「想いや内容を優先させたお仕事をしたい」tabiさん

index

絵だからこそ、日常の中にペンギンがいてもいい

―現在の活動内容について教えてください。

tabi:現在は、広告・挿画などのお仕事を中心に活動しつつ、SNSなどで自主制作の絵を上げたりしています。
個展なども、画集の出版記念にあわせておこないました。

現状はクライアントワークの比率が高く、出版社のお仕事が一番多いです。
その次に多いのが広告関係ですね。食品系やアパレル、ゲーム関係などが主です。

―イラストレーターとしてお仕事をしようと決心したきっかけを教えてください。

tabi:現在のSNSアカウントでの活動は2018年からで、最初は趣味で描いた絵を載せようと思っていました。
そもそもの始まりは、当時住んでいた北海道で開催される、イラストやハンドメイドのイベントに、描いた作品のグッズを売ったりしたことです。

そうして絵の公開を始めて1~2年ほど経った頃から、お仕事をいただけるようになって。
そのあたりから、本格的にクライアントワーク中心で仕事をしていこうと決め、色々と挑戦していきました。

―ご自身の作品の方向性は、どのように決められましたか?

tabi:2018年頃、アカウントを作った当初は結構、試行錯誤をしていました。
当時はまだ、それほど人物や背景を描いておらず…ペンギンやシマエナガ、白くまなどの動物と、スイーツを一緒に組み合わせた雑貨系のイラストをよく描いていたんです。

でも、背景ありの絵も描くようになってからは「日常の中にペンギンがいても、別に絵だからいいよな」と思い、そこから大好きなペンギンを登場させるようになりました。
最初は猫ちゃんなども一緒に描いていました。
動物が好きで、そもそも『動物と人間とセット』みたいな絵を描いていたんです。

色合いに関しては、印象派の画家などが好きなので、そこから影響を受けていますね。
質感やタッチなどは…特にくまおり純さんや、しらこさん、しまざきジョゼさんの雰囲気がすごく好きで、憧れがあって。
自分でも色々と試行錯誤しつつ、線のない感じのタッチになっていきました。

想いや感情が伝わる絵を描く、ということが一番大切

―作品を描くにあたって大切にしていること、意識していることがあれば教えてください。

tabi:その時に伝えたいと思っていることや、「こういう気持ちになって欲しいな」という想いが伝わるような絵を描く、ということを一番大切にしています。

見てくれる人が癒されたり、幸せな気持ちになれるような絵を描きたい、という想いが強くあるんです。
お仕事ですと、オーダーとして「こういうふうに打ち出していきたい」みたいな部分があったりするので、それとも併せて、になるのですが…
感情が伝わるのが一番だな、と思っています。

もし言語化できるほどの感情ではなかったとしても、「最近暖かいな」と思ったら、ちょっと暖かい光や色の絵にする、とか…
「寒いけど、この寒さはちょっと感傷的だな」と思ったら、その要素を入れる、とか。
そういう感じのことは、毎回していますね。

―影響を受けたクリエイターさんはいらっしゃいますか?

tabi:高校は美術科にいたのですが、当時からよく過去の画家について学んでいました。
そこから展示を観に行ったモネやゴッホなどには、主に色彩などの影響を強く受けています。
タッチに関しても、細かく描きすぎないというか、リアル系ではない、という点でも、すごく影響を受けていると思いますね。

イラストレーターさんで言うと、先ほども挙げた、くまおり純さん、しらこさん、しまざきジョゼさんからすごく影響を受けています。

色合いなどもそうですが、質感やタッチ、それから光や空気感がすごく好きで、そもそもファンだったイラストレーターさんなんですよ。

なので、今も大好きです。

―なるほど。ちなみに印象派の画家の方々に関しては、好きになったきっかけのようなものは、何かあったのでしょうか?

tabi:高校1年生の時だったと思うのですが、学校からの課外活動として美術館に行ったんです。
その時、授業の一環で、作品や作家に対する感想を書いて提出する、という課題が出たんですよ。

ちょうどゴッホの展示か何かをやっていたタイミングで、その時にすごく「いいな」と感じて…
力強さもありつつ、やわらかさや、光などが印象的な絵が多いな、と胸を打たれました。
その後、印象派展などにも行ったりして、好きな画家がどんどん増えていって「あ、印象派時代の画家さん、すごく好きだな」と。
個人的に画集を買い集めたり、展示を見に行ったりして、さらに惹かれていきました。

―では、作品のクオリティを上げるために意識していること、おすすめの方法などはありますか?

tabi:今は昔に比べると、イラスト系の講座や本もたくさん出ていますし、オンライン講座やYouTubeなどもあるので、すごく幅広くいろんなことを学べると思うのですけど…
私は、最初にすごく影響を受けた本たちがあるんです。

『カラー&ライト~リアリズムのための色彩と光の描き方~』
『配色スタイルハンドブック』
『Visionストーリーを伝える:色、光、構図』
『いちばんやさしいパースと背景画の描き方』
『ネイサン・フォークスが教えるランドスケープ水彩スケッチ (光と空気、印象を1時間でとらえる方法)』

などですね。これらの本ですごく勉強した、というのが基盤としてあります。

あとは、やっぱり画家の画集はよく集めていたので、それを見ながら模写をしていましたね。
色の構成や構図などを意識して、色々スケッチしてみたりとか。
そういったことは、おすすめです。

風景を描く方であれば、そういった画家の本が参考になると思いますし、キャラクターイラストを描く方であれば、好きなイラストレーターさんの絵を見ながらでも良いと思います。

他には、デッサンやクロッキーもよくやりましたね。
人物を描くことに、実は今も苦手意識があるのですけど…当時からあまり得意ではなかったので、クロッキー、デッサン、30秒や1分のドローイングなどは、クロッキー帳に描いてやっていました。

色々な応援の声で、不安を乗り切っている

―現在は、どのようにお仕事を取っているのでしょうか。また、お仕事を受ける際の優先順位などもあれば、教えてください。

tabi:基本はSNSを窓口に、ホームページなどからメールをいただいてお仕事することがほとんどですね。
なので、SNSはしっかり活用・運用していかないといけないなと思っています。

忙しくなってきた時にお受けする仕事の基準に関しては…
依頼の方向というか、「こういうものを作りたいんだ」「こういうものを展開したいんだ」という想いが強く伝わるものだったり、私自身が「この仕事すごく素敵」と思ったり、興味を惹かれたものを重点的にお受けしていますね。
「こういうのに携わりたい!」と思ったお仕事を優先的にしています。

―クリエイターとして活動する上で、不安などはありましたか。

tabi:不安は、すごくありますね。
やっぱり収入が安定しているわけではなく…固定給ではないので、その辺りをどうやっていこうかな、というのは今も思っています。

でも、発信し続けることでその不安を解消しているというか…
やっぱり色々発信することによって、感想をいただけたり、喜んでいただけたりするっていうのが、すごく励みになっていますね。
そのお気持ちがありがたいなと。色々な応援の声で、乗り切っています。

―ありがとうございます。先ほども、SNSでの発信を大切に考えていらっしゃるとおっしゃっておられましたが、絵を上げるペースなども意識していらっしゃるのでしょうか。

tabi:これまでは、どちらかというとランダムでした。
毎日のように上げている時もありましたし、昨年や一昨年などは、画集を出すための作業もあり、仕事もありで、あまり自主制作の絵は上げられなかったんです。

でも今年からは、最低でも月1で絵を上げていこうと決めて、今取り組んでいるところです。

―では、絵をお仕事にしていて良かったと思うことを教えてください。

tabi:やっぱり、喜んでくれる人がいっぱいいる、ということですね。
クライアントワークもそうなのですが、個人の方からも依頼を受けた時や、個展で販売などをした時は感想もいただけて、それがやっぱり嬉しいです。

あとは、パッケージの仕事や装画のお仕事をした時は、元々憧れていた仕事だったので、めちゃくちゃ嬉しかったです。自分の描いたものがお店に並んでいるのを見た時は、「並んでる!」って実感できて…
現実にあることに、本当に感動しました。

―逆に、大変だと感じたことはありますか?

tabi:体調管理ですね。体が資本なので。スケジュールも不測の事態に備えて組んでいかないといろいろな方にご迷惑をおかけしてしまうので…。

―最後に、今後の目標や展望を教えてください。

tabi:個展や展示会に出すことを増やしていきたいなと思っています。
最近、アナログ絵も久々に描いているので、どんどんそういう原画なども発表する機会があればいいなと考えているところです。

あとは、夢というか目標というか…やっぱり動物が好きなので、動物や水族館など、そういう場所と関われるお仕事ができたら嬉しいなと思います。

SHARE
  • URLをコピーしました!
index