幼い頃から「線を描くのが好き」だった
―現在の活動内容について教えてください。
さくりゃ:現在は、SNSでの発信、イベント出展、そして展示会の3つをメインに活動しています。特に力を入れているのが、SNS投稿です。オリジナルキャラクター「マリンちゃん」の認知度をもっと上げたいなと思っているので、今は毎日SNSを更新しています!
SNSで今のアカウントを作ったのが2020年で、そこから2年間ほどストーリー投稿やドローイングなどを続けつつ、2022年ぐらいにイベントにも出始めました。
そこから次第に、イベント出展時にギャラリーの方が声をかけてくださったり、フォロワーさんなどに出会ったりして、仕事に繋がったり展示会に繋がったり、という感じです。
最近はデジタルイラストだけでなく、Gペンを使ったアナログ原画の制作にも力を入れています。
展示やイベントはこれまで地元愛知県を拠点にしていたのですが、最近は東京や大阪、福岡のイベントや展示会に参加していて、全国へ活動範囲を広げているところです。
ありがたいことに、今年(2026年)は東京や愛知で6回の展示が決まっています!今後は、東京の原宿で個展を開催してマリンちゃんの生誕祭イベントをやったりしたいなーとワクワクしながら計画を立てています。
―では、現在の活動をお仕事にしようと決心したきっかけを教えてください。
さくりゃ:絵を描くことが好きになったきっかけは、小学1年生の誕生日でした。プレゼントに少女漫画の『月刊ちゃお』をもらったんですけど、そこで初めて「絵を仕事にしている人がいるんだ!」って知って、全身に衝撃が走ったのを今でもよく覚えています!!(笑)
というのも、ちゃおをもらうちょっと前に保育園の卒園式で「将来の夢」を発表する時間があったんです。周りのみんなが「ケーキ屋さん!」とか「ヒーロー!」って元気に宣言する中、私にはどうしても夢が思い浮かばなくて……。結局、卒園式の本番では思ってもない夢を適当に言っちゃったんですよね。幼いながらに「みんなにはあるのに、私には夢がないんだ」って、どこか引け目を感じていました。
そんなタイミングでの「ちゃお」との出会いだったので、そこからはもう一直線に絵にのめり込んで、現在に至るまでずーっと描き続けています。
当時は漫画家になりたいと思っていたんですけど、現実的な将来の厳しさもあって、高校は美術とは関係のない学科へ進学したんです。当時は自分の本当にやりたいことが選べなくて、少し悔しい気持ちもありました。
でも、やっぱり絵の道は諦めきれなくて。高校生のとき、授業か何かでコンクールに絵を出す機会があったんですけど、そのとき「これはチャンスだ!」と挑戦したんです。そこで小さな賞をいただいたことで、「やっぱり私は絵の道に進みたい!」という想いが確信に変わりました。その後、担任の先生が間に入って進路を後押ししてくれたおかげで、無事に美大への進学が決まったときは本当に嬉しかったです。大学では絵だけでなく、カメラやデザイン、アートなど、幅広く学びました。そうして色々な刺激を受けるなかで、卒業後はデザイナーとしての道をスタートすることになりました。
新卒で入ったWeb制作会社では、Webデザインからチラシまで幅広くデザインの基礎を学ばせていただきました。とはいえ当時は、プロのデザイナーさんが自分でやったほうが圧倒的に早いはずなのに、あえて手間暇をかけて私に経験を積ませてくれている状態で…。「全然先輩たちの頼りになれていない」という自分の未熟さがすごく悔しくて、毎日「どうしたらもっと上手くなれるんだろう」と、死ぬ物狂いでもがき続けていました。
でも、そうやって必死にデザイン業務に向き合う中で、次第に「やっぱり自分のテイストの絵を描きたい、個人として発信していきたい」という気持ちが、どんどん強くなっていったんです。
体力的にもハードな時期だったこともあり、思い切って転職を決意しました。大学や前職で培ってきたデザインのスキルをしっかり活かせる仕事でありつつ、仕事終わりのプライベートの時間も大切にしながら、個人のイラスト制作にも集中できる環境の会社を探したんです。
正直、前職での数年間は苦しいことも多かったですが、あのときの経験があったからこそ、今の会社に転職したあとも、本業終わりの夜の時間に自分の活動にこれだけ本気でエネルギーを注げているんですよね。
だから今は、日中は会社でしっかり働きつつ、夜は自分の大好きなイラスト活動に全力投球する、という最高に充実した毎日を送っています!
―ご自身の作品スタイルや方向性については、どのように決められましたか?
さくりゃ:イラスト活動を本格的に始めたばかりの頃は、「まずは毎日投稿しよう」と決めて、とりあえず自分の大好きな絵をがむしゃらに描いていました。
自分自身が懐かしいと思う当時の『ちゃお』や『セーラームーン』『カードキャプターさくら』のような、昔見て憧れていた世界観の絵を参考に描いていました。
私は特にセル画時代のアニメの雰囲気が大好きで、そういう絵をひたすら描き続けていたのですが、最初の2年間くらいは「本当にこの方向性でいいのかな」という葛藤や、自分との戦いの連続でした。
そうして自分自身と向き合い続けた結果、特に『平成初期の魔法少女』のセル画時代ならではのエモい雰囲気が大好きなんだな、と自分の軸がハッキリしました。自分の大好きな世界観と、大切なフォロワーさんが気づかせてくれたGペンという表現方法が出会ったことで、「この方向性に絞ってやっていこう!」と自信を持って決めることができました。

―ありがとうございます。ちなみに現在、『セーラー服のマリンちゃん』など、複数のオリジナルキャラがいらっしゃると思うのですが、そのキャラ達の誕生秘話みたいなものがあれば、教えていただけますか?
さくりゃ:実は元々、マリンちゃんは「キャラクターを作ろう!」と狙って描いたわけではなかったんですよ。
私自身、ショートボブがめちゃくちゃ好きなんです!活動の初め頃はショートボブの女の子のファッションイラストをメインに描いていたんです。それと、私自身中学・高校とセーラー服を着て育ったこともあって、自分にとって一番描き慣れている服だったのもあって自然と、ショートボブ×セーラー服の組み合わせで描くようになっていた、という経緯があります。
なので、何か明確な決め手があってキャラクターが生まれたわけではなく、「いつも同じ雰囲気のこの子を描いているのと、私が海のキラキラが好きなので、じゃあ『マリンちゃん』って名前にしよう!」みたいな、愛着からのスタートでしたね!
そこから派生して、「マリンちゃんに友達を作ってあげよう」という感じで、どんどん世界観が広がっていきました。主要キャラであるマリンちゃん、アネゴ、アミコの3人は、最初からキャラデザをしたわけではなく、ファッションイラストや自分の好きなものを分身として描き続けていく中で徐々にビジュアルが定まっていって、「いつの間にかそこにいてくれた」みたいな、本当に自然な流れで誕生したキャラクターたちなんです。
ちなみにマリンちゃん、実は『プチ・オーシャン』という魔法少女にもなれるんです!しかも、変身すると髪がロングヘアに伸びるんです!!
というのも、私自身ショートボブなんですけれど、たまに無性にロングになりたくなる時期がくるんですよ(笑)。過去には、その欲を満たすためにロングのウィッグをつけてお出かけしたりしていたんですけれど、まさにその「どうしてもロングになりたい!」っていう時期に誕生したのがオーシャンでした。

―なるほど、そうだったんですね。あと、初めはデジタルイラストだったところが、現在Gペンを使ったアナログに行き着いたということで、その理由も教えていただきたいです。
さくりゃ:元々、幼い頃から「線」を描くのが好きだったのですが、昔、習字を習っていたこともあって、筆やペンの使い方の基礎はその時に培われたのかもしれないなと思っています。
ただ、社会人になって本格的に活動を始めた当初はデジタルイラストがメインで、最初の2年間くらいは「まずは毎日投稿しよう」と、ひたすらデジタルで描き続けていたんです。
そんな中、初めて展示会をする機会があって、私はデジタルで描いたイラストを印刷して飾っていたんです。その時、ずっと私の絵を見てくださっていたフォロワーさんが見にきてくれて、「さくりゃさんの原画を見てみたいです。Gペンと相性が良さそうなので、使ってみてください!」という温かいメッセージをくださったんです。
実はGペン自体は、小学生のときに出会ってはいたものの、大人になってからはずっと触れていませんでした。でも、そのフォロワーさんの言葉をきっかけに久しぶりに手にして、メインで線を引くようになってみたら、これが本当に楽しくて!当時は自分の表現に悩んでいた時期でもあったので、大袈裟じゃなく、フォロワーさんの言葉とGペンに救われましたね。本当に恩人です!笑
それと、最近はAIの技術などもすごく進化してきているじゃないですか。デジタルで何でも生み出せる時代だからこそ、逆に「この世に1枚しかない、アナログ原画にしか出せない価値」って、やっぱりすごく特別という思いも強くあって。
そこで最近一番力を入れているのが、Gペンで描く『セル画』の制作なんです。大好きなセル画の絵を、Gペンのパキッとした美しい線を活かしてアナログで描き、それを展示会で飾っています。
習字で培った手の感覚、フォロワーさんが背中を押してくれたGペン、そして「1枚ものの価値」への想いがすべて重なって、今のアナログ原画の制作に本格的に力を入れるようになりました。

シンプルだけど豊かな表現ができるのが、Gペンの魅力
―作品制作にあたって大切にしていること、意識していることがあれば教えてください。
さくりゃ:改めてGペンを使うことになった理由にも繋がるのですけれど、デジタルの時から、線の強弱は意識していますね。
昔から漫画家になりたかったというのもあって、いろんな作家さんの模写をしていたのですが、やっぱり皆さん、線の強弱が素晴らしすぎて。
私もそれを真似して描いていたものですから、線の強弱が好きで、そこはずっと大切にしていますね。
Gペンを選んだ理由も、他のつけペンと違って、線の強弱がもろに出るからなんです。
Gペンは、線だけで影を付けられたり、立体感とか奥行きを付けられたり、というところもすごく好きで、シンプルだけど豊かな表現ができるのが魅力的だなと思っています。
―では、影響を受けたクリエイターさんはいらっしゃいますか?
さくりゃ:時系列で言えば、まず2000年代初期の『ちゃお』の作家さん全員ですね。
これはもう、全員の主人公を模写していたので、間違いなく影響を受けていますね。
それから、セーラームーンやカードキャプターさくらのアニメの絵が好きで、セル画の、シンプルな線+昔のアニメならではの色合い、という部分も影響を受けています。
あとは、漫画家さんでは、手塚治虫さん、高橋留美子さん、吾妻ひでおさんとかですね。
やっぱり線が好きで、影響を受けているかなと思います。
―画力や作品のクオリティを上げるために意識していること、おすすめの方法などはありますか?
さくりゃ:私のこれまでの道のりを振り返ると、それぞれの時期でやってきたことがすべて今の基礎に繋がっているなと感じます。
まず小学生の頃は、先ほどもお話しした通り『ちゃお』の作家さんや大好きな漫画家さんの模写をめちゃくちゃしていました。中学時代は美術部に所属して、とにかく毎日コピックを使い倒しながら絵を描く日々。高校時代には少し画塾にも通って、デッサンの基礎を練習していました。
そして社会人になってから、いざ「本格的にイラスト活動を始めよう!」となったとき、芸大時代の友人に相談したんです。その子は企業に所属するプロのイラストレーターになっていたので、会社でどんな修行をしているのかを聞いてみました。
その時に勧められたのが、『キム・ラッキの人体ドローイング』という人体の構造がすごく詳しく載っている分厚い本でした。
それからは、毎日5分でもいいから必ず1個、例えば「今日は手の構造を勉強しよう」といったテーマを自分で決めて、コツコツと描き続けました。それを2年間くらいひたすら継続して、徹底的に人体の基礎を身体に叩き込んだのですが、今振り返ってもあの練習が本当に良かったなと思っています。
自分の「好き」を模写する楽しさから始めて、最終的にプロの方法を取り入れて毎日少しずつでも継続すること。これが、私の画力を支えてくれる大きな土台になりました。

「失敗してもいいから挑戦してみよう」「やってみないとわからない」
―現在は、どのようにお仕事を取っているのでしょうか。
さくりゃ:イベントなどで知り合った方に展示についてお声がけいただいたり、あとはSNSでフォロワーさんが増えてくるにつれて、MVの絵のご依頼や、パッケージイラストのご依頼などですかね。最近はアナログの制作動画を毎日投稿しているおかげで、画材や機材のPR動画依頼などのお仕事をいただくことが増えましたね。
―クリエイターとして活動する上で、不安などはありましたか?
さくりゃ:活動を始めたばかりの頃は、まだ自分のスタイルを模索している最中だったので、「本当にこの絵柄でいいのかな」と色々なテイストに挑戦しながら、自分の“軸”を探している時期がありました。
今振り返ると、それはじっくりと自分自身に向き合うための、大切な成長の期間だったなと感じています。それまでは、自分の本当に好きな世界観をどこか出し切れずにいたのですが、自分の心と向き合い、自信を持って「これが大好き!」と言えるようになってからは、自然と今の絵柄やスタイルが確立されていきました。
あと、イベントや展示など何事でもそうですが、『初めて挑戦すること』って、不安になっちゃうんです。そんな時、いつも自分自身に言い聞かせている言葉が2つあるんです。
「失敗してもいいから、まずは挑戦してみよう」 と「やってみないと、何もわからない」です。
この2つの言葉を味方につけて一歩踏み出すと、結果として毎回必ず「勇気を出してやって良かったな!」と思えるんですよね。実際、これまでの活動の中で「やらなきゃ良かった」と後悔したことは一度もありませんでした。
不安を感じるということは、それだけ本気で新しいことに向かっている証拠。だからこそ、これからも「不安はつきものだから、だったら楽しんで挑戦していくしかないよね!」と言葉を置き換えながら、どんどん新しい世界へ進んでいきたいなと思っています。

―ありがとうございます。では、今の活動をしていて良かったと思うことを教えてください。
さくりゃ:やっぱり、自分の絵を好きになってくれる人に出会えたことですね。
それと、私個人へのメッセージだけでなく、私が生み出したオリジナルキャラクターに対して「マリンちゃん可愛い!」などとコメントをいただけるのが、本当に嬉しくて。
絵の感想だけじゃなくて、キャラクターの名前を覚えてくれて、キャラ自身に好意を持ってくれるのを目の当たりにすると、この子はちゃんとこの世界に存在しているんだ、みたいに実感できるというか。
そういった時に、活動していて良かったと思いますね。
―逆に、大変なことはありますか?
さくりゃ:スケジュール管理でしょうか。
兼業でやっているというのもあるのですけど、SNS活動って毎日やりたいじゃないですか。
どうしたら毎日続けられるんだろう、みたいなことをすごく考えて行動して、Gペン100日チャレンジ活動も、100日間毎日続けて達成することができたのは、スケジュール管理を常に見直して改善を続けたからだと思います。
―『毎日投稿』ってなかなかに難しいことだと思うのですが、その点で工夫された部分って、具体的に何かありますか?
さくりゃ:私は、期限があると動けるタイプでして。でも逆に、長期間だと絶対にできないんですよ。笑
まずMBTIがENFPの広報運動家でして。
自分にストイックになれる部分と、甘くなってしまう部分がわかっているんですね。
なので、自分に甘くなってしまう部分…例えば先延ばしにできちゃうようなスケジュールというか、「1週間で絵を何枚描こう」などの場合は、絶対に週末になってから「やばい、やらなくちゃ」となるんですよ。
だけど、下描きまでを毎日9時までにやる、みたいに、毎日に締め切りをつければ、おのずと「あ、やばい、9時になるからやらなきゃ」となって、やれる、という。
それに気付いてからは、しっかりできるようになりましたね。
あとは、時間が作れなかった場合、私は隙間時間を探します。
例えば朝、通勤するまでの間の30分を見つけたら、30分で絵は描けませんけど、SNSに投稿するための動画編集をしたり、スマホでできる作業をしたり。
そういうふうに探して、30分でできるやつを朝に回す、などの改善を毎日していて。
そうしたら、毎日投稿が苦じゃなくなりましたね。

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―なるほど。ちなみに毎日、どのくらい絵を描かれているのでしょうか。
さくりゃ:平日は仕事終わりから寝るまでの4〜5時間が私のプライベート時間みたいな感じですね。実際に絵を描いている時間は1〜2時間程度です。
帰宅してすぐに座って休憩すると本当にできなくなるので、帰ったら座らずにそのまま何かしら作業を開始します。
で、ご飯も作らなければいけないので、下描きをある程度進めたら味噌汁をセッティングして、味噌汁が温まるまでに時間がかかるから、その間に下描きを終わらせる、みたいなゲーム感覚で進めています!!笑
ご飯を食べ終わったら21時前後ぐらいになりますので、ご飯を食べ終わったら明日の投稿用を描くぞ!と決めてます。
それで、晩御飯食べ終わるまでに書かなきゃ、みたいな気持ちでいつも進めている、という感じです。
そこからGペンで線を引いて、動画を撮って、お風呂に入って寝ます!編集は次の日の朝に回すことで、スマホで目が疲れて次の日に影響が来ないようにしています。

―それでは最後に、今後の目標や展望を教えてください。
さくりゃ:私は今、『プチプチ★プリズムガール』というオリジナル作品のキャラクターの認知度を上げるために活動をしています。将来的にはこのキャラクターたちのアニメ化やキャラクタービジネス、そして「Gペン原画」をベースにした海外での展示アーティスト活動という、大きな2本柱の夢を持っています。
そのために、まずは今、SNSを通じて「毎日、Gペンでの作画動画とキャラクターのイラスト」を投稿し続けることに全力を注いでいます。
デジタル全盛の今だからこそGペン動画は、言語を越えて海外の方にも届く強い武器になると信じているんです。まずはポストカードサイズの絵からスタートして、ファンのみなさんにまりんちゃんたちの日常や魅力を身近に感じてもらい、キャラクターをじっくり育てていきたいな、と。
この毎日の積み重ねの先に、東京や海外での原画展示、キャラクター認知拡大、最終的にアニメ化へと繋げていきたいです!

