「楽しむ要素がなくなると、アイディアも死んじゃう」Hirokoさん

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10年間、まったく絵を描いていない時期があった

現在の活動内容について教えてください。

Hiroko企業様からの依頼で、商品や店舗さんのビジュアルを描かせていただいています。
他にも音楽活動をされている方や、YouTubeで活動されている方のMVに使う画像だったり、そのYouTubeチャンネルで使われる画像だったりをご依頼いただくこともありますね。

あとは、グッズ販売もおこなっていて、イベントにも出展しています。
収入の比率で言えば、クライアントワークとグッズ販売、それぞれ32くらいでしょうか。

では、イラストレーターとしてお仕事をしようと決心したきっかけを教えてください。

Hiroko絵を描くことは幼稚園に通っていたぐらいの頃からすごく好きで、ずっと描いていましたね。
それで高校生になって「大学どうしようかな」と考えた時に、「まあ、絵を描くのが好きだし、美大に行こうかな」と思って、美術大学に行きました。
美大に行った後に、「やっぱりここまで本格的に習ったわけだし、絵の仕事に就きたいな」と思ったのが、恐らく直接的なきっかけになったと思います。

ただ、私は就職氷河期世代で
なかなか思ったような仕事には、ほとんど求人がなく、絵の仕事には就けなかったんです。

結局、一旦はデザイン系の仕事に就いて、その後、育児などをしている間は、在宅でホームページを作るような仕事をしていました。
その仕事を、ずっと10年ほど続けた形です。

なので5年くらい前、SNSに絵を投稿し始めた時には、絵が仕事になるとは全然思っていませんでした。
それでも、毎日ちょっと描いて投稿して、を続けている内にフォロワー数が増えてきたこともあって、SNS経由で「こんなお仕事をしませんか」という依頼が来るようになった、という感じですね。

― SNSに絵を投稿され始める前も、お仕事をしながら絵を描いていらっしゃったのでしょうか?

Hirokoいえ、もう丸々10年ぐらい何も描いていませんでした。
ただ、iPadを買った時「画面に直接描くなら、今の自分でも描けるかも」と思ったのがきっかけで、また描き始めたんです。

iPad自体は、スマホではちょっと画面が小さいなと思っていたのもあり、1台くらいあってもいいかな、と思って購入しただけでした。
なので、絵を描くために買ったものではなく、最初の1台は絵を描くにはちょっとパワーが足りなくて、すぐに容量もいっぱいになってしまったんですよ。
今は絵を描くのに適したiPadに買い換えましたけど、本当に仕事になるとは思っていなかったので
iPadを買ったら、いつの間にか今の状況になっていた、という感じですね。

すごいですね。そんな経緯があった中、ご自身の作品の方向性は、どのように決められたのでしょうか。

HirokoSNSに投稿した時、反響が大きかった作品と、そうでもなかった作品があったんです。
それを見て、反響の大きかった作品のテイストでもっと描いていこうかな、と考えた結果、今の形になっていきました。
すごく行き当たりばったりな感じではありますけど、手探りでやってきた形ですね。

可愛さの中にも、ちょっと格好良さがあるイラストを

作品を描くにあたって大切にしていること、意識していることがあれば教えてください。

Hiroko楽しんで描くこと、でしょうか。

仕事で描くようになってくると、目の前の与えられた部分だけをクリアすればいいかな、みたいな形になりがちじゃないですか。
ですが、クリエイティブな仕事ですから、やっぱり『楽しむ要素』がなくなってくると、アイディアの部分も死んじゃうところがあるかな、と私は思っているんです。

なので、何か新しいものだったり、自分が楽しめる要素だったりを、与えられた課題の中に入れていけるように、といつも意識しています。

影響を受けたクリエイターさんはいらっしゃいますか?

Hiroko投稿を始めたばかりの頃、SNSでいろんな方の作品を見たりしていたのですが、4年ほど前にMeyocoさんというイラストレーターさんの作品を拝見して、その方からはすごく影響を受けたと思っています。

とても可愛い感じのイラストを描いていらっしゃるのですけど、そんな中に、ちょっと宇宙っぽいイメージだったり、ゲームっぽいイメージだったり、という部分もあったりして。
そういう、「可愛さの中にも、ちょっと格好良さがある」という部分は、本当に参考にさせていただきましたね。

画力や作品のクオリティを上げるために意識していること、おすすめの方法などはありますか?

Hirokoそうですね
大学に入る前は、デッサンなどの、いわゆる『受験のための絵』みたいなものをすごく描いていました。そこで、画面の構成の方法だったり、構図の作り方だったりあとは視線を誘導させる方法などを学びましたね。
やっぱり、これらの勉強が基本的な画力を培うにはすごく役立ったかなと思います。

そこからの上達部分で言えば、描く絵のテイストにもよるのかなと思うのですけど
写実的な絵などは、例えば人物の筋肉のつき方みたいなものを、どう単純な形に捉えて描いていくか、と考えていくのが結構、簡単な方法なのではないかなという気がしているんです。

絵を描ける・描けないというより、『描き方を知っているかどうか』みたいなところかなと思いますので、単純な形として捉えていき、そこに遠近感を乗せて描く、という感じでしょうか。
私自身、今も描いたことのないものを描く時には、ネットなどで写真を調べたりして、とりあえずモチーフをよく見ていますね。複雑な形だった時には、それを単純な形に置き換えつつ描いていく、ということをしています。

時間が許す限り、ずっと絵を描いていきたい

現在は、どのようにお仕事を取っているのでしょうか。また、お仕事を受ける際の優先順位などもあれば、教えてください。

Hiroko仕事に関しては、特に自分から営業をしているわけではなく、SNSや個人サイトを見て依頼してくださる方がほとんどですね。

優先順位については、基本的にご依頼いただく仕事は全部受けている、という感じではあるのですけど
ただ、スケジュール的に受けられない場合もありますので、その時には、より自分に合っていると思える仕事や、今までやったことがなくて以前からやってみたいと思っていた、というような仕事を優先的に受けるようにはしています。

なるほど。ちなみにSNSでの発信においては、投稿頻度など、何か意識していらっしゃることはあるのでしょうか。

Hiroko最近、仕事が忙しい時にはほとんど投稿できなかったりしているのですけど、トレンドのタグがあったら、それに乗っかるようにはしていますね。
トレンドタグですと、上手く乗っかれたら拡散力もあると思いますので。

ありがとうございます。では、クリエイターとして活動する上で、不安などはありましたか。

Hirokoやはり、オンライン上での依頼となると、相手の顔が見えなかったり、相手の会社もよくわからない会社だったりとかいうことがよくありますので、そこに不安を感じることがありますね。

実際、DM経由などの依頼の中には、ちょっと詐欺まがいだったり、怪しいものもあったりするんですよ。
幸い、私は実際にお金を取られたことはなかったのですが
内容としては「自分の子供の似顔絵を描いて」とか「ペットの絵を描いて」みたいな依頼だったりもするのですけど、相手が過剰にこちらを褒めてくるとか、ちょっと感覚的におかしいと感じる部分があったりするんですよね。それで「メールでのやり取りにしましょう」と伝えたら、相手がメールを送ってくれなかったりとか。
回避はできたけれど、結果として詐欺だった、みたいなことはありましたね。

あとは、海外の方からの依頼も多くて。
私は英語がすごくできるわけじゃないので、翻訳ソフトなどを使って返しているのですが、ニュアンスがわかりにくかったりしてそういうやり取りに関しては結構悩んだり、大変だなと思うところがありました。

他にも、「見積もりを出してください」と言われても、結局何に使うのかがわからなかったりするとイラストの値段もピンキリですので、困りましたね。
今は、企業さんからの依頼などが何件か重なって、案件や媒体によっての相場が何となく見えてきましたけれど。
仕事を始めたばかりの頃は、すごく安すぎる値段で受けてしまった仕事や、逆に高すぎる見積もりを出してしまった仕事もあり結果、「高すぎるのでやっぱり結構です」と言われたこともありましたね。

なるほど、それでホームページも個人用と企業用が分かれていて、わかりやすくなっているんですね。

Hirokoいえ、ホームページに関しては、たまたま

実は、ホームページを勉強しているフォロワーの学生さんから、卒業制作にしたいので作らせてください、とお話をいただいて、作っていただいたものなんです。
その時、相手の学生さんから「個人様と企業様を分けたら、わかりやすいんじゃないか」と提案をいただいて、なるほど、と。
すごく可愛らしく作っていただいて、本当にありがたいです。

とても素敵ですね! では、少し先の内容と重なってしまいますが、絵をお仕事にしていて良かったこと・大変なことをそれぞれ教えてください。

Hiroko良かったことは、楽しいこと・好きなことを仕事にできている、という点ですね。
仕事とはいえ、日々楽しく描かせていただいています。

大変なことは
やっぱり、1人でやっていますので、セルフブラック(個人事業主による自らの過重労働)になりやすいところはありますね。
日中は子供の学校予定などで作業できないこともあるのですけど、それを取り戻そうと思って夜に何時間もやってしまったり『どこまでやれば完成か』という点でも、自分のさじ加減ひとつですから、やり込んでしまったり、とか。
そういう、依頼費用も忘れて何時間も描いてしまう、みたいなところがありますので、自分の管理が難しいなと思います。

最後に、今後の目標や展望を教えてください。

Hirokoまだ仕事が受けられるようになってから2年くらいですので、そう思うと、まだまだ受けたことのない仕事もたくさんあると思うんです。
なので、今はもう、とりあえずご依頼いただいたものを、できるだけたくさん描いて、こなしていきたいなと思いますね。

あとは時間が許す限り、今の状況を続けて描いていきたいなと思います。

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