「寄り道して分かったこと」観覧車ホテルさん

―クリエイターになったきっかけがあれば教えてください。 

観覧車ホテル:物心つく頃から絵を描くことが好きでした。 ですが、まだ自分で絵を描く事が仕事に繋がるところまでは想像していませんでした。

きっかけになったのは、自分がデザインをしたくない時期にデザイン以外の事をしてみようと思い、イベントのボランティアスタッフを経験した時です。その時にボランティアスタッフの先輩から「イラスト描ける?」って言われて、自分の描いたイラストを見せたら、スタッフの方に気に入って頂けて、今の活動に至ります。 

 

―デザインをしたくない時期があったんですか? 

観覧車ホテル:はい(笑)

専門学生時代に、バリバリのデザイン事務所にインターンシップに行ったんですけど、そこでデザインする事が全く面白くなくて…。私がデザインの面白さに気づけていない時期だったということもあり、「これを30年とかやっていくのか」って思うと急にデザインする事が嫌になってしまって…。そこで1回違う事をしてみようと思ってイベントのボランティアスタッフに参加したのですが、結局戻って来ていました。 

 

―イベントを通してやっぱりイラストを描きたいと思われたのはなぜですか? 

観覧車ホテル:イベントを運営する事で色々と新しい経験もするんですけど、自分はずっとデザインやイラストを描いて来たので、それを無駄にしたくないなって気持ちが溢れてきたんです。 

あと2回目のインターンシップで市役所に行った時は、市役所ならデザインとかけ離れているから違う事ができるのかなと思っていたんですが、実際は”パンフレット制作”というガッツリデザインの仕事で(笑) 

印刷会社さんとのやりとりとか、どういうデザインの構成にするか、などの仕事も手探りで進めているうちに大変だけど「やっぱデザインって楽しいな」って思い戻ってきました。

 

―寄り道したからこそ分かったことですね!

観覧車ホテル:そうなんです!専門学校で初めて違う事にチャレンジして大変さがわかったんですけど、やっぱりその経験の中で楽しさを再発見して戻ってきました。

index

私にしか描けないイラストを描きたい

―現在主にどのような活動をされていますか?

観覧車ホテル:イラストレーターやデザイナーとして、依頼を受けて要望に沿った仕事をすることが多いです。

ボランティアスタッフを経験した事がきっかけでイラストを描いて、それ以外にもだんだんクライアントさんが増えてきました。 

 

―イラストレーターとして活動していて良かったことは何ですか?

観覧車ホテル:自分を選んで下さったクライアントさんに作品を喜んでもらえた事です。

「自分が思い描いていたもの、どストライクです!」みたいな反応を頂けた時は、 飛び上がる気持ちになりますし、それがきっかけで「次回もお願いします」と次に繋がる事が一番嬉しいですね。 

 

― 観覧車ホテルさんがオリジナルの作品を描く上で、大事にされていることはありますか? 

観覧車ホテル:常に「私にしか描けないイラストを描きたい」と思うことを大事にしています。 これは観覧車ホテルにしか描けない!というイラストを自分で売って行きたいんです。 

そう思って描き込んでいるので、制作には結構時間がかかっちゃいます(笑) 

 

―時間がかかるのはどの部分でしょうか?

観覧車ホテル:描く時間ですね。すごく描き込んじゃうので…!

―特に描き込んで表現したいところはありますか? 

観覧車ホテル:一部分ではなく、全部において自分が納得するまで描き込みたいタイプですね。 

ここだけが画力高いとかではなくて、全部画力高いみたい!なイラストを描きたいです。 

 

―画力が高いとうのは、細部まで表現するってところですか?

観覧車ホテル:細かく線を描いたり、色使いにしてもリアルだけどイラスト感があるようにします。

そこもこだわりがあって、写真と同じなら写真で良いと思ってしまうので、写真と同じようにイラストを描くのではなくて、写真では表現できない色の使い方とか、手描きだからこそ、人が描いているからこそ出来る色の組み合わせを意識しています。 

高校時代、専門的な知識の高い先生方に、アクリルガッシュや水彩画、デッサンなど色々教えていただきました。その時に技術だけではなく、アーティストとしての思想みたいなものも教えていただいたので、今でも細部までこだわることを大切にしています。 

 

―レベルが高い方がいらっしゃったからこそ、細部までこだわることが大切であると気が付いたのですね。その中で学んだ観覧車ホテルさんらしさってありますか?

観覧車ホテル:先生から「あなたは色がすごく良い。その年でその色を出せているのは素晴らしい事だし、そこを伸ばしていくべき」って教えていただいて。 

オリジナルを突き詰める人達が周りにいて、そういう人たちが何をもがき苦しんでいるかっていうと、自分のタッチを確立させることで。それに右往左往してしまってもがき苦しんでいるところがあって……。でも私は、若い時から自分のタッチが確立出来ている点はすごく恵まれている事だと思っています。 

 

―ご自身のタッチや世界観はいつごろ出来たのですか? 

観覧車ホテル:そうですね。初めて油絵を描いたときに今の色味が自然に出たんですよ。私は意識してないけど、描いていたらそういう色になっていて。色々な人からすごく褒められたんです! 

それからどんなイラストを描いても、どうしてもその色にたどり着くというか、無意識にその色になるんですよ。計算して初めからこういう色にしようではなくて、 描いていると自然にそういう風になっていって、ゴールは自分の色味になっているみたいな感じです。 

 

―すごいですね。初めて描いた時からずっと自然と同じ色味になっていると。 

観覧車ホテル:そうですね。それに気づいてからは「それを大事にしよう」って思っています。

ただちょっと離れつつあります。やっぱりデザイナーになると、個性を消さないといけない事が多いので。学校を卒業してからはデザイナーをメインにしていたので、これからは自分のタッチに戻していきたいなとは思います。ガンガン個性が出てた時に戻して(笑)両方出来るようになりたいです。

イラストだから表現できること

―今後の展望があれば教えてください。 

観覧車ホテル:二つあって、一つ目は今回お誘い頂いたグッズ販売です。元々興味はあったんですけどなかなか一歩踏み出せなかったので、この機会に始めていけたらなと思っています。

二つ目は、デザイナーとして今以上にもっと色々なジャンルのお仕事に携わっていきたいです。最近はポップな感じや元気なイラストを頼まれる事が増えているんですけど、おしゃれなカフェとか、今までとは違うジャンルのイラストにも挑戦していきたいです。

 

―観覧車ホテルさんが思う、イラストが人に与える影響って何だと思いますか? 

観覧車ホテル:文字では表現出来ないイメージをイラストを通して伝えているなと思っていて、何かイラストって声優さんと似ているなと思っています。 

例えば「おはようございます」っていうテキストがあって、文面だけじゃ「おはようございます」って事しか伝わらないじゃないですか。例えば男性の声優さんが言ったら、ちょっとかっこいい爽やかな「おはようございます」になったり、いろいろ表情があるじゃないですか。 

それと同じで「おはようございます」っていう文字を例えばポップに見せたり、また違った表情でロックな感じに見せたり、イラストでそういう表現があるモノかなと。 

 

―表現が多彩だから、より届けたい人に届けることができるということでしょうか。

観覧車ホテル:そうですね。イラストは自由自在で七変化できるので、私は自分の主張があるイラストだけじゃなくて、相手にどストライクで突き刺さるイラストを描きたいです。 

 

―受け手に突き刺さるイラストですか? 

観覧車ホテル:私の場合はそうです。アーティストさんは自分の世界を売ることが多い様に思いますが、私はあくまでも自分の世界は組み込みつつも、相手の思いに刺さるものを考えて、相手のイメージにそっと寄り添って作りたいです。私にも「自分の世界を!」という時代があったのですが、今は相手に突き刺さるイラストを描きたいですね。

―最後にクライアントさんやファンの方に一言いただけますか。 

観覧車ホテル:さっきお話しした事と同じことなんですけど、私はクリエイターではあるけど寄り添い型なので、お客さまや相手の気持ちを汲み取って、制作して行きたいと思います。

SHARE
  • URLをコピーしました!
index