Z世代の子達へのリスペクトを込めて、作品を描いている
―現在の活動内容について教えてください。
ディンブラ:女の子を中心にしたイラストを描いて、コミティアにイラスト本やグッズを持って行くことをメインに、別名義では成人向けの漫画を描いています。
SNSでは、特にMisskey.ioへの投稿が多いかなと思いますね。
イラストを描くこと自体は長く続けていて、初めてSNSに投稿したのはもう10年ぐらい前になるでしょうか。
そこから、イベントなどへの参加を始めたのが、恐らく5年ほどくらい前だったかなと思います。

―では、現在の活動をお仕事にしようと決心したきっかけを教えてください。
ディンブラ:絵は幼い頃から描いていて、得意なことと言えば絵を描くこと、という感じでした。
そんな中、絵をお仕事にしようとしたきっかけみたいなものは、特に何かがあったわけではなく…自分は絵が描けるから、みたいな感覚だったように思います。
学生時代は、普通科の高校に行きながら美術系の予備校に通っていました。
ただ、本当は美大に行きたかったのですが、諸々の事情により行けなくなってしまい…
結果として、一番初めは、ゲーム会社に就職したところからのスタートでしたね。
ゲーム会社であれば、いきなりフリーランスでやるよりも、ハードルが少し緩和されるかなと考えまして。
それで、アートディレクションをメインにする3Dデザイナーとして入社して、数年したら会社を変えて…という感じのことを何年か、転々としていました。
ですが、ちょっと病気を患ってしまい、会社を辞めまして…
その後は、フリーターとしてアルバイトをしていたんです。
しばらくその生活を続けた結果、時間が経つにつれて病気のほうはだいぶマシになってくれたのですけれど、ただ、そこからまたゲーム会社に入るのは大変だよなと。
でも、自分は絵が描けるし、逆に言えばこれしかできないぐらいの気持ちもありましたから、活かしたいよな、と。
そこで、3年ほど前、今度はフリーランスとしてイラストレーターの活動を始めました。
そもそも一番やりたかったのがイラストレーターなんだし、という気持ちで、今は売れっ子イラストレーターになれるように努力をしている最中、というところです。
―ご自身の作品スタイルや方向性については、どのように決められましたか?
ディンブラ:それこそ、ここ2~3年くらいのお話なのですけど、ちょっと大きく作風が変わったんですよ。
今は、結構ポップでかわいい系のスタイルになっていますが、それまではエモーショナルな感じの、ちょっと寂しいような、悲しいような…という作品をずっと描いていたんです。
でも、ある時、TikTokなどでインフルエンサーの子達のアカウントをたまたま見る機会がありまして。
そこで、いわゆる地雷系や、天使界隈と呼ばれるファッションの子達が踊ったり、わちゃわちゃしたりしている動画が、「あ、可愛い」と胸の奥に刺さったんです。
そうして色々と見ていく内に、いわゆるZ世代の子達の考え方や生き様みたいなところが、僕にはとても格好良く感じられまして。
結果、リスペクトを込めて今の作品を描いている、という感じですね。
今メインで描いている金髪のショートカットの女の子も、そういった過程で生まれました。

以前は自分の中に「格好いい」「可愛い」などを測る物差しがなかった
―作品制作にあたって大切にしていること、意識していることがあれば教えてください。
ディンブラ:絵を描き始める前に、頭の中で決めすぎない、ということでしょうか。
一般的には、設定やコンセプトを一番初めに考えたりすると思うのですが、僕はそういった部分も含めて、余白や偶然性みたいなものを残しておきたいな、と考えているんです。
描き進めている間に偶然ひらめきを得たら、あるいは、たまたま生まれた色が格好いいかもと感じたら、それらを活かす方向性にぱっと変えてしまう。
それでもいい、という作り方を敢えてしているのですが、それが僕にとってはすごく大切なことですね。
がっつり決めて固めてしまう、というのが、僕には合わないんだと思います。
―では、影響を受けたクリエイターさんはいらっしゃいますか?
ディンブラ:serial experiments lainのキャラクター原案などで有名な安倍吉俊さんと、漫画家の鳴子ハナハルさん、それからイラストレーターの中村佑介さんですね。
安倍吉俊さんと中村佑介さんに関しては、がっつり世界観などの影響を受けています。
特に安倍吉俊さんは、エモーショナルで暗い雰囲気の作品が多いのですけれど、僕が作風を変える前は、よく参考にさせていただいていました。
デザイン的な表現や、ポップな色使いなどは、中村佑介さんを参考にさせていただいて、あのエッセンスを取り入れたいなと意識していますね。
鳴子ハナハルさんに関しては、キャラクターのデフォルメ加減などを参考にさせていただくことが多いです。
それと、鳴子ハナハルさんの描かれる絵のシチュエーションがいつもすごく可愛くて、そういう点をオマージュしたいな、という想いがありますね。
あとはもう、画力。これに関しては参考にできるものではありませんが、描き込みだとか、緻密に描かれている様をリスペクトして、自分の作品にも取り入れたいなと思っています。

―画力や作品のクオリティを上げるために意識していること、おすすめの方法などはありますか?
ディンブラ:人ってそれぞれに、「これが美味しいんだ」「これが可愛いんだ」「美しい・綺麗なんだ」と判断するための物差しがあるじゃないですか。
でも僕は思春期の頃、自分の中に、そういった物差しがなさすぎたことがコンプレックスでした。
皆が言っている格好いいって何なんだろう、皆が言っている可愛いとかって何なんだろう、と。
それらを感じられるものが僕の中には全然なくて、全くわからなかったんですよ。
なので、そのコンプレックスを解消したいがために、日常で見つけたあらゆるもの…広告でも何でも良いのですけれど、それらを頭の中でどんどん比べるようになりました。
これとこれは、どっちが格好いいんだろう、どっちが綺麗なんだろう、みたいに。
そうやって、「こっちのほうが格好いいかも」「こっちのほうが可愛いかも、綺麗かも」みたいな感覚をどんどんどんどん構築していくことで、自分の中の物差しも育っていって、見る目を養えたというか…それが、今になってもすごく役立っているなと思っています。
元々が絵を上手くなりたいがために始めたものではありませんでしたが、結果として一番、やって良かったと思っていることですね。
手を動かしている瞬間は、とにかく楽しいし、救われる感じがする
―現在は、どのようにお仕事を取っているのでしょうか。また、お仕事を受ける際の優先順位などもあれば、教えてください。
ディンブラ:現在は基本的に、メールなどで営業をかけているのが主で、継続してやっていることですね。
もし今後、仕事が増えてきた時に優先順位が必要になった場合は…
スケジュールを見て無理がない範囲で、という前提ではあるのですけれど、やっぱり楽しめるかどうかで選ぶかな、という気がします。
もしスケジュール上、片方しか選べなくて二択みたいになってしまった時は、より楽しめそうなお仕事を取らせていただくと思いますね。
―クリエイターとして活動する上で、不安などはありましたか?
ディンブラ:まだまだ駆け出しの身なので、不安は尽きないのですけれど、やっぱり一番ネックになってくるのは、金銭面だなと感じますね。
ただ、確定申告って収支が見えるじゃないですか。今年は、成人向けの漫画も含めてにはなりますが、ようやくプラマイゼロぐらいになれたのが目に見えまして。
今までは貯金を切り崩しつつ、折々でバイトを増やしたりしつつ、という感じだったのですけれど、それがクリエイターの活動だけでプラマイゼロになれたことを実感できたので、良かったなと思いましたね。
不安が解消できたということではないのですけれど、自分の成長を実感できたという面では、ひとつ安心できたかな、と感じられました。
とはいえ、常にギリギリで生きている感覚はあります。
それでも目を逸らさず向き合って、ギリギリである様を自分で認識しつつ、絶妙に転がり落ちないようにバランスを取っている気がしますね。
そういったバランスを取るためにも、年に1回の確定申告による答え合わせだけでなく、友達と遊んだり、月1くらいでシーシャを吸いに行ったりして、リフレッシュしています。
絵描き友達3人くらいでシーシャを囲んで、各々タブレットなどを持ち込んで絵を描きながら「この1ヶ月どんなことあった?」「あのアニメとか映画とか面白かったよね」みたいに何でもないことを話す、という。
他にも、紅茶やコーヒーを、ティーポットに茶葉から淹れたり、ペーパードリップで淹れたり、という趣味もあるので、その辺りで折々にリフレッシュすることで、不安とも向き合えているのかなと思います。

―ありがとうございます。では、今の活動をしていて良かったと思うこと、大変なことをそれぞれ教えてください。
ディンブラ:良かったことは、もう「楽しい」ということ一択ですね。
アイディアを練っている時も、実際に作業している瞬間も…手を動かしている瞬間は、とにかく楽しいし、何だかちょっと救われている感じがします。
大変なことは、やっぱりスケジュール管理と、気力やモチベーションのキープでしょうか。
これは結構、今の課題にしていますね。
気力とモチベーションのキープって、作業時間にほぼほぼ直結してくるじゃないですか。いかに長く作業して、効率よく仕事を進めていくか、という。
なので、作業環境を家の中にいくつも作る、ということをやっています。
僕はタブレットで絵を描いているので、場所を問わないんですよ。
だから、家の中に作業用の椅子を複数設けて、折々で環境を変えています。
特に椅子は色々買って試しましたね。
ちょっと場所と椅子を変えることで、マンネリというか、平坦にならないようにして、どうにか乗り切る、という感じで。
以前は3か所くらい作ったのですが、今はベランダと室内の2か所を使い分けています。
ベランダで作業をし始めたのは本当に最近なのですが、僕の中で今一番効果を感じていますね。
あと、僕はちょっと腰が弱いほうなので、痛いなと思ったら必ずストレッチをするようにしています。
特に腰に効くストレッチって、太ももやお尻のほうの筋肉を伸ばすといいらしいので。
痛くなくても、ちょっと滞ったな、疲れたな、という時も20~30分かけて、ゆっくりゆっくりストレッチしていますね。

―それでは最後に、今後の目標や展望を教えてください。
ディンブラ:第1目標として、商業で画集を出してみたいですね。
好きなイラストレーターさんとかが画集をバーンと出していらっしゃるのを見ると、すごく羨ましいなと感じるので、僕も出してみたいです。

