家族の転勤が転機に
―現在のイラストレーターとしての活動内容について教えてください。
たこすけ:SNS経由で主に個人の活動者様からサムネイルやMVイラスト、配信画面の背景などのご依頼を受けています。また、1年に1冊くらい創作絵でイラスト本を出したいと思っているので、定期的に創作絵を描いてSNSにアップするようにしています。
―創作の作品は月にどのくらいのペースで描かれているんですか?
たこすけ:月に2枚は描くようにしています。平日は仕事絵、休日はできる限り創作絵というように、ざっくりと一週間の時間の使い方は決めています。
―絵を仕事にしようと決心したきっかけや理由を教えてください。
たこすけ:絵を描き始めたのは小学生のころだったんですけど、中学から社会人になるまでは全然描いていませんでした。
普通に絵とは全く関係ない仕事に就いていたんですけど、その仕事が自分に合ってなくて心身ともに疲弊していた中で、何か趣味を作った方が気持ち的に軽くなるんじゃないかなと思って昔好きだった絵を再開しました。
そうしたら描くのがすごく楽しくて、どんどんのめり込んでいって、絵ならば楽しく仕事ができるんじゃないか、いつか絵を仕事にできたらいいなと考えていました。
そんなときに、夫の転勤が決まって引っ越しによって前職を辞めるタイミングが来たので、年齢的にも今がイラストレーターになる最後のチャンスと思い、イラストレーターとして活動することを決めました。
―その段階でブランクはどれぐらいあったんですか?
たこすけ:10年以上ぶりですね。再び描き始めた頃は好きな漫画やアニメの模写をアナログで描いていたんですけど、途中から色をつけたくなって、ペンタブ買ってデジタルイラストを始めました。
そして軽い気持ちでSNSに作品をアップし始めると、ちょっとずつ反応をいただけて、それがすごく嬉しくて、どんどんもっと描きたい気持ちが湧いてきました。
―自分の作品の方向性はどうやって決めましたか?
たこすけ:今は背景を描いていますが、最初は背景が描けなくて人物だけ描いていました。全身を描くのが好きなんですけど、全身絵はバストアップに比べて背景のスペースが広くなってしまうことが多く、て一人の人物を描くだけだと絵的に寂しく感じて、背景も描けるようにならないと思いました。
元々デザイン性がある絵が好きで、自分も描ければなと思っていたんですが、デザインを学んでいたわけではないのでうまく背景に落とし込めなくて、それなら人が際立つような日常の風景の方が描きやすいんじゃないかなと思って、日常の風景を描き始めて今に至るって感じです。
日常の中に非日常を
―絵を描くにあたって大切にしていることや意識していることを教えてください。
たこすけ:一目見たときに好きと自分が思えるかどうかを大事にしています。自分は配色で決まってくるかなと思っていて、配色を決めるときは結構悩みながら描いています。
日常的な風景を描いているんですけど、絵だからこその楽しさも感じられるようなイラストにしたいなと思っていて、ちょっと非日常的な要素を入れることを心がけています。
―配色は結構難しいと思いますが、どのように配色を決めているとか、何かを参考にしたとかありますか?
たこすけ:カラーパレットみたいなものを眺めて「この色の組み合わせ好きだな」と思って参考にしたり、普段から好きな色の組み合わせをメモしておいて作品に使ったりしています。
テーマから決めるときもあって、例えば6月でアジサイにするなら紫系統で行こうかなみたいなぼんやりしたとこから決めていくこともあります。基本的に統一感のある配色が好きなので、ベースを2色ぐらい決めて、そこから彩度や明度などをいろいろ変えて配色を決めているって感じです。
―影響を受けたクリエイターはいますか?また、どんな点で参考にされていますか?
たこすけ:その時々で参考にしてる方が違っていて明確には回答できないんですけど、人物を生き生きと描かれている方や背景を描かれてる方を参考にすることが多いですね。
Xで参考にする絵師様リストを作って、好きって思ったときにリストに入れて、スキマ時間にそのタイムラインをちょくちょく眺めながら勉強してたりします。今ではもう100人以上リストインしていますね。
―画力を上げるために実際にやったことやおすすめの勉強方法はありますか?
たこすけ:作品を作ってはその都度反省して次に生かすみたいなことをずっと繰り返しているのと、描いたことがないものを描くようにしています。
また描くときにはどんな小さい物でも絶対資料を見ながら描くようにしてます。
描いたことのなかったもの、描けなかったものが描けるようになると自分のテンションも上がるし、自分も成長できたって思える絵の方がわくわくできるので、これからも新しいものを描きたいなと思ってます。
―現在、どうやってお仕事をとられていますか?また、仕事が増えてきた際にどのような基準でお仕事を選ばれていますか?
たこすけ:SNSのDMやメールでお声がけいただき、お仕事を受けてるっていう感じです。いただいたお仕事はできる限り対応したいと思っているので、納期が短い場合や、スケジュール的にちょっと余裕がないとき以外、納期が間に合うようならお断りはしていないです。
―クリエイターとして活動する上で不安がありましたか?また、その不安とどのように向き合ってこられましたか?
たこすけ:描くモチベーションはずっとあって、メンタル的に描けないことはほぼないんですけど、やっぱりフリーランスでやってる以上これからもご依頼が来るのか、これで生活できるのかっていう不安はずっとあります。
SNSなどで私の絵をたくさんの方が見てくださったり、依頼者様がすごく喜んでくださったり、イベントに出展したときに嬉しいお言葉をかけてくださったり、そういう嬉しい瞬間があったときに、やっぱりこのイラストを描く仕事をずっと続けてたいなと思います。本当に皆さんのおかげで不安は払拭されていますね。
あと、モヤモヤしたときに口に出すタイプなので、家族とか友人にいろいろ聞いてもらって解消してます。家族や友人には本当に支えられています。
―ご友人や周囲の方に絵を描かれる方はいらっしゃるんですか。
たこすけ:いや、描く子はいないんですけど、ステンドグラスジュエリーを作ってフリーランスで活動してる友達がいて、その子とは毎月のように作業通話しています。フリーランスで活動する上での悩みだったりとかを言い合いながら、切磋琢磨させてもらっています。
仕事とプライベートのバランス
―絵をお仕事にして良かったことと大変なことをそれぞれ教えていただけますか。
たこすけ:前の質問とかぶってしまうんですけど依頼者様がすごく喜んでくださったり、依頼者様のファンの方が喜んでいるのを見るとイラストレーターとして活動しててよかったなって思います。
大変なことは仕事とプライベートのバランスです。かけだしのイラストレーターなので、早くこの仕事で生活できるようになりたいとか、もっと上手くなりたいみたいな気持ちが先行してしまっているんですが、やっぱり家族と過ごす時間も大切なのでいいバランスが取れるようになりたいなって思ってます。
―今のところはどんな感じでバランスを取られてるんですか。
たこすけ:夫が基本土日休みなので、土日は仕事を入れずに家族の時間を作りやすくして、時間が空いたら創作絵を描くみたいな感じにしてます。
―今後の目標や展望があれば教えていただけますか。
たこすけ:日常に近い絵を描いているので、食品だったり飲料だったり日用品だったりそういう生活に根ざしたもののお仕事とか、広告とかもやってみたいなって思います。あと、書籍の表紙だったり挿絵だったりも、やってみたいです。
MVイラストを経験して、音楽との相性が良いと感じれたので、MVイラストやアーティストさんのジャケ写などももっと関われたらいいなと思っています。
具体的にやりたいことはたくさんあるのですが、自分の作品を通して少しでもいろんな人がポジティブな気持ちになってくれたらいいなと思っているので、それがかなう仕事なら引き続き何でもチャレンジしていきたいと思います。