「とにかくもう、ずっと、楽しい!」毬那さん

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薬剤師とイラストレーターの兼業

―現在の活動内容について教えてください。

毬那:現在は、X(旧Twitter)やInstagramで女の子のイラストを描いて発信しております。
作家活動としては、関西コミティアや東京のコミティア、クリエイターズマーケットなどに出展して、イラスト集やグッズを販売しています。
他にも個展を開いたり、百貨店のPOPUPなどに出展したりしていますね。
2025年の4月には、大阪の阪神梅田本店にて、女の子イラスト専門のPOPUP『推しが〜る!』という企画を主催し、自身も一作家として出店させていただきました。
イベントの参加に関しては、2026年前半は出産に伴いお休みをいただいておりましたが、現在は月1ペースくらいで出展しております。

あとは、クライアントワークもおこなっています。
推し活系のお菓子キットブランドのカットイラストや、VTuberさんや配信者さんからのご依頼によるイラスト、ボカロPさんのMVや歌ってみた用の一枚絵などを描かせていただいております。

―では、現在の活動をお仕事にしようと決心したきっかけを教えてください。

毬那:小中学生の頃からアニメや漫画が好きで、その頃から趣味として、独学でずっと絵を描いていました。
学生の頃は絵を仕事にするのは難しいと思っていたので、大学は薬学部に進学をしたんですよ。
ただ、大学5年生の時にコロナ禍に入りまして…その時、好きなことを仕事にしている人達のことを、SNSで沢山お見かけしたんですね。
それで、自分も挑戦してみたいなと思ったのが、今に至る一つのきっかけとなりました。

学生の頃、ゲームの実況配信などを見るのがすごく好きで、応援したい!盛り上げたい!という気持ちから、趣味の範囲で、その方達のファンアートをSNSに投稿したりしていたんです。
コロナ禍を経て、応援していた配信者さんや、その方がメインでプレイするゲームの界隈が盛り上がっていくなか、ありがたいことに私のイラストを動画のサムネイルに使っていただくことがあり、結果、それを見たリスナーさん達から「私も描いて」「私も」というような形で少しずつイラストの相談をいただくようになっていった…というのが、お仕事の始まりになりました。

その頃はあまりオリジナルイラストを描いておらず、依頼者さんのアバターのデザインを元にイラスト化することが多かったのですが、5件、10件と対価をいただいてイラスト制作するうちに「自分もやればイラストを仕事にできるのではないか」という自信に繋がりまして。

そこから、2020年の秋頃、XだけでなくInstagramも始めるようになり、オリジナルイラストを投稿するようになりました。
当初は、100日間毎日投稿もしてみましたね。
そうしたら、ありがたいことに2000人ぐらいフォロワーさんが増えて、それを見たイラストレーターの方から個人主催のグループ展示にお誘いいただいたんです。
2022年11月に東京で開催した『恋と××展3』という展示だったんですが、そこで初めて、イラスト販売デビューさせていただきました。
その時の在廊がもう、すごく楽しかったんですよ。ゲーム界隈で知り合った友人が差し入れを持って遊びに来てくれたり、別のイラストレーターさん目当てで来てくださった方が「かわいいね」と名刺をもらってくださったり。

さらに、その時の展示でご一緒したイラストレーターさんから、「東京のコミティア143に、お隣同士で出展しませんか」とお誘いいただきまして。これまで投稿した作品をまとめたイラスト集や、グッズもしっかり作って…という流れになりました。
その時の出展が、やはり、もう、すごく楽しくて!
通りすがりの方が、私のスペースの前で足を止めてくださるんですよ!
当時のその楽しさや嬉しさが、今のイベント出展にも繋がっています。

―ありがとうございます。ちなみに、薬学を学ばれていたとのことですが、当時はそちらの関係で就職されたことなどもあったのでしょうか?

毬那:そうですね。私が行っていたのは6年制の大学だったんですが、そこで国家試験を受けて薬剤師免許を取得して、卒業後は薬局薬剤師としてフルタイム勤務をしていました。
並行して、グループ展やコミティアに出展していた形でしたね。

ただ、コミティアの出展を重ねて手応えを感じるようになってきたのと、時間さえ取れればイラストの仕事も多く受けられるかなと思い、社会人3年目に1回フルタイム勤務を辞めて、週4出勤のパートにしようと決心しました。
それが2024年の4月頃でしたね。
本腰を入れてイラストレーターをやってみようと開業届も出し、今に至っています。

―すごいですね。とはいえ当初、お仕事との両立は大変ではなかったですか?

毬那:いえ、とにかく楽しかったので!
薬学部の大学生活の忙しさに比べて、会社勤めは週2日も休みがある!なんでもできる!と思いながら活動していましたね。
元々、コミティアなどのイベントは、お客さんとしてイベントに足を運ぶぐらい、すごく好きだったんですよ。
なので、応募するだけで自分もサークル側に立てるんだ、というのが本当に嬉しかったんですよね。
もう、ずっと楽しかったです。

―ご自身の作品スタイルや方向性については、どのように決められましたか?

毬那:昔からコミックイラストがすごく好きで、最初は少女漫画チックなイラストから入りました。
小学生や中学生の頃には漫画家を目指していましたが、ストーリーを考えるのが性に合わず断念し、イラストに絞った形です。

そんな中、Instagramで100日間投稿をしていた時、どんなイラストが受けるのかな、という部分を色々試してみたんですよ。
そうしましたら、流行のファッションを取り入れた、可愛い雰囲気の女の子イラストをよく見てもらう機会に恵まれまして。
これならば、自分も描くのが好きでしたし、それだけでなく、私は男の人も描くには描けるんですど、無理に描かなくてもイラストレーターってできるんだな、という点にも気づいたんです。
そこから自分としても楽しく描ける女の子イラストに絞って、今に至ります。

あとは、コミティアなどのイベント出展を通して、食べ物をモチーフにした女の子のイラストの受けが良かったんですよね。
私もすごく食べることが大好きなんですよ。
父が結構グルメで、でも高級料理というよりは、コスパの良い料理だったり、外で食べた美味しい物を家で再現することが好きなんですが、その影響もあると思います。
なので、ちょっとしたパンとかスイーツとか…そういったものを食べて幸せになった気持ちをイラストにアウトプットをしていく、ということを続けていったら、さらにイベント会場で見てもらえる機会が増えていきました。

それで今は、自分が『食べたり感じたりしたことでハッピーになった気持ち』をイラストに落とし込む、という方向性に決めて活動しています。

ポジティブになってもらえるよう、自分自身も『ハッピー』を大切に

―作品制作にあたって大切にしていること、意識していることがあれば教えてください。

毬那:ポジティブな発信になるように心がけています。
それから、「食べ物を美味しそうに食べている女の子っていいよね」といった、共感性を大事にしていますね。
それに加えて、間口を広くしたいので、可愛さポップさはもちろん、最近のトレンドやデザインも取り入れるよう意識しています。

あとは、イラストだけでなく活動全体を通しても、見てくださる方が不安になるような発言は極力控えて、「これをしたらハッピーになれたよ」みたいなことを、SNSを通して前面に出していきたいなと思っています。

―なるほど。そういえば、毬那さんのイラストを見ていると色に落ち着きを感じるというか、見ていて穏やかな気持ちになれるのですが、その辺りも何か意識されているのでしょうか。

毬那:ありがとうございます。私はイラストを描くだけでなく、見るのも好きで、SNSやイベント会場などで、たくさんの素敵なクリエイターさんの作品を拝見して、「この方の色使いが良いな」と感じたものを、頭の中に蓄積していってますね。

加えて、デザイン関連の本で勉強して、その上で自分が描いたイラストの中でも「この色はよく見てもらえるな」みたいな部分を分析して、意識して配色しています。

―では、影響を受けたクリエイターさんはいらっしゃいますか?

毬那:本当にたくさんいて、絞れないぐらいなのですけれど…
その中でも特に、と思うのが2人います。

まず1人目は、Instagramなどを中心に女の子イラストを描かれているdenさんです。
2020年頃、今からInstagramを頑張ろうという時にアカウントをお見かけして。
イラストや配色が可愛いのはもちろん、『見てもらうための工夫』が詰まった発信の仕方が、本当にお上手だなと思っているんですよ。勝手ながら、かなり勉強させていただきました。

それに、当時は本当に1ファンだったのですが、2024年4月に初めて私が商業施設のPOPUPに参加した際、新宿マルイ本館のスペースで、denさんとご一緒させていただく機会がありまして。
そこで直接ご挨拶させていただいてから、以降も同じイベントに出展したりと交流が続いておりまして。
そうしましたら、私もdenさんも公表していることなのですが、たまたま数ヶ月違いでお互い出産しまして、「これから同い年ベビーを持つママとして一緒に頑張ろうね」と言っていただいたりして。
公私共に、活動の励みになっています。

それから、2人目がまり子*さんです。
アナログで絵を描かれてて、同じ大阪在住で、私の憧れである『専業で活動をなさっている作家さん』なんですよ。
昨年、私が阪神梅田本店でPOPUP企画を主催する前、同じ場所で、犬がテーマのクリエイターのPOPUPが開催されていたのですが、そこでまり子*さんのポストカードに一目惚れしてお迎えしたのが、まり子*さんを知るきっかけになりました。
私がそれを『お迎え品ポスト』としてSNSに投稿したら、嬉しいことに、まり子*さんご本人からメッセージをいただきまして。そこから仲良くなって、同じ大阪を拠点に作家活動をしていて、同じくらいの時期からコミティア等のイベントに出展をし始めていて…という共通点が見つかり、今ではプライベートでご飯に誘えるくらいの関係になりました。

まり子*さんの作品は、色使いはもちろん、本当に構図がすごく良くて、ぱっと見た時に『どこに注目したら良いかわかる』構図・見せ方が素晴らしいんです。加えて、制作スピードも速くて、本当に尊敬しています。

―画力や作品のクオリティを上げるために意識していること、おすすめの方法などはありますか?

毬那:資料をしっかり集めて描くのが大事だな、と日々感じております。
手の形だったり、小物類だったり、お花だったり…自分でも写真を撮って集めたり、わからないものはネットで調べたりして、資料を集めながら描いています。

とにかくたくさんのイラストやデザインを見るのが大事だなとも思います。
流行の色使いとかもありますし、他の作家さんの『いいね』やリポスト数がすごく伸びていたら、どうして伸びていらっしゃるのかを分析し、それを『自分の言葉』に組み替えた上で吸収して、作品の中に落とし込んでいくのも大切かな、と。

それから、絵を描き始めた時はメイキング雑誌なんかも結構見ていましたね。
中学生の頃、季刊エスやSSといった雑誌を買っていて、そこでイラストのメイキングや、投稿されているイラストをたくさん拝見して、勉強しました。

あとはもう、個人的に『ハッピーな体験をする』ことも大事ではないかと思っています。
外に出て、「こういうの良かったな」「いい体験したな」みたいな経験をちょっとずつ集めるのも、イラストを描く上で活きていくのかなと考えていますね。

―なるほど。ちなみに毬那さんはいつも作品1枚につき、どの程度の資料を用意していらっしゃるのでしょうか。

毬那:そうですね…まず自分の手のポーズ写真など、5枚以上は撮っているでしょうか。
あとはお花などを描きたいとなったら、なるべく自分で足を運んで写真を撮るようにしていて、それも5枚ぐらいは用意しているかなと思います。
他は小物や洋服だと、1つを参考にそのまま描いてしまうのはあまり良くないと思うので、Google検索でタブが10個程度開くぐらいには色々見て、エッセンスを取り入れていく形になりますね。
なので私の場合、1つの作品につき、写真20枚程度の資料を用意していると思います。

作品だけでなく『思い出』も持ち帰ってもらえるように、ちょっと面白い人間になりたい

―現在は、どのようにお仕事を取っているのでしょうか。また、お仕事を受ける際の優先順位などもあれば、教えてください。

毬那:一枚絵などのお仕事をいただくのは、XのDMや、HPからのお問い合わせ、ココナラ経由のご相談が多いですね。作家としてのイベント出展のお声がけは、Instagram経由が多いです。

お仕事の優先順位に関しては、自分の作風に合っているかを考えています。
一枚絵のクライアントワークの場合は、作家活動とのバランスが取れるかとか、お相手の予算感によっても、僭越ながら選ばせてもらっていますね。
イベント出展のお誘いや、自身のオリジナルイラストを用いたお仕事は、こちらもご相談いただける機会が増えてきたのですが、イラスト活動に充てられる時間がかなり限られている身なので、「ファンでいてくださる方に喜んでいただけるか」を軸に選別するようにしています。

基本的には、自分が1年後どうなっていたいかを考え、それを踏まえて各種SNSで発信しています。
最近ですと、「個展がしたい!」「コンビニプリントがやりたい!」とプロフィールの目立つところに書いていたところ、ありがたいことに機会に恵まれ、実現することができました。

出展関連ですと、設営後の写真を載せたイベントLOGを投稿するをことでグッズの物量を見てもらえるようにして、イベント主催者さんや関係者さんがイメージがつきやすいように、SNSを整えています。
あとは、自分の主催のPOPUPもそうだったのですが、持ち込み企画として担当者さんに営業してみたり、とか。やりたい方向性を考えてアクションを起こす形にしていますね。

今は出産を経て、とりあえず一旦、締切に終われない作家活動を優先して、無理のない範囲で自分を知ってもらう機会を増やそうと活動しています。もう少し手が空いてきたら、改めてクライアントワークもたくさんできたらなとは思っております。

―クリエイターとして活動する上で、不安などはありましたか?

毬那:やっぱり不安はつきものですね。
最近は生成AIの登場で、「誰でもいいからイラストを描いてほしい」みたいな仕事は減ってきているのかなと感じておりまして。
ただ、裏返せばチャンスでもありますから、AIにはできない「毬那だからお願いしたい」と思ってもらえるような立ち位置を目指して、作家性を極めていきたいなと思っているところです。

生成AIにはできないところを埋めていきたい、という部分は常日頃考えています。
例えば、お客様と対面できるイベントに出展し、作品そのものをお迎えしてもらうだけじゃなく、会話などを通すことで、それがお客様にとっての『体験』になるようにしたいな、とか。
作品だけじゃなく、『作者と話した』という思い出を持ち帰ってもらえるように、ちょっと面白い人間になりたいな、みたいな感覚があります。

加えて、私は独学でイラストレーターになったので、「コツコツ根気よくやってたら、ここまで来たよ」みたいなことも発信していきたいと思い、noteを投稿しています。
イベントでも小さいお子さんが寄ってくださることが多く…「イラストレーターと別の仕事を掛け合わせて、兼業で活動する方法もあるよ」と話したりします。あまりにも現実的すぎて、親御さんの方が食い気味に質問してくださったりと、結構面白いんですよ。
そういう面でも、イベントには今後もなるべく立ちたいなと考えています。

―ありがとうございます。では、今の活動をしていて良かったと思うことを教えてください。

毬那:自分の作ったグッズを、多くの方の手に取っていただけた時が、やっぱり一番嬉しいですね。
それをSNSで画像付きで感想を書いてくださったり、メンションやタグをつけて感想をいただけたりすると、さらに嬉しくて、本当に励みになります。
もう、感謝しかありません。

あとは、昨年あたりから企業主催のPOPUPや個展に出させていただく機会に恵まれているのですが、そういった場で数字上でも結果を残せた時には、やっぱり、自分が好きで描いたクリエイティブで経済が回ったんだな、という実感ができるんです。
それが、すごく嬉しいですね。

クリエイターとして信頼して声をかけていただけて、その中で結果が出せたとなると、良かったな、もっと頑張りたいなと励みにもなります。

―逆に、大変なことはありますか?

毬那:ちょっと完璧主義なところがありまして…
イベント前には、作品だけでなく、告知やディスプレイなどにまでこだわってしまうので、睡眠時間が削られがちなんです。
ただ、好きでやっていますから、そういう意味では幸せな大変さかなとは思っていますね。

それでも、長く作家活動を続けていきたいですから、健康第一でスケジュールを組んで、疲れたらハッピーな体験をするためちょっと休んだりもして、長く走り続けられるように頑張りたいなと思っております。

―それでは最後に、今後の目標や展望を教えてください。

毬那:一番の目標は、長くイラスト作家活動を続けることですね。
5年後も10年後も、イベントで笑っていたいな、というのがあります。

細かな部分で言えば、昨年から9月に神戸北野異人館で個展を開催させていただき、今年も9月12日から24日にかけて、心斎橋のカワチ画材での開催を予定していますので、今後も年1くらいのペースで個展ができたら嬉しいなと思っています。
コミティア等の即売会と違って、お客様やファンの方とゆっくり喋る時間が取れるので、自分からもギャラリーさんに提案をして、続けていきたいですね。

あとはやっぱり、デザフェスの出展ですね!
なかなか都合がつかなかったり、抽選にも恵まれなかったりと、実は1回も出展したことが無いんです。
イラストレーターの友達から、他のイベントと比べものにならないくらいお客さんの数が多いと聞くので、自身の活動を知ってもらうためにも、いつか出展してみたいと思っています。

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