週刊誌の漫画は、一発描きしていると思っていた
―現在の活動内容について教えてください。
wakuta:今はイラストレーターとして、挿絵やグッズのデザイン、ロゴデザインを描かせていただいてます。
最近だと、ループアニメを使ったミュージックビデオや、ショートアニメの制作もさせていただいてますね。
―絵を仕事にしようと決心されたきっかけを教えてください。
wakuta:もう10年以上前になるんですけど、大学生の頃、LINEのクリエイターズスタンプが始まった時に、(自身の発表したスタンプが)すごくバズって。
そこで色々お仕事をいただくようになり、そのまま。「いざなろう」というよりは、「やりたいな」と思っていたら、そこから色々お声掛けいただいて続いている、という感じですね。
だからきっかけで言うと、LINEスタンプがすごく売れた、というのがきっかけです。
―すごいですね! 絵そのものは、いつから描かれているんですか?
wakuta:絵自体は…祖父がパステル画をやっていたんですけど、その祖父の家に行くと、いつも遊びで絵を描く、みたいな習慣があって。
新聞や教科書に落書きしてみたり、自由帳に描いてみたり、みたいなこともしていましたけど、きっかけで言うと祖父ですね。褒められるから描いてた、みたいな感覚です。
―そこから大学生に至るまで、定期的に描いていらしたんですか。
wakuta:定期的にちゃんと座って描くというよりは、ただポケモンを描いてみたり、ドラゴンボールを描いてみたり。
あとは、毎年お正月になると親戚で集まるんのですけど、年下の子たちの塗り絵のために、色んな絵を手早くオリジナルでバーっと描く、みたいなこともしていました。
それらがある種、自分の原体験というか。絵を描いて喜んでもらえるとか、絵を描くことで注目を浴びる、ということもいっぱいあって(笑)
絵を楽しく描けるようになったきっかけではあるかなと思います。
―ご自身の作品の方向性は、どのように決められましたか?
wakuta:僕自身、絵が上手いというか、絵で魅せられるタイプではなくて。
「どういうシーンを切り抜くか」とか、「こういうのが流行っているから、こういうのを描こう」みたいな視点で描いているところがあるので、『速さ』が結構重要になってくるんです。色を塗るとか線を描き込む必要がないというか、それより『速さ』が重要だなと。
そうすると、おのずと線の少ない方向性と、あとは表情や動きとかでわかりやすく示す方向性に。
ある種「狙って」なんですけど、そういう方向性にやっていったほうが自分の良さが出るだろうな、という思いで決めていった感じですね。
―なるほど。スピードを重視した結果なんですね。
wakuta:そうですね。それから、あともう1つ。
『少年ジャンプ』を小さい頃から読んでいたんですけど、あれって週刊じゃないですか。正直、小学生の時は『下描き』とかをあまりわかっていなくて。
『DEATH NOTE』とかも、小さい頃は一発描きで描いていると思っていたんですよ。
だから「これを描けないといけないんだ」と思って、なるべく一発描きの練習をしていたんです、当時から。
その結果、自分の描く絵が徐々にシンプルになっていったのもあり…
「シンプルに描くこと」と、「速く時事を捉えること」は、自分の特性と合っているなと思ったことも、方向性が決まった要因ではありますね。
―描かれるモチーフを動物にされたのも、何か意図があるのでしょうか?
wakuta:LINEスタンプを最初に描いた時、いろんな動物と人を同時に描いて、セリフも同じにして、いわゆる『ABテスト』みたいなものをやってみたんです。
その時に、自分の描く絵は『人』よりも『動物』のほうが好感触だったので、基本的に動物を描くことが多くなっています。
―絵を描くにあたって大切にしていること、意識していることがあれば、教えてください。
wakuta:自分では「居る感」と呼んでいるんですけど。「実在はしていなくとも、存在している」という連想がしやすいように描きたいと思っていて。
『くまざわ』で言えば、丸くても重力を感じさせるようなとか、骨格を感じさせるようなところは意識しているんです。それを基本的に守っていれば、より伝わりやすいというか。
例えば伝えたいことが「これ面白いよね!」なのに、重力に逆らって変な動きをしていることでノイズになっちゃって、肝心の「これ面白いよね!」が伝わらない、というのが嫌なので、そこはフィクションでもリアルさは意識していますね。
1本の線にこだわって『上手い絵』を1枚描くより、同じ時間で『ちょっと上手い絵』を2枚描く
―影響を受けたクリエイターさんなどは、いらっしゃいますか?
wakuta:『ARMS』という漫画ですね。
小学生の時に通っていた床屋さんに置いてあった漫画で…腕が切れたりなど、ちょっとグロめな作品なんですけど。
子供ながらに、「絵を見て『痛い』とか思うのがすごいな」と思ったんです。自分が描く時と同じ道具を使ってそういう表現ができるのは、すごいなと。
リアル感というか…こうなったらこういう表情になるよねとか、こういう音が鳴るよねみたいな、意識をするきっかけになりました。
『アイシールド21』とかもそうなんですけど。
絵柄は違いますが、そういったリアル感は、参考にしています。
―画力やクオリティを上げるために試したことや、おすすめの勉強方法があれば、教えてください。
wakuta:模写とかはもちろんなんですけど。
自分がおすすめしたいのは、「自分の描いた絵が良いか悪いかわからない」って時に、絵を描いている人には見せないで、絵を描いていない人に感想をもらうってことでしょうか。
というのも、絵を描く人の分析と、絵を描かない人の分析って、明らかに違うんですよ。
絵を描く人だと、細かい1本の線とかが気になるけど、絵を描かない人からすると「別に全然気にならない、どっちも上手い」みたいな。
そうすると、1本の線にこだわって10分でめちゃくちゃ上手い絵を1枚描くのと、ちょっと上手い絵を10分で2枚描くのだったら、2枚描くほうが僕はいいと思っていて。
絵を描く人に細かいところを指摘されてそこを意識すると、より時間がかかる絵を描くことになっちゃうので、それよりは、絵を描かない人に「ここが良い」とか「ここが悪い」とか、より『漠然としたもの』をアドバイスしてもらうほうが、ある種伝わりやすい絵になるのかなと思うんです。
だから、絵を描かない人に見てもらうのは必要だろうなと思うので、おすすめです。
―wakutaさんの絵は「わかりやすい色使い」も特徴ですが、配色については何か勉強されたんですか?
wakuta:いえ、一般的な暖色とか寒色とか反対色云々みたいな部分は、ネットで調べれば出てくるぐらいの知識しか多分ないのですけど。
実は一度、広告代理店に就職した時がありまして、「目を引く色使いってこういうものだ」というのが何となくあることを学んだので。
今も色々試したりしてるんですけど、なるべく色で惹きつけられたらなっていうのを考えてはいますね。
不安があるから描けている、満足したら描かなくなる
―現在は、どのようにお仕事を取っているんでしょうか? また、忙しくなってきた時のお仕事の優先順位は、どう決めていらっしゃるのでしょうか。
wakuta:自分はX(旧Twitter)や、InstagramのDMでご連絡いただくことが多いですね。
あとは、広告代理店時代の上司や同僚とか、知り合いにクリエイター系のお仕事をされてる方が多いので、それこそSNSで見ていただいてお声掛けいただくことが多いかなと思います。
依頼が重なった時は…そうですね。
イラストを描くお仕事って、2種類あって。
「発注者さんの中で既に『正解』があって、手を動かすだけで完結するお仕事」と、「何となく漠然とこういうのを描いて欲しいけど、どうすればいいのかわからない」っていう、こちら側にも発想を求められるお仕事があると思うんですけど。
後者のほうが正直、自分がやる意味があると思っているので、依頼が重なったりした時は、なるべく後者を選ぶようにしています。
―クリエイターとして活動する上で、不安などはありましたか? また、その不安とどのように向き合ってこられましたか?
wakuta:2年後3年後どうなってるのかわからないとか、求められるものを描いていられるのかとか、不安はもちろん今もあるんですけど。
でもそれを払拭するために動かないといけないので、落ち込んでる暇があったら描かないとな、という感覚ではあります。
むしろ満足したら描かなくなるだろうなっていうのもありますから、不安があるから描けてるなって思いますね。
―絵を仕事にしていて良かったことは、何ですか?
wakuta:1人で仕事をやっているので、いわゆる『社会と繋がるきっかけ』って、自分が動かないと何もないんですよ。
でも、今の流行りとかを自分で意識して取りに行かなきゃいけない部分もあって、逆にそれが社会と強制的に繋がるきっかけにもなっているので、そこは自分としては良かったなと思っています。
―逆に、大変なことはありますか?
wakuta:表現がお客様の意図に沿えていなかったりした時は大変だと思いますけど、自分は人とのコミュニケーションが好きなので、大変ながらも「こういう考えの人もいるんだな」と思って乗り切れてると思います。
―お話をうかがっていると、壁にぶつかった時の分析能力が高そうな印象を受けます。
wakuta:どうですかね(笑)
何か、子供の頃から「泣いても意味ないんだ」って思ってて。
小さい時に「シュンとしたとて何も解決しないな」となって、反省は反省として持ちつつ、じゃあそれを解決しようみたいな…切り替えが早いんですよね。
故に「舐めてる」「(シュンとしないから)反省してない」みたいに思われることも多いんですけど(笑)
でも、さっきお答えした『ABテスト』もそうですが、そういった切り替えをして、良くも悪くもこだわりを持たずに描けているのは、この性格から繋がっているのかなとは思いますね。
―最後に、今後の目標や展望を教えてください。
wakuta:今後の目標としては、正直「キャラ自体が1人で歩いてくれ」というか。
フォロワーやファンの方が、そのキャラの物語を作ってくれるようになるのが1つ大きな目標ではありますね。
あとは、シンプルに描き続けること。
自分が飽き性ではあるので、なるべく描き続けることを目標にしたいなと思っています。
自分自身、内から湧き出るものがあって描いているタイプではないので。
だからこそ仕事にできているっていう部分もあるんですけど。
でも、だからこそ、何もしないと描くことがなくなるので、周りから色々インプットしていくのが目標であり、命題でもあるというか…
続けていかなきゃいけないことだなと思いますね。