絵を描くことで、自分が救われたい
―現在の活動内容について教えてください。
光石トヲル:SNSへの気ままな投稿がメインで、あとはご依頼をいただいたらお受けする、という形が現在の活動内容になっていますね。
お仕事としては、最近ではMVのイラストなどを何件かいただきました。

―イラストレーターとしてお仕事をしようと決心したきっかけを教えてください。
光石トヲル:小さい頃からずっと絵を描いていたのですが、社会人になってからは忙しさとプレッシャーで全然描かなくなってしまったんです。
そういう日々が続く中で「人に悩みを話しても、自分の心が完全に軽くなるわけではないし、逆に相手の心に負担をかけてしまうかもしれないな」と思うようになって。
笑い話にできることはどんどん話すんですけどね。たぶん、悩みを相談するのが苦手なんだと思います。
それで「じゃあ絵にぶつけてみよう!」って思って、また描き始めました。
完全にストレス発散というか健康療法みたいな感じで。
学生の頃はPCメインで絵を描いてたんですけど、再開するにあたってiPadを購入しました。今は誰かに向けてというよりかは、自分のために描いている感覚の方が強いですね。
―ご自身の作品のスタイルや方向性は、どのように決められましたか。
光石トヲル:描き続けるうちに自然と今の形になった、というのはあります。
私は小さい頃からゲームがとても好きで、とくにFFなどのRPGには大きな影響を受けましたね。
ただ、明確に「この方向で行こう」という意識はあまりなく、本当にその時その時の感情で描いています。
基本的に絵は「あ~、もう嫌だな~」みたいな気持ちというか、今あるプレッシャーから早く解放されたいな、という気持ちで描いていることが多いんです。
天使など神聖な存在をモチーフにしたイラストが多いのも、自分が救われたいという思いからだと感じています。

自分の感情を、素直に絵の中に表現できているかどうか
―作品を描くにあたって大切にしていること、意識していることがあれば教えてください。
光石トヲル:絵を描こうと思った時の感情を素直に描き出せているかどうかです。
私は絵に助けられたいというか、自分の絵に救われたいと思って描いているので、本当に自分が抱いている感情が、しっかり絵の中に表現できているかどうかが大事なんです。
「感情を表現できているか」と言葉にすると難しく聞こえますが、
描いていて「ちょっと気持ちが楽になったな」と感じられたときは、ちゃんと表現できたんだなって思えますね。
ですので、描くペースも本当にバラバラで、ストレスがとても溜まっている時は描くスパンがすごく短いんですよ。
逆に、あまりストレスが溜まっていないと、次の作品を描くまで期間が空く、みたいな。
感情が乱れている時は、本当に毎日絵を上げられるくらい、投稿ペースがすごく頻繁になっていると思います。
―影響を受けたクリエイターさんはいらっしゃいますか?
光石トヲル:特定の作家というより、これまで触れてきた多くの作品から少しずつ影響を受けている気がします。小さい時からプレイしてきたゲームや、映画、漫画など。とくにファンタジー作品が大好きで、きっとその世界観が今の私のベースになっているんだと思います。

―なるほど。ちなみに、今まで観たりプレイしたりしてきたファンタジー作品の中で、一番はまった作品などはあるのでしょうか?
光石トヲル:そうですね…ゲームでは、やはりFFでしょうか。中でも「ファイナルファンタジーX」は何回プレイしたかな、というくらい繰り返しプレイしましたね。
ほかにも、ヴァルキリープロファイル、ゲームが楽しいと思えるきっかけをくれた、がんばれゴエモンシリーズなど、大好きなタイトルがたくさんあります。素晴らしい作品が多くて、1番を選ぶのは難しいですね。
―ありがとうございます。では、画力や作品のクオリティを上げるために意識していること、おすすめの方法などはありますか?
光石トヲル:私自身、まだまだでもっと勉強しなければと思っています。
それでも、描き続けることは大切だと感じます。
毎日少しでも机に向かって何か描いていれば、上手いとか下手に関係なく、絶対に力はついていくのではないかな、と。
自分のために描くことと、誰かのために描くことの感情処理
―現在の、お仕事を受ける際の優先順位などがあれば、教えてください。
光石トヲル:そうですね…
特に細かい優先順位は決めていませんが、スケジュールや自分の体調に無理のない範囲でお受けしています。
幸いにも、これまでは方向性やテイストが自分と違う、というようなご依頼がなかったので、今のところは悩むこともなく、いただいたお仕事はお受けしていますね。

―クリエイターとして活動する上で、不安などはありましたか?
光石トヲル:先の質問にお答えした通り、私は基本、自分のストレス発散のために描いているので、誰かのために描くとなると、どう描けばいいのだろう、自分でいいのだろうか…とすごく不安になりますね。
ですが、これまで依頼してくださった方々は、皆さん本当に優しくて丁寧な方ばかりで、作品について「こういうところが良い」と言葉にしてくださります。
すごく嬉しくて、抱いていた不安が、その言葉でチャラになるというか。
「じゃあこれでいきます!」と前向きになれます。
毎回最初は不安でも、やり取りを重ねる中で少しずつ消えていきますね。
ただ同時に、「まだまだ実力が足りないな」と痛感することも多く、その思いが次への課題や原動力にもなっています。
―では、絵をお仕事にしていて良かったことを教えてください。
光石トヲル:私を選んで依頼をくださって、その上感想などをいただいた時は、もう、すごく嬉しいですね。また、ご依頼を通じてその方と直接やり取りをし、つながりが生まれることも、とても嬉しく感じます。
―逆に、大変なことはありますか?
光石トヲル:どうやって描こう、と迷った時は、大変ですね。
一度筆が止まってしまうと、何日もフリーズして全然描けなくなります。
描き始めると早いのですけど、描き始めるまでが大変というか。
感情に比重が傾きすぎているので、もうちょっと上手くできたらいいなと思いますが…難しいです。無意識の内にいろいろ考えて、その感情を処理するのに時間がかかる感じですね。

―最後に、今後の目標や展望を教えてください。
光石トヲル:とりあえず今は、描き続けることを目標にしています。
自分として「描ききった」と思える作品を生み出せたら良いなと思っていて、
そういう作品が少しずつ増えてきたら、その時の想いや背景も言葉に書き添えて画集などにできたらいいなと。
それから展望としては、やはり昔からゲームをたくさんプレイしてきたので、ゲーム関係のイラストなどにほんの少しでも携われたら嬉しいですね。

