
「作品を作るために不可欠な負の感情」KALUAさん後編

●KALUA
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作品を作るために不可欠な「負の感情」
—自分の中での遊び。遊びを表現する。ポジティブな感じがします(笑)
KALUA:よく言われるんですが、私自身はめちゃくちゃネガティブなんですよ。ポジティブですねって言っていただくのですが、暗いことばっかり考えちゃうんです(笑)
—意外です。
KALUA:自分の中では作品を作っているときは、負の感情が強いときのほうがいいものが作れる気がするんです。全然いいのが作れないとか暗い気持ちになっているときこそ、生まれたものがよかったり、よい評価もらったりとかが多い気がします。
—作品に生かされる負の感情ってどのようなものですか?
KALUA:結構、究極的なところまで行くことが多いですね。元々感情の起伏が激しいほうだとは思います。明るいときはすごく明るいんですけど、暗いときはほんとにもう誰とも会いたくないし、自分の中でずっと悪いことを考えちゃうタイプなんですよ。
—ちょっと哲学的な感じのところまで行っちゃう感じですか?
KALUA:行っちゃいます。毎回毎回そんな感じで(笑)
全部辞めたいなあとか結構思うことがありますね。その時に思っていた感情とかを後で思い出して、そのときにその気持ちを書き留めたりして、それでそれを制作に生かしたりするようになりましたね。
—負の感情さえも自分のエネルギーに変換して作品を作っているような。
KALUA:そうなのかもしれないです。負のエネルギーのほうが原動力になるというか。自分が楽しくて満たされていると制作があんまりできないんです。悪いときはあえてとことん悪いほうに行こうとして、そのときの感じた感情とか考えたものとかを作品に落とし込んでいます。
—ネガティブなパワーすごいですね。
KALUA:すごく思います。とても強い力だなあって。でもそれがなかったら多分私は作品を作れてないんだろうと思っています。ずっとハッピーなだけだったら創れないだろうなって結構あります。「こういう作品を創ろう」とは考えられなかったというか。だから大事な感情だなと思います。
—山本さんにとってはネガティブな感情が重要なんですね。
KALUA:かなり重要です。一回落ちて、また上がるときに創れるので、逆に落ちないと創れないです。
—それってやっぱり故意的にはネガティブに落とせないんですか?
KALUA:故意的には落とせないです。急に全く何もやりたくない、もう辞めよう、っていうときが来るんですよね。それが自分でもいつかわからないから、結構困ります…日常生活にも支障が出ることがあるから、自分でコントロールできたらいいんですけど。
—コントロールできたらもうネガティブじゃないですもんね(笑)
KALUA:そうですよね(笑)本当の感情じゃない気がするので、創作の面ではコントロールできなくていいのかなと思っています (笑)
—完全にネガティブになったら何も描きたくないんですか?
KALUA:ほんとに落ちたときは何もできなくなります。そういうときに限って考えちゃう、何も創れないけど頭の中で哲学的なことをずっと考えちゃうんですよね。ある程度、回復してきたらこういうもの作りたいなとかはありますが、ほんとに落ちているときは何もできなくてずっと寝ています(笑)
—落ちてから創ろうかなってなるのはどんなときですか?
KALUA:落ち着いてきて、ごはんとかも食べられるようになって、普通の生活に戻り始めたら作品のことも頭に浮かぶようになるので、そのときに一気に色んな事がバァーっと来ますね。
—負の感情と向き合って表現に変わるときがあるんですね。
KALUA:そうですね。そのタイミングはまだ私にもわかってないんですけど。不意にという感じですね。
—わからないままでいて欲しいです、そのほうがすごい作品が生まれそうなので(笑)
KALUA:私もそんな気がします。なので、このままでいいかなって。自分では困りますが、今のままのほうが作品としてはいいものが作れそうなので。
—やる気が出てくるときっていっぱい描きたくなりますか?
KALUA:そうです。ほんとにたくさん描きたくなるんですよね。そういうときに作品の構想を考えたりします。色んなことを自分の中でやりたいなと思ったことをたくさん蓄えて、できるときに一気にやっちゃおうみたいな。
何年もかけて考えてきた構想をカタチにする
—今後の展望や予定があれば教えてください。
KALUA:近々、作品を大きなコンペに出したいなと思っています。それを夏の間には完成させようと思っています。ずっとコンペに出そうと考えていたけど、現実的に費用とか学校とか時間とか全部を考えたときに今まで出来なかったんです。でもずっとやりたいなと思っていたことがあって、それが今ならできそうなのでそろそろ完成させようと。絶対出したいので、そのコンペに出せたら一段落って感じですかね。
—強い熱意を感じます。今回の大きなコンペはいつからチャレンジしたいと思っていましたか?
KALUA:何年も前から構想は練っていました。先の目標として、ずっと追いかけ続けてきたかもしれません。他のコンペも目の前すぎるとなかなかできないことが多いので。長い間寝かせて今ならできる!というタイミングで出すことが多いです。
—今回のコンペは何ヶ月ではなくて何年の話も構想を考えていたということですか?
KALUA:そうですね、何年も色々考えが変わりながら。大きいコンペはそのことを何年も考えていたりします。
—コンペに出すと決意するときは描きたいものができたときですか?それとも技術的な部分ですか?
KALUA:私、技術はやっていたら出来ると思っちゃうタイプなので、あんまり技術は考えたことがないです。ほんとにこれがやりたい!これだ!と思ったときにやりたくなりますね。技術は普段絵を描いていたりするなかで、身につけていると感じるので、あんまり技術とかはあんまり考えたことがないです。
—ではこれを描きたいと思った瞬間ができたときですね。
KALUA:ずっと考えています。他に作業していたとしても、何か作品にできることがあるかなとか無意識に考えています。
—全てが作品ですね!最後に、作品を買っていただけるファンのかたがたに一言お願いします。
KALUA:見つけてくれてありがとうございます。たくさんクリエイターさんがいる中で、私の作品をいいなって思ってくれることがとても嬉しいです。