「自分にしかできない仕事ができている幸せ」ハバメグミさん

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自分を飽きさせないで、新鮮なものを描き続けていきたい

現在の活動内容について教えてください。

ハバメグミ:現在は、企業さんや、個人事業主の方との取引がメインで、書籍で使用するカットイラストとか、あとはステッカーやマスキングテープのようなステーショナリー系のものでコラボすることが多いですね。
個人的な活動としては、昨年、初めての個展を開催させていただきました。
今年も、展示会やイベントへの出展を予定しています。
今後はお仕事以外にも、自分で作った作品をお届けできる機会を、少しずつ増やしていきたいなと思っているところです。

 

絵を仕事にしようと決心されたきっかけを教えてください。

ハバメグミ:子供の頃から、絵を描いたり、工作したり、ということが大好きで、大学も芸術学部がある学校へ進学しました。
ただ、就職ではクリエイティブ職には進まず、雑貨屋さんのスタッフをしたり、一般企業の事務職をしたりして働いていたんです。

その後、子供ができたのをきっかけに退職して、専業主婦で生活をしていたんですけど…2人目の子供を出産した後に、今後の自分の生き方を考えるようなことがあって。

「一度きりの人生だし、何か自分にしかできないことをやりたいな」
「自分が好きなことをして楽しんでいる姿を、子供たちに見せていきたいな」
そういう気持ちが湧いてきて、「チャレンジするなら1分でも1秒でも若い内に進んだ方がいいかな」と思い、そこからはあまり悩んだり考えたりしないまま、勢いでイラストレーターへの道に踏み出しました。

ご自身の作品の方向性は、どのように決められましたか?

ハバメグミ:始めたばかりの頃は、イラストのタッチなどが特に決まっていなかったので、とりあえず好きなものや、自分が楽しく描けるものを描いてみる、という感じでスタートしました。
私の場合、女の子やファッション、インテリア、動植物などをテーマにすることが多かったですね。

その後、開業して1年後くらいから、Instagramへの投稿を始めたんですけど。
次第にフォロワーさんの反応が増えてきたことで、『どういう部分を可愛いと思ってもらえているか』『何が魅力になっているか』というのが、だんだん見えてくるようになって。
その積み重ねで、本当に少しずつ、絵柄のタッチやテーマ性みたいなものが定まってきたと思います。

 

絵を描くにあたって大切にしていること、意識していることがあれば、教えてください。

ハバメグミ:毎日描いていると、自分のイラストに飽きてきちゃう瞬間も正直ありまして。
「このモチーフを描く時にはこの描き方」とかパターン化してきちゃって、描いてても楽しくなかったり、結局いいものが描けなかったり。

なので、そういう時は、少しだけ変化を取り入れるようにしています。

例えば、使用するブラシや色合い、形の取り方、表情の描き方。
それらをほんの少しだけ変えてみると、今までよりもちょっと可愛いものが描けて嬉しくなったり、やる気も出たりするんです。
そうやって『味変する』みたいな感じで、変化を取り入れるようにしていますね。

一生続けられる仕事だし、自分を飽きさせないで、新鮮なものを描き続けられるようにしていきたいなと思っています。

『続ける』っていうのは、一番シンプルだけど、一番難しい

影響を受けたクリエイターさんは、いらっしゃいますか?

ハバメグミ:100%ORANGEさん、サタケシュンスケさん。それから、ディック・ブルーナさんです。

100%ORANGEさんは、大学生の頃に知ったクリエイターさんなんですけど、当時すごい衝撃を受けた方なんです。
結構ラフな線で、本当に描くもの全部可愛いので、線の描き方とかは、よく練習したり真似したりして、取り込んでいました。

サタケシュンスケさんは、動物や模様の描き方が本当に可愛くて。
結構直線的で、シンプルな図形みたいな形の組み合わせでイラストが仕上げられているような印象なんですけど。
構図の取り方やバランスが全部素晴らしくて、本当に勉強になります。

ディック・ブルーナさんは、ミッフィーちゃんが有名ですよね。シンプルなイラストで、長く愛されるキャラクターの代表格だと思うんですけど、本当に飽きずに見ていられるので、大好きなアーティストさんです。

参考にしている部分としては
最近の私の作品は、『シンプル』な方向性にだんだんシフトチェンジしていまして。
『シンプルだけどどこか引っかかる部分があって、飽きずに長く愛してもらえるようなイラスト』をテーマに制作していこうかなと思っているところなんです。

なので本当に、このお3方の作品からは、テーマ性もそうだし、形の取り方もそうだし、構図とかもとにかく全部、勉強させてもらっています。

 

なるほど、とても納得しました! でも最近は、線画でも描かれていますよね?

ハバメグミ:大学生の頃、恩師に「線の描き方がいいね」と言われたことがあって。

当時、親とかに「いい絵だね」と言われることがあっても、具体的に「自分の絵のココがいい」とは褒められたことがなかったので、初めてだったんです。
なので、その恩師の言葉が忘れられず、線の描き方も武器になればいいなと思って、たまに線画でも描いてみたりはしています。

画力や作品のクオリティを上げるために試したことや、おすすめの勉強方法があれば、教えてください。

ハバメグミ:例えば、「自分の描きたいものを描けるようになりたい」という点で考えるなら、目標になる作家さんや、好きな作品をまず見つける。
これが1点目だと思います。

好きな作品や、作家さんの作品をよく観察して、「どういう部分を自分が好きだと思っているのか」をじっくり考えてみたり。
それから『練習として真似して描いてみる』というのも、いいかなと思っていますね。
練習段階で真似して描くことで、『自分の作品に活かせる何か・落とし込める何か』というのは、必ず見つかると思うので。

後はやっぱり、たくさん描く。
これが2点目。
本当に、たくさん描けば描くほど上手くなると思うので、描けるだけ描く。

で、三つ目が、描き続ける。
この3点かなと思います。
『続ける』っていうのは、一番シンプルだけど、これが一番難しいと思うんですよね。

今って、SNSが普及していて、簡単に見てもらえますけど良くも悪くも、数字っていう形で『見えちゃう』じゃないですか、反応が。だから結果が出ないと、くじけそうになっちゃうことも多いと思うんですけど。
それでもやっぱり、続けないとそこで終わっちゃうし、好きなのであれば続けることをまず一番に頑張って欲しいかなと思います。

とにかく何も描けなくなるまで、ずっと描き続けていきたい

現在は、どのようにお仕事を取っているんでしょうか?

ハバメグミ:活動を始めた頃は、クラウドワークスやココナラでお仕事をいただいていました。
現在は、Instagramやホームページで制作物の公開をしています。
ありがたいことに、ほとんどの企業さんがInstagramからお声がけくださることが多いですね。

それから、直接これがお仕事に繋がっているかはわからないんですけど
例えばお取引する方に対しては、「人と人の付き合いである」ということを忘れない対応を心がけています。

メールだけで済んでしまうことも多いんですけど、丁寧な言葉遣いをするとか、言い回しには気をつけるとか、お返事はできるだけ早くするとか。そういう基本的なマナーを守りつつ、ちょっと雑談したり、私の場合、年賀状を出させていただいたりとかもしています。

お仕事に関する内容以外でも、自分の人とナリが伝わるようなやり取りを大切にしたいなと思っていて。
そういう感じでやらせていただいてると、リピートでご依頼いただく時には結構、少しずつ距離が近づいて、お互いにやりやすくなる、というのは感じていますね。

 

忙しくなってきた時のお仕事の優先順位は、どう決めていらっしゃるのでしょうか。

ハバメグミ:今まで、お仕事を選ぶということをほぼほぼしたことがないんですけど。

一度だけ、納期の厳しいお仕事が重なってしまっていた時に、コンペ形式のお仕事依頼が来たんですよ。
でも、タイトな状況の中で、スケジュールもまた仮に押さえなきゃいけないし、必ず私のイラストが必要っていう感じのお仕事ではなかったので、その時はお断りさせていただきましたね。

スケジュールに余裕があれば、コンペ形式のお仕事もお受けしているんですけどやっぱり厳しい状況であれば、「必ず描いて欲しい」と言ってくださる方を優先させていただくことになるかなと思います。

 

クリエイターとして活動する上で、不安などはありましたか? また、その不安とどのように向き合ってこられましたか?

ハバメグミ:仕事を始める上で、「自分のイラストが必要とされるのかな」というのは、やっぱり一番の不安でしたね。

そんなにすぐに結果は出ないだろうと、最初から腹をくくってはいたんですけど。
しばらくは「下積みの期間だし、とにかく今は絵を描く時間だな」という感じで、焦らずに、とりあえず描き続けていました。

でも、Instagramの投稿を始めるようになってからは、結構たくさんの方に反応をもらって、応援してもらえたので。
誰かに認めてもらえてるって、本当に勇気になるし、パワーになるんですよね。自分の作品が誰かの心に刺さってる、っていう実感が持てるので。
それからは、不安な気持ちをコントロールしながら、続けられていると思います。

絵を仕事にしていて良かったことは、何ですか?

ハバメグミ:自分の両親や家族に、『好きなことを頑張っている』という姿を見せられることが良かったなと思っていますね。
商品になったものなどを、子供たちに「これママが描いたんだよ」って見せてあげると、「ママすごいじゃん!」って、とっても褒めてくれるんですよ(笑)
やっぱり、そういうのは単純に嬉しいなと思いますね。

 

逆に、大変なことはありますか?

ハバメグミ:誰かに代わりにやってもらう、ということができない仕事なので、そこが大変だなと思っています。

結構、子供たちがまだ小さいので風邪とかをもらっちゃうこともあるんですよ。
なので、体調不良の時は「本当にもうしんどいな」と思いつつ、薬と気力で乗り切ることが多いですね。

とはいえ、そこが大変でもありつつ、何やかんや、自分にしかできない仕事ができているので、そこは幸せだなとも思っています。

 

最後に、今後の目標や展望を教えてください。

ハバメグミ:媒体問わずに、色んな『イラストを活かす仕事』をもらえるものは、全部頑張りたいと思っています。

同時に、やっぱりグッズの制作に力を入れたいなと思っていて。
展示会とか、イベントの参加もそうですし、オンラインショップとかも、やりたいなと思ってますね。

あとは、5年後のことも10年後のことも、全然わからないんですけど。
とにかく何も描けなくなるまで、ずっと描き続けていきたいなというのが最終目標です。

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