『色々なモノ』を描きたくて、なかなか自分のタッチや方向性を定められなかった
―現在の活動内容について教えてください。
つゆこ:現在はクライアントワークを中心に、紙物や雑貨などオリジナルのグッズ制作、あとはグループ展への参加などをおこなっております。
クライアントワークはこれまでに、書籍関連のカットイラストやカバーイラスト、あとはステーショナリーなどの雑貨のイラストをいくつか担当させていただきました。
本を含め、文具など、日常使いしていただけるようなアイテム関連のお仕事が多い感じですね。
―では、現在の活動をお仕事にしようと決心したきっかけを教えてください。
つゆこ:絵を描くこと自体は幼い頃からすごく好きで、ずっと描いていました。
ただ、元々は、別のお仕事をしていたんですよ。
でも一時期、色々な事情により、お仕事をお休みする期間がありまして…
その時に、やっぱり描くことが好きだし、絵を仕事にできたらいいなと思うようになって、始めてみることに決めました。
それが大体今から15年くらい前、2011年頃のことです。
当初、まずはグループ展への参加やポストカードの委託販売などから始め、そこから少しずつ発表の場を広げていった感じですね。

―ご自身の作品スタイルや方向性については、どのように決められましたか?
つゆこ:私は元々、『色々なモノ』を描きたい気持ちが強くて、なかなか自分のタッチや方向性を定めることができなかったんですよ。
描きたいモノがわからなくなってしまうことも何度かあって…
でも、その度に自分の描いてきた作品を見直したり、周りの人に「私の作品のどこが好きか」を訊ねて意見をもらったりしていたところ、その中で「ここは共通しているんだな」と感じられる部分が見つかったんです。
それが「すっきりしている」という部分と、「アナログで描いたような雰囲気がある」という部分でした。
私はゆるい線を描きたくても、どうしても常に線を整えてしまう癖があるので、そういった点を掛け合わせていくのがベストなのかな、と考えるようになっていきました。
なので、未だにちょっと悩みつつではあるのですけれど、それらを自分らしさとして伸ばすべく、意識するようになりましたね。
結果として今の、すっきりとしたシャープな線でありつつ、ちょっとテクスチャーを入れて温かみを持たせるような形、というスタイルの確立に繋がっています。
PC端末でのデジタル制作というスタイルについては…
過去に1年間、イラスト関係の専門学校に通ったことがあり、
そこでデジタルイラストを学んで以降、主な作品はデジタルで描くようになりましたね。
当時はまだクリスタとかも全然ありませんでしたから、学校で教えてもらったPhotoshopを現在も使っていて、他にも今はAdobe Frescoなど、よりアナログ感が出しやすいものも取り入れています
―なるほど。ちなみに、季節などに合わせて色々だと思うのですが、その中で動物や人以外の物がメインになる作品が多い形に行き着いたところには、理由などございますか。
つゆこ:そうですね…動物については、ライン(輪郭)など、不思議な形が私は好きなのかなと思っていまして。
例えば鳥の中でも、すごくクチバシが大きなオニオオハシなど、ちょっとバランスの面白いものとかが好きなんですよ。
なので、そういうものを描いていたら、自然と動物が多くなっていきました。
あとは、可愛いモチーフが好きなので、ちょっと日常に添えたい可愛い物を描くことも多いですね。

暗い中にも、明るさや希望を感じられるイメージを大切に
―作品制作にあたって大切にしていること、意識していることがあれば教えてください。
つゆこ:自分自身が、楽しい時はもちろん、しんどい時やつらい時にも、誰かのイラストから力をもらうことがたくさんあるんです。
なので、そんなふうに誰かの心に寄り添えるようなものを描けたらいいなと思っていますね。
それから、『夜』をテーマに描くことも多いのですけれど、ただ暗いだけではなく、暗い中にちょっと明るさや希望を感じられるようなイメージを大切にしたいな、と意識しています。
―では、影響を受けたクリエイターさんはいらっしゃいますか?
つゆこ:たくさんのイラストレーターさん自身や、その作品に影響を受けているとは思うのですけれど…
特定のイラストレーターさんというよりは、本当にたくさんの、これまで見てきたいろんなものの影響を受けながら、今の表現になってきたのかなと思います。

―画力や作品のクオリティを上げるために意識していること、おすすめの方法などはありますか?
つゆこ:個人的には、モノをよく観察することかな、と思っています。
実際によく見て触って、仕組みをよく確かめてみて、そこから始めるのがいいのかな、と。
それから、私はまずデジタル制作に入る前に、鉛筆で紙に描いてから、という段階を踏んだほうがスムーズにいく感じがしているんですよ。
なので、手に覚えさせるというか、そういう行動を取ってみるのもおすすめかなと思います。
表現の幅を広げながら、『作る楽しさ』の原点に帰ってみたい
―現在は、どのようにお仕事を取っているのでしょうか。また、お仕事を受ける際の優先順位などもあれば、教えてください。
つゆこ:最近は基本的にWebサイト、もしくはSNSからご連絡いただくことが多いですね。
あとは、企業さんや出版社さんのホームページを拝見して、そこからポートフォリオを送らせてもらって、ということもたくさんしています。
そういった営業に関しては、今の活動を始めた時から続けていますね。
まずはとりあえず、知ってもらうところからなのかなと思っていましたので…
当時は今ほどWebで受け付けてくださるところも少なかったと思うのですけれど、調べてみて、送っていいよと書いてくださっているところに送ったり、他には電話で尋ねてみたりしつつ、送らせてもらっていました。
優先順位に関しては…
今まで、タイミングなどがすごくいい感じにお仕事をいただいていて、選ぶということがあまりなかったんです。
本当に、終わったら次のご依頼が来てくれて、という感じでした。
なので、一気にたくさんのご依頼をいただく感じでもありませんでしたから、いただいた中でお仕事を選ぶ、という経験が今のところはありません。
―素晴らしいですね。ちなみに、世の中には営業で悩んでらっしゃるクリエイターさんが多いと思うのですが、そういった方々へ何かアドバイスをいただけませんか。
つゆこ:私も本当に、未だに試行錯誤しながらやっている感じですので、すごいことは言えないのですが…
私も、実際に会社にまでお伺いして、という経験は本当に少ないんですよ。
今は『WEBでポートフォリオを受け付けているところを調べて送ること』や、『SNSや作品を見てもらえる場所でたくさん発表をすること』を繰り返すのが良いかなと思います。
どこで誰の目に留まるかわからないので、たくさん見てもらえるようにするのがいいのかなと。
加えて、自分のポートフォリオが新しくなった時点で、前にお返事をいただけなかったところにも再び送る、などもやっています。
タイミング次第で、もしかしたら以前は違っても、新しくお送りした時は必要としているものがあるかもしれませんから。
私自身、半年に1回ぐらいか、少しでも新しいものが出たら半年よりも早いタイミングで、最低でも年に2回ほどポートフォリオを更新していますので、それで対応しています。

―クリエイターとして活動する上で、不安などはありましたか?
つゆこ:クライアントワークでお見積もりをお願いされた時にしても、自分でグッズを作るにしても、価格の決め方というか、相場などの正解がわからないことですね。
すごく困りました。
しかもこれって、それぞれが自分のやり方を模索して見つけていっていると思いますので、気軽に人に聞ける話でもないなと思っていて…
それで余計に周囲に訊ねることもできず、長い間どうするべきなのかなと思っていました。
ただ私の場合、そういった時には、インターネットで調べるとかはもちろんながら、イラストレーターの団体とかがいくつかありますので、そういった場に一度入らせてもらい、学ばせてもらうことも多かったです。
あとは展示に出た時、ギャラリーの方などにコミュニケーションを取っていって、ということもありましたね。
―ありがとうございます。では、今の活動をしていて良かったと思うことを教えてください。
つゆこ:出展したイベントなどで、お客様にあたたかいお言葉をいただけた時や、クライアントワークで担当の方に喜んでいただけた時が、やっぱりとても嬉しいですね。
他にも、イラストを担当した本やグッズが、実際にお店で売られているのを見かけた時は、本当にめちゃくちゃ嬉しいなと思います。
―逆に、大変なことはありますか?
つゆこ:どうしても波のあるお仕事というか…人によると思うのですけれど、私の場合はすごく波がありましたので、体力・メンタル共に、ちょっと強くなければいけないなと思います。
ただ、『人間は、ずっと下を向いていたらネガティブな感情になってくる』というのをどこかで見たことがあるんですよ。
逆に『上を向いていたら、ずっとネガティブではいられない』らしく。
それを見てからは、ネガティブな気持ちになってきて駄目だと思った時、上を向いたり寝転がったり、なるべくストレッチしたり、と意識するようになりました。
加えて、自分の限界をなるべく知ろうと努めましたね。
体力面では、運動不足が慢性的になってしまう職業ではありますから、エアロバイクを導入して対処しています。
これがメンタルにも結構効いてくるんですよ。
今も、30分から1時間ぐらいの間で漕いだりしているのですが、スッキリする分、かえってアイディアが出やすくなったりしますので、導入して良かったなと思っています。

―それでは最後に、今後の目標や展望を教えてください。
つゆこ:オリジナル作品とクライアントワークを両方大切にしながら、自分の表現をもっと、より多くの人に届けていけたらいいなと考えています。
今後は、デジタル作品だけではなく、紙や粘土など、いろんなアナログの素材を使って作品作りをしてみたいなとも思っているところです。
ずっとデジタル中心でやっていたのですけれど、もっと幅を広げながら、『作る楽しさ』の原点に帰って、色々やってみたいですね。

