「相手を想い、相手に寄り添って、作品を作る」千羽智さん

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活動について

―クリエイターさんとしての主な活動を教えてください。

千羽智:今は作品の制作をしつつ、ご依頼があった時にポスターなどのグラフィックやSNSアイコンなどを描いています。

―イラストじゃないものも描かれていますよね。

千羽智:そうですね。結構色々なことに興味を持つタイプで、イラスト以外のこともします。ファッションアカウントを見たり、情報収集して、面白そうだなと思ったことは取り入れています。

―元々、ご自身は好奇心旺盛な性格だと思いますか。

千羽智:そうですね。知らないより知っている方が人生楽しそうだなと思います。

―お話をお聞きして好奇心と探究心の強さを感じましたが、その部分がデザインとかグラフィックに生かされていると思いますか。

千羽智 :以前、それを感じた出来事があって。制作する中でテーマを自転車にしたのですが、その時に面白いと思った街の風景を写真に撮りためていると、自転車。自転車が映っている写真が意外にも多かったんです。自転車って被写体として面白いものがあるなと思いましたね。単体としてだけではなく、風景の中の街の印象としても。なにか面白いなって思ったことをアウトプットできているなと思いました。

―クリエイターとして活動するきっかけはありましたか。

千羽智:きっかけは知人の方にアイコンを描いて、と頼まれてスタートしました。絵を描くことを通じて誰かとコミュニケーションをとることが面白いなと思っていて。それが今も続いているっていう感じですね。

―クリエイターとして活動されている中で、良かったことを教えてください。

千羽智:クライアントがいて、ああでもないこうでもないと頑張って描いて、納品した時にあなたに頼んでよかったと言ってもらえることが一番嬉しいです。

―千羽さんご自身は、クライアントがいてある程度テーマがあってイラストを描かれるか、自分でイメージを全て生み出すかどちらがお好きですか。

千羽智:私は完全にイメージをいただいて描く方が得意ですね。

―テーマや趣旨があったりすると自分の作品という感じがあんまりしないとおっしゃる方もいらっしゃるのですが、千羽さんはどう思われますか。

千羽智:相手の意見に全て添ってしまうと、どうしても自分の色がなくなってしまうことは確かだと思います。ただ、私がどれだけ自身の作品と違うように描いたとしても、周りの人からはどれもあなたらしいねっていう意見をもらうことが多いです。ということはそこに関してあまり考えなくていいのではと思っています。

あと、私は何かしらの制限がある中でどうやっていくかを考えることが好きですね。

―制限の中の楽しさってすごくいいですね。その制限とは喜んでもらえるということですか?

千羽智:もちろん自分自身が楽しいということもありますが、相手がどうしたら喜んでくれるかなと想像することも楽しいですね。

絵を通して、相手にどのような効果を与えられるだろうって考えることが楽しくて。

相手に寄り添って絵を描くことが自分の中の制限ですね。

―自分の想いよりも相手の方が得られるものや影響されるものを重視していますか。

千羽智:そうですね。グループ展や展示に参加すると、やっぱり自分本位で絵を描かなくてはいけないので、そうなるとすごくしんどいですね。

―グループ展や個展で展示するものは、自分の頭の中だけで生み出す感じはありますよね。

千羽智:でもそれには絶対に締め切りがあってやり遂げなきゃいけないので、その制限があるからまだ描けますね。すごくしんどいですが、楽しかったなあといつも思います。

―活動されている中でご苦労されていることってありますか。

千羽智:色々なことに興味を持っているからこそ、何かゼロから描くことが苦手だと感じます。

―絵をお仕事にする前からも、自分から描くよりは誰かのリクエストを聞いて描くことが多かったですか。

千羽智:多かったですね。友達に頼まれることがすごく多くて。楽曲のイメージイラストをよく描いていました。でもそれだけじゃ絵は上手くはなれないので、自分でも考えて描くって感じでしたね。

―終始求められて絵を描くってことが千羽さんのスタイルかなと思いました。

千羽智:本当にそう思います。

大切にしていることは、色合いとか線の柔らかさ

―作品を作る上で大切にしていることはありますか。

千羽智:曲線の綺麗さと色合いです。

―案件でお仕事を依頼される方も千羽さんの作品を見ていらっしゃると思うので、作風とは違うオーダーはないと思いますが、ご自身の作風とまったく違うご依頼があることはありますか。

千羽智:今のところはないですけど、自分の中で大切にしていることを貫いている状態で全然違う話が来たら、それはそれで面白そうなので、やってみます(笑)

―そこは断らないんですね。

千羽智:内容的に、頼まれた人にあなたのこういうイラストが見てみたいと言ってもらえるならやりたいですね。相手が誠意を持っているかどうかでそこは判断します。

―先ほどお聞きした大切にしていることは、色合いとか線の柔らかさみたいなことですか。

千羽智:柔らかさはあまり自分の中では意識していないです。

ただ、周りの人からあなたの絵って柔らかいよねって言われることが多いので、柔らかさを重視している人ですって名乗った方が相手にとっても分かりやすいだろうなと思って自己紹介にもつけています。

でも実際はそこまで意識はしてないって感じです。本当はもうちょっと尖りたいです。

―直線的な感じですか?

千羽智:直線というよりかは色合いがぶっ飛んでいるみたいな。ただ私は曲線を意識しているので、「曲線=優しさ」っていうのが共通認識になっているので、優しい絵柄だねって言われるんだろうなって思います。

―ご依頼の案件に対して大事にしていることってありますか。

千羽智:クライアントが思っているターゲットにどれだけ寄り添えるかを大切にしていますね。最近の案件だとポスターを作ることがあって、打合せの中でなぜポスターがいるのかという私の質問に対して、ポスターは商品の提供を待っているところに貼るから、商品を待っているに興味を持ってもらえるようなポスターを作ってほしいと言われて。試行錯誤しました。

―「寄り添う」というフレーズがありましたが、千羽さんにとって寄り添うとはどういうことですか

千羽智:ポスターのお話を例に出すと、商品提供を待っている時間に話の入り口として使いたいというニーズがあって、それをどうやって絵で叶えてあげられるかという想いが、寄り添うって意味かなと思います。

その時はポスター以外に頼まれてはいなかったんですが、ショップカードとかあるとやっぱりお店らしくなるし、手に取っちゃうじゃないですか。

クライアントがお客さんを楽しませたいという気持ちを感じたので、それを高めるためにポスターでビジュアルに起こすことで寄り添うという意味もありますし、もう少し先の提案をして、相手が潜在的に思っているところをちょっと指でつついて寄り添うっていう意味もありますね。

今後について

―今後やりたいことはありますか?

千羽智:3つあって、1つ目が書籍の表紙をすることです。

2つ目はボーカロイドがすごく好きなので、そのお仕事に携わりたいです。

3つ目はイラストと作字、グラフィック、写真をやっているので、これを全部混ぜた展示をしたいですね。

自分ができることを全部詰めた展示みたいな。

―それは楽しみです。書籍になったら作字のデザインとかすごく楽しそうですね。 最後にファンの方へ一言お願いします。

千羽智:いつも絵を見て頂いたり、ご意見やご感想を頂いたり、展示があったら来て頂いているすべての方にありがとうございます。

展示を見て、私と仕事したいと思って頂いている方がいる事もありがたいことなので、その感謝の気持ちを忘れずに今後もやっていきたいと思います。

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