法などはありますか?
にへいみき:まずは美大受験のために、ものすごくたくさんデッサンをやった、というのは今の基礎になっているのかなと思います。
イラストレーターになってからも一度、講座を受けたこともあるんですよ。
描くための技法というよりは、イラストレーションの役割に主軸を置いた「どうやったら伝えたい内容を伝えられるか」といった内容のものでした。
あとはもう本当に、毎日の仕事の中での積み重ねでしょうか。
たくさん案を出したり、その案の中でも視点をちょっと変えてみたりと、試行錯誤を全力でやっています。
描くことを続けるために“自分の軸”を持っていたい
―現在は、どのようにお仕事を取っているのでしょうか。また、お仕事を受ける際の優先順位などもあれば、教えてください。
にへいみき:自分からの営業は、イラストレーターとして活動を始めた時はしたのですが、今はしていません。
現在は直接営業をする代わりに、イラストエージェンシーに入っていたり、たくさんイラストレーターを載せているサイトに登録して、絵を掲載させていただいたりしています。
あとはSNSにも載せているので、そこで見ましたという方からもご連絡をいただきますね。
お仕事の優先順位については…
基本は、断らないようにして、スケジュールに無理がない限りは、お受けしています。
今は、ご依頼いただいた順にお仕事をどんどん入れていって…という感じでしょうか。
後からご依頼が来ても、無理くり時間を作って、頑張ってやってしまいますね。
普段敢えて、自主制作の時間などをスケジュールに詰め込んでいるので、その『自主制作の時間』を忙しくなった時の仕事に充てている、という感じです。
―クリエイターとして活動する上で、不安などはありましたか。
にへいみき:そもそも長く続けられるのかな、という不安はありますね。
今はご依頼をいただいて描くことが多いので、自分一人で何かを作り上げることがしたくて、そういう部分もあってオリジナルグッズを作り始めた、という側面もある気がします。
何か、お仕事以外にももう一つ自分の軸を持っていたい、みたいな。
なので、常に将来への不安は抱いている感じはするのですが…
そういった不安は、どんどん新しいことを始めることで対処しています。
仕事の仕方の模索みたいな感じで、クライアントワークだけに留まらず、自分のグッズを作ってみるとか、個展をしてみるとか、コンペに出してみる、とかですね。
―では、絵をお仕事にしていて良かったと思うことを教えてください。
にへいみき:今年のバレンタインのために描いた、銀座コージーコーナーさんのお仕事では、すごくたくさんの方に見ていただけて…
「買いに行きました!」というお声もいただけましたし、一生懸命描いて良かったなと思っています。
気に入ってくれている方もいらっしゃるのがわかって、本当に嬉しかったですね。
―逆に、大変だと感じたことはありますか?
にへいみき:私は結構、腱鞘炎になってしまうんですよ。
子供がいるので、抱っことかのコミュニケーションなどで…元々ちょっと傷めていたところを、さらに悪化させてしまったりとかして。
忙しい時は休める時間がないので、ちょっとどうやってこれ以上痛めないようにしようか、というのが悩みどころですね。
筆圧も強いみたいで…頑張っても、軽く描けないんですよ。
なので、手首をどう守っていこうかな…というのが一番大変なところです。
―最後に、今後の目標や展望を教えてください。
にへいみき:直近の目標としては、オンラインショップを作りたいなと思っていますね。
イベントに出たときに欲しいけど日程が合わなくて行けなかったというお声も聞いたので、少しでも好きになってくれた方にお届けできたらいいなと思って。
時間が取れずにどうしようかな、とも思っているのですが、7月の個展までには作る予定です。
あとは…そうですね。
海外でのお仕事をしてみたい、という願いはあります。