「どんなヘタな絵でもいいから、好きに描いていこう」かわのめぐみさん

index

どんなヘタな絵でもいいから、好きに描いていこう

―クリエイターとしての主な活動を教えてください。

かわのめぐみ:今は2ヶ月に1回、もしくは1ヶ月に1回ほどの展覧会に作品を出展するっていうのが主な活動になります。
それと、展覧会の合間に即売会などのイベントに参加してグッズや絵画を販売しています。

―オフライン活動が多いのですね。その魅力はどういうところでしょうか

かわのめぐみ:自分がアナログで、絵の具でお絵描きしているのでそれを実際に見てもらったほうが実体験として皆さんに届けられるのかなと思っています。
私は絵の具の中でも蛍光ピンクをよく使うんですが、蛍光って画面とか印刷では結構落ちちゃう色なので。それを生で見てもらうことで、すごく綺麗に見えるんじゃないかなと思って展覧会に出展しています。

―作品を作品のままに出すことに表現へのこだわりを感じます。

かわのめぐみ:そうですね。グッズになるとグッズ用の絵を描いたりして分けてやっています。

―同じイラストではなくグッズ用のデザインを描かれるのですか?

かわのめぐみ:そうですね、グッズ用のデザインを新しく描いたり、実際の絵をポストカードにしたりっていうことはありますが、グッズと作品は別で考えてはいます。

―作品を作りながらグッズ用で絵を描くとは、大変ですね。

かわのめぐみ:そうかもしれないです。だからあんまりグッズの量ができないんですよね。

―大変ですよね。2ヶ月に1回か1ヶ月に1回の展示会ってかなり多いですよね?

かわのめぐみ:他の方に言っても驚かれるくらいは忙しいかもしれないですね(笑)

―その頻度で展示会を開いてイベントも挟むとなると、かなり作品制作に時間がかかっていますよね。
クリエイターを目指したきっかけはありましたか?

かわのめぐみ:小さい頃から絵を描くのが好きでしたし、図工や工作も好きでしたね。絵を描くのが好きだったので、美大に行ったんです。せっかく美大に入ったんだから、本気にならないとダメだなって思って。
その時から展覧会も2ヶ月に1回は作品を出展することを続けているので、大学に入ってから切り替えましたね。

―切り替えスイッチが入ったきっかけはありましたか?

かわのめぐみ:学費が高かったので(笑)自分のお金なんですけど。
入学して、学年でかなり上手い人達と仲良くなったので、そういう人たちに囲まれて描くことで自分のレベルの低さを改めて認識しました。
そんな中で絵を描いていると、中途半端だと失礼な気がしちゃったんですよね。なんかヘラヘラしていたらいけないっていうか。その友人たちがこんなに頑張って、すごくもがいて作品作っているのに、適当な思いで絵を描いていたらダメだなと思って、そこから頑張ろうって思いました。

―同級生からの刺激を受けて、本気で取り組まれたのですね。

かわのめぐみ:もう間違いないですね。本当に恵まれていたと思います。

―そこで挫折することはなかったのですか?

かわのめぐみ:一回「あーすごく自分は下手だー」って落ち込んだことはありました。その時自分のプライドを捨てようと思って。
もう一度、どんなヘタな絵でもいいから、幼稚園児が絵を描くように、好きに描いていこうと。あの子たちって上手に描こうとしているわけじゃないじゃないですか。楽しく描こうとしているから、初心に帰って楽しく描こうって思ったら変なプライドとかはなくなりましたね。

―そのとき持っていたプライドというのは?

かわのめぐみ:地元では上手いみたいな、自分は自分のことを上手いと思っていたけど、そうではないと痛感しましたね。

―どうやって切り替えられましたか?

かわのめぐみ:すごくイライラするとムキになるタイプなんですよ(笑)
当時、クリエイターさんで尊敬できない人がいたんですが、色んな本の装丁やイラスト本を出版していて、この人よりは上に行かないとだめだと思って(笑)そういうところがあったかなと思いますね。怒りを原動力にしてやっちゃったみたいな、負のエネルギーは強いですから(笑)

世界に対する見え方が変わる

―クリエイターとして活動されている中でよかったことを教えてください。

かわのめぐみ:2つあって。
1つは実際に自分が作ったものを褒めてもらえること。地元の友人に聞くと、自分が携わって会社として作ったものはたくさんあるけれど、自分で0から1を作ったことは無いから、褒められても実感が無いっていう風に言うんです。
私は0から全部自分で作っているので、それをいいねと言ってもらえるのはものすごく達成感があります。

もう1つは、世界の見え方が変わるっていうか。例えば山を見たときに、今までだったら見ようとも思わなかったんですけど、絵を描き始めてからはあの山はなんでこういう形をしているのか、今この季節だからこういう色で、雲が来たらこういう色になってとか、自然の移ろいみたいなところを観察するようになったんですよ。それができていることによって、前よりは世界が鮮やかに見えているんじゃないかなって思います。

―今まで気にならなかったことが気になり、新しい感覚になっていく感じですか?

かわのめぐみ:そうですね。考えて色んなものを見るようになった感じがします。

―苦労していることはありますか?

かわのめぐみ:苦労もすごくあって。
2ヶ月に1回展覧会出しているので忙しくて、毎回嫌だと思いながら絵を描いているんですよ。毎回毎回絵が売れるわけでもないし、グッズもたくさん売れるわけでもないので、在庫も抱えつつ、在庫やたくさんの画材とかに囲まれながら狭い部屋に暮らしているので、どんどんマイナスの曇りがどんどん出て来るんですよね。それがしんどいなあと思うことがすごくあります。
あと製作に時間をとってるとお金を稼ぐ時間が無いんですよね。制作で100%お金が入ってくる事もあればそうでない事もあるので。じゃあ働かないとなると、制作に時間をとれない。どっちに時間をとるかというところで苦労しています。

―時間の捻出も大変ですよね。それもさることながら、在庫と画材に囲まれて描くっていうのも結構ネガティブな感じですよね。それをご自身の中ではどう整理していますか?

かわのめぐみ:売れずに返ってきたりしたら、あんまりよくなかった絵なのかなって思いがちなので、わざと梱包して見えないところに収納しています。すぐそこに置いていたらチラチラ見てしまうから、もう1回忘れて、それより次の展覧会があるので、そっちにシフトしていますね。

―頻繁に作品を出展されていますが、描きたいものはポンポン出てきますか?

かわのめぐみ:全然です。描かない時間の8割くらいは絵について考えています。私は神社をよく描くので、神社に関する本や写真集を購入して、ずっと構想は練っていますね。

―すごい情熱ですよね。

かわのめぐみ:いやでもしんどいんですよ…。

―しんどいですよね、絶対。

かわのめぐみ:すごくしんどいです。私はゲームがすごく好きなので、ゲームをする時間だけは絶対絵のことを忘れると思って、切り替えようかなってやっていますね。

―本当に大変なことだと思います。その中で情熱を絶やさないのはどうしてですか?

かわのめぐみ:社会的な信用を守るためですかね。
もちろん自分は制作がしんどいけど、きっと好きなんですよね。
だけどそれだけではなくて、忙しい中でもすごくお世話になっているギャラリーの方が展覧会に誘ってくださったら、出ますって言っているんですけど、出るって言ったからには責任を持ってやりとげないといけないって思います。あと今まで販売してきた絵を購入してくださった方にも、今も尚ずっとやり続けているよっていうそういう責任みたいなのを持って制作しないといけないなといつも思っています。

―続けられるってすごいですよね。かわのさんが続けているだけで作品の価値って変わりますもんね。
かわのさんの周りでやり始めたけど続かなかった人って多いですか?

かわのめぐみ:そうですね、9割はもうやめていますね。

創り続けること

―それだけ過酷な状況で絵を描かれているんだと思うんですよね。その中でも大切にされていることはありますか?

かわのめぐみ:さっき言ったことですが、創り続けることをすごく大事にしています。
もうすごく疲れて、もう二度と絵を描きたくないって毎回言っていますけど、その度にドローイングだけはしとこうかなとか、鉛筆を持って適当に落書きはしてみようかなとか、どんなに疲れた時でもなにかしら手を動かすのは大事にしています。
今こういう書き方をしたら売れる、流行みたいなのが絵画の世界にもありますが、それに無理やり乗らない。自分がやっていて楽しくないことは続かないので、自分がやりたいことや表現したいこと以外は無理やりやらないようにしています。

―流行に乗らないことって作家さんとして難しいことではないですか?

かわのめぐみ:そうですね。やっぱり流行りの方ではものすごい数の人たちがいるんですよ。流行り絵で上手っていう人はものすごくいるので。私は私の絵で個性を強めていったほうが、絵画としての価値は高まるかなと。
その方が「かわのめぐみ」というブランドが強くなるのかなと思っているので、今これが流行っているのかってスーって見るようにはしています。一応知識としては入れるようにして。


―作品に対して大事にしていることはありますか?

かわのめぐみ:最近ですが、描き込みすぎないことに気をつけようと思っています。植物ひとつ描くにしたって、葉っぱ一枚一枚を描いていくのは誰にでもできることなんですが、そうじゃなくてちょっと簡略化してみたりとか、色だけにしてみたりとか、そもそも葉っぱを描かずにもくもくっとした抽象的なものにしてみたり、そういう風にみんなができるような描き込みをするんじゃなくて、自分のできる表現をどんどん探して行っているっていう感じですね。

―かわのさんだからこそできる表現にチャレンジしているということですか?

かわのめぐみ:そうですね。ずっといろいろ細かく変えて、チャレンジはし続けています。

―今はまだ完成ではない感じですか?

かわのめぐみ:もうそれは多分ないですね(笑)多分ずっとお絵かきするのをやめるときまで、自分はずっと下手だったなって思うかもしれないです(笑)

夢はいっぱいあります

―プライドを捨ててからの頑張りがすごいですね。成功するかどうかは置いておいて、描かないと絶対成功しないですもんね。
今後の展望はありますか?

かわのめぐみ:イベントにはもっと出たいなと思っていて、その中でグッズをもっと豊富にさせたいですね。
よくインスタとかで、グッズの梱包をされているASMRの動画があるんですが、イラストレーターさんがオンラインのオーダーがあったときに、ステッカーとかをただただ袋詰している動画があって、それを見るのがすごく好きで(笑)
そういう人を見ると、絵単体というよりグッズのほうで頑張っているので。私は絵もそうですけど、グッズを今より豊富にさせて、オンラインで販売してお客様が購入してくれたらいいなと思っています。
あと、海外の方にアプローチしていきたいなと思っています。今はコレクターさんがちらほら見てくれているって感じなので。
あと、動画製作をしたくて!自分が描いているところを撮って、YouTubeなりインスタなりにあげたりとかしてやっていきたいなって。結構夢はいっぱいあります(笑)

―動画は面白そうですね!

かわのめぐみ:そうなんです。やってみたくって、どうしようかなって頭でずっと構想練っている感じです。

―最後にファンの方に一言お願いします!

かわのめぐみ:まずはいつも見ていただいてありがとうございます。めちゃめちゃもがきながらも今後もずっと絵を描き続けるので(笑)
ぜひ見守っていて欲しいです。

SHARE
  • URLをコピーしました!
index