「自分が「面白いな」「可愛いな」と思ったものを、作品を通じて共有したい」かなえさん

index

周囲の言葉が、作品の方向性やこだわりの原点になった

―現在の活動内容について教えてください。

かなえ:関西を中心に、クリエイターのイベントに出展しております。
他のイベントと重ならなければ、関西コミティアには年4回、すべて出すようにしていますね。

あとは、時折ご依頼をいただいた時にクライアントワークもお受けしつつ、SNSで作品を発表することが、一番主な活動内容になっています。

―イラストレーターとしてお仕事をしようと決心したきっかけを教えてください。

かなえ:元々、子供の時から絵が好きでしたから、本当に小さい頃から描いていました。
とはいえ、結局それを仕事にすることもなく大学を卒業しまして、絵とは全然関係のない会社に就職をしたんです。
でも、今から10年ほど前、新卒で入った会社では、夜勤などがあったことも祟ってか、体力的にもきつく、挫折をしてしまいまして…
その時に、何かもっと自分の好きなことだったら、もう少し頑張れたのかな、と思ったことがきっかけで、絵を仕事にしていこうかなと考えました。

―なるほど。では、学生時代には結構絵を描き続けていらっしゃったのでしょうか。

かなえ:そうですね、趣味として描いていました。
でも、特にSNSへの投稿などもしておらず…
絵とは関係のない部活に入っていたのですが、そこで使うようなポスターを描かせてもらったり、ということをしていたくらいです。
学生時代も、お仕事に繋がるようなことは何もしていませんでしたね。
大学も経営学部でしたから、本当に絵とは関係のない普通の企業に就職していました。

ただ、新卒で入った会社を辞めた後に、専門学校に行ってみたりはしましたね。
どちらかというとデザイン系の専門学校で、イラストもアート系の授業だったのですけど、社会人向けのコースがありましたので、そこに行ってから本格的に活動を始めるようになっていった感じです。

―ご自身の作品スタイルや方向性については、どのように決められましたか?

かなえ:恐らく、過去に周りの方から言っていただいた言葉がきっかけになったのかな、と思っております。

自分の方向性を考えて、自分が描けそうなものなどを分析している時に、思い出した言葉がいくつかありまして…
以前、私が描いた作品を見て「あなたの絵って可愛いだけじゃないよね」「ちょっと毒気があるね」と言ってくれた方がいたんです。私自身は全然そんなつもりがなかったので、それがすごく印象的だったんですよ。
あとは学生の時、友達が「デフォルメ描くの上手ね」と言ってくれたこともあって…
そこからデフォルメ絵に凝ってみようと思うようになったというか、デフォルメが、自分にとってこだわりたいポイントになったかなと感じています。

女の子や動物を描くことが多いのは、もう本当に好きだから、という感じですね。

自分の手癖や、無意識のルールを分析する

―作品を描くにあたって大切にしていること、意識していることがあれば教えてください。

かなえ:まずは、綺麗な線を描くことですね。
自分が見ていて気持ちいい、というのがあるのですけど、なるべくそれを意識しています。
綺麗な線を描けるよう、スケッチブックにひたすら丸などを描いてみたりもしましたね。
手を綺麗に動かせるようになったらいいかなと思って、柔軟運動ではないですが、たくさん描きました。

あと私は、絵の配色とかコントラストをつけることが元々苦手なので、その点も意識して気をつけています。

―コントラストや配色が苦手とのことですが、その辺りも勉強されたのでしょうか。

かなえ:ポスターなど、既に配色やデザインが出来上がっているものを見て、とにかく配色パターンを自分の頭に叩き込みました。
カラーコーディネートやカラーチャートの本なども読んで、組み合わせを覚えるようにしましたね。

―ありがとうございます。では、影響を受けたクリエイターさんはいらっしゃいますか? 

かなえ:最初に影響を受けたのは、『パワーパフガールズ』というアニメですね。
子供の時に放送されていて、家に絵本などもあったのですが、真似して描いたりしていました。それが、今の作風のきっかけかなと思います。

それから中学生くらいの頃、『pop’n music』というゲームの絵にすごくはまりまして…
線が太くて、色もカラフルでポップで、情報が整理されている絵というのでしょうか。それがすごく、自分にとって興味深かったんです。

ですから、恐らくこの2つの作品が、今の自分の絵に繋がっているのかなと思っています。

―画力や作品のクオリティを上げるために意識していること、おすすめの方法などはありますか?

かなえ:先ほどお答えした、スケッチブックに線を引く練習をするような時、自分の手癖などを自分なりに分析することがあります。
「こういう線を描くのは苦手だな」とか、「無意識だとカクカクした線が苦手だな」とか。
私は恐らく、手癖で描くと線が丸くなってしまうんですよ。
他にも、線の太さなども、線画を描く時は大体これぐらいのサイズだなとか。あとは、キャラクターの枠を太くしたりするのですけど、それは大体2倍ぐらいの太さの線で描いているな、とか。
そういった部分を分析して、自分の持っている絵のルールみたいなものを見つけることが、私にとっては勉強になっているのかなと思っています。

―分析って本当に大切ですよね。ちなみに、何故分析を始めてみることにしたのかや、かなえさんの思う分析のメリットは、どういったものがあるのでしょうか。

かなえ:自分は、そんなにめちゃくちゃ賢いわけではありませんから、本当に何となく、みたいなレベルなのですけど…
分析をすれば、自分の中にあるルールが見えてきますから、そのルールをユーザーの方に喜んでもらえる感覚や需要と擦り合わせやすくなったりはするのかな、と思うんです。
そこが、一番のメリットでしょうか。

分析を始めたのは…そうですね。
私は元々、他の方の作品を見て、具体的に自分が気に入っているところはどこなのだろう、とか考えたりするのが好きなんですよ。
ですから結構、子供の頃から、そういうふうに考える癖がついているのかもしれませんね。

苦しい時、しんどい時は、とにかく睡眠を取れば何とかなる

―現在は、どのようにお仕事を取っていらっしゃるのでしょうか。

かなえ:今はそれほどたくさんご依頼を受けているわけではないのですが…
イベントで出展した時にグッズを購入してくださった方や、X(旧Twitter)などで興味を持ってくださった方から、ご依頼いただくことが一番多いですね。
やっぱり、SNSで発信している部分が大きいかなと思います。

―クリエイターとして活動する上で、不安などはありましたか?

かなえ:本格的にイベントなどへの出展を始めて、今(2025年現在)、大体4年ぐらいになるのですけど…
まだ別に経済的な自立をしているわけではなく、アルバイトをしながらの活動で、ゆっくり進んでいる状態です。
ですので、まだあまり不安を感じるほどに進んでいないのかな、という気もするのですが、やっぱり絵を描く人間としては、自分の作品が誰かの目に留めてもらえるか、という部分が不安ではありますね。

―では、絵を仕事にしていて良かったことを教えてください。

かなえ:イベントなどに出展すると、自分の作ったものに直接みんなから反応をもらえるのが嬉しいですね。
SNSなどでもそうなのですが、自分が「面白いな」「可愛いな」と思って作ったものを相手と共有して一緒に楽しめることが、絵を描いていて一番良かったことだと思います。

―逆に、大変なことはありますか?

かなえ:何を描くか、思いつかない時が一番苦しい瞬間かなと思います。
ぱっと出てくる時もあるのですけど、ちょっと体がしんどかったりするだけで、すぐには出てこない時もありますから、それが一番大変だなと。
でも、そういうしんどい瞬間を乗り越えれば、また何か新しいものが生まれてくる気がしているんです。なので、何も思いつかなくても、なるべく体調を整えながらその時の自分を受け入れて、乗り越えていきたいなと思っています。

―ありがとうございます。ちなみに、描きたいものが思い浮かばない時の対処法などは、何かあるのでしょうか。

かなえ:基本は、とにかく睡眠を取れば何とかなるかなと思っています(笑)
もう全てを置いて、一旦寝ます。

―それでは最後に、今後の目標や展望を教えてください。

かなえ:1番強く思うのは、やっぱり自分が「可愛い」とか「面白いな」と思ったことを、作品を見てくれた方や、作品をお迎えしてくれた方と、共有したいということですね。
あと、私はステッカーが好きで、今のイベント出展もステッカー販売が主流ですから、もっといろんな面白いステッカーをいっぱい広げて、作っていきたいなと思っています。

現在販売中の
かなえさんの新着グッズ

SHARE
  • URLをコピーしました!
index