「何歳から描き始めても描き続ければ見えてくるもの」風花 咲智さん

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ほぼ見向きされなかった参加1回目の即売会

―現在の活動内容について教えてください。
風花:XやインスタなどSNSに絵を投稿したり、今年の1月からは即売会参加したりしています。

―絵を仕事にしようと決心したきっかけや理由を教えていただけますか。
風花:絵を仕事にするんだみたいなそういう決心は特にしていないんですけど、とりあえず何か売ってみようかなと軽い気持ちで参加したのが今年の1月の関西コミティアです。

絵はもともと高校卒業するぐらいまでちょっと遊びで描いていたくらいで、就職してからは全然描かなくなっていました。そこから20年以上のブランクを挟んでまた絵を描き始めたのが今から5年ぐらい前です。年齢的にも遅い再開と感じていましたのでお仕事にしようとは特に考えてもなく、Twitterとかでイラストをあげていく中で仲良くなった方たちと、絵の見せ合いっこを楽しんでいる感じだったんです。
ですが、当時の職場で結構いろんなことがありまして、去年の9月に退職したんです。
その職場は副業禁止のところだったので、即売会にはそれまで参加していなかったんですが、退職を機に参加してみようかと思って、今年の1月から参加し始めた形です。

―ご自身の作品の方向性、今はまだ迷っていらっしゃるところではあると思うんですが、どうやって決めていきたいなとか、ここまでは決められたな、などありますか。

風花:あまりにも様々な作風の作品を描いていたので、方向性が本当に定まってなかったんです。ですが、1月に関西コミティアに出店したときに、あまりにも作品がお客さんの目に留めてもらえなかった経験があって、そこから『どうやったら見てもらえるような絵になるのかな?』みたいなことを考え始めました。
そこで次の5月の関西コミティアにむけて、レトロポップを念頭に女の子や動物、食べ物など、自分が見て幸せな気持ちになれるモチーフを組み合わせて、印刷自体もレトロな仕上がりが期待できる印刷方法を採用して作品を作ってみました。そうするとこの作品は多くの方に見てもらうことができて。

本当に手探り状態ですが、自分が好きなものの中で何を組み合わせていけば、自分が好きなものを描きつつ他の人にも共感してもらえる絵になるのか、今でも模索中という感じですね。

―絵を描くにあたって大切にしていることや意識していることがあれば教えていただけますか。

風花:どういう作風の絵でも、見てほっとしたり楽しくなれる絵を描きたいなと思っています。
現実の世界って結構つらかったり、嫌なこととかが多かったりするイメージが自分にはあるので、自分が生み出す作品は、ちょっとでも笑ってもらえたり、少しでも元気になれたり、ひと時でも優しい気持ちになれるような、そんな作品を作り出したいという意識があります。

―影響を受けたクリエイターさんはいらっしゃいますか。また、どんな点で参考にされていますか。

風花:具体的には浮かばなかったんですけど、小中高時代に読んでいた少女漫画からはかなり影響を受けています。あと絵本や小説の挿絵とかも。
妖精とかファンタジーとか、何かしらちょっと不思議な感じのものが好きだったので、今でも世界観などは、影響されていると思います。
絵を再開してからは、私が10代のころには身近になかったインターネットやSNSを通じて、色々な人の作品を見たり、図書館でデザイン系の本や技法書などを片っ端から借りて読んだりしています。
ですので、10代の頃に読んでいた少女漫画やファンタジー系の挿絵などを軸に、いろんな人たちの作品から断片的に影響を受けているという感じかなと思います。

がむしゃらに大量に

―画力を上げたり、作品のクオリティを上げるために実際にやったことや、おすすめの勉強方法があれば教えていただけますか。

風花:私、10代のときに絵を描いてはいましたが上手かったわけではなくて、その上で20年以上もブランクがあったので、5年前にまた描き出したときは「何なんだこれは?」っていうぐらいひどい状態だったんですよね。
ネット検索するとYouTubeなどで絵の練習方法をあげてる方がいっぱいいらっしゃったので、YouTubeの講座を見たり、図書館で技法書などを借りて読んだりして、ひたすら基礎練習みたいなやつを2ヶ月ぐらいはやっていました。

そして少しマシになったくらいの頃に、ちょうどコロナ禍になってしまって・・・。
そうするとTwitterやInstagramで個人の方や画材メーカーさんが、絵のお題を一ヵ月分用意して『1ヶ月、1日1絵チャレンジ』を企画して下さったので、自分も参加しました。がむしゃらに絵を描いて、すごい数の絵を次々とSNSにアップしてた時期がありまして。その中でとにかく描かないと上手くならないなと感じ、強制的に描くためにもそのような企画に参加していました。

そして考えて描くのがしんどくなってきたら、Instagramで外国の方がよくやってた、DTIYS(draw this in your Style)という企画に参加していました。DTIYSは主催者が1枚の絵を描いて、その絵を各個人の作風でまた描き直して投稿するような企画だったんです。そのため、その絵を基にそこからさらに発想を広げてリデザインしてもいいし、その絵を自分の作風で真似て描いてでもいいから、描きあがればInstagramに投稿してみましょうという企画でした。

色や構図などは元の絵でデザインが決まっているのでデザイン面ではあまり頭を使わず、自分の絵柄で描き直すだけだったので結構楽しくやっていました。
また、真似して描いていると、その方が工夫して描いてるところなども見えてきて、「海外の方はこういう絵を結構好むんだな」という傾向や発見も見えたのが良かったです。
難しい構図でも真似だと描きやすかったりするので、身になり少し上達したなっと感じました。
あと、そのときはあまり意識してなかったのですが、どんな形でもとりあえず1枚の絵を完結させることになるので、途中で放置することが少なく、おのずと完成させる力もつきました。

お仕事辞められてフリーで活動を始められる上で不安なことはありましたか。また、その不安とどう向き合ってこられましたか。

風花:もう不安しかありませんでした。SNSのフォロワー数も私はかなり少ない方なので知名度もないし、イラストをアップしても、今は環境的にSNSの拡散力もかなり落ちてるということもあり、自分の絵をどれだけの人が見てくれるのかなとは常に思っています。
最初の即売会参加のときも見事なぐらいに足を止めてもらえなくて、自分の実力はこれほどまでにないのかと、正直心が折れました。でもここで折れてても仕方がないと、『とりあえず1年ぐらいは試行錯誤しながら開き直ってやってやろう!』って気持ちになったんです。
仕事も退職した後だったので、言ってみたらもう失うものなんてないわけじゃないですか。
やらなかったらそこで止まってしまうし、1年経ったら本当にだめかどうかも見えてくると思い、どうせ退職したのなら、『やりたい!』と興味が惹かれるものにチャレンジしてみるのもいいのかなって思いながら描き続けて今に至ります。

―この活動を始めて良かったことや大変なことを教えていただけますか。

風花:良かったことは、即売会で作品の意見を直接伺えたり、嬉しい言葉をかけていただいたり、グッズを買われる時には笑顔で買ってくださる方ばかりなことです。とても嬉しいなといつも感じていますし、沢山元気をもらっています。『自分が描いた絵をこんな嬉しい形で買ってもらえるなんて、なんて幸せなんだろう』というのが即売会を通して、感じたことですね。
大変なことは、『どうしたら立ち止まってもらえるような絵が描けるのか』を考えることが、スタイルを確立してない自分にとっては大変です。

―最後に今後の目標や展望を教えていただけますか。

風花:本格的に活動を始めたのがこの半年なので、しっかりと目標や展望があるわけではありませんが、絵も含めて自分でなにかを作り出していくお仕事に繋がってくれたらいいなと思っています。

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