専門学校の卒業制作をきっかけに、すべてが始まった
―現在の活動内容について教えてください。
ピザ小僧:カートゥーン風のショートアニメやイラストを、主にX(旧Twitter)やTikTok、 YouTubeなどのSNSにて配信して活動しています。
活動は3年ほど前、高校を卒業して専門学校に入ってから開始しました。
TikTokは今年(2026年)に始めたばかりなのですが、ショートアニメなので、TikTokのほうが見てもらいやすいのかなと感じているところです。
―では、現在の活動をお仕事にしようと決心したきっかけを教えてください。
ピザ小僧:絵の専門学校に通っていた際、卒業制作で、『Gabby & Dante』という2分ほどのショートアニメを描いたんです。
幼少期から元々カートゥーンアニメを観るのが好きでしたから、実際に作れたらなと思って作ってみたのですけれど、とても反応が良かったんですよ。
展示に来てくれた人にも、先生方にも、本当に良い反応をいただけたので、じゃあ仕事にしてみようかな、と一歩踏み出してみました。

―ご自身の作品スタイルや方向性については、どのように決められましたか?
ピザ小僧:以前はカートゥーン寄りながらも頭身が高めの絵を描いていたのですが…
やっぱり自分で見ていて好きだったのは、頭身が低い感じの、動かしやすいカートゥーンのキャラクターだったんです。
ただ、それを実際に描いてみる勇気がなかなか持てなかった中、卒業制作を発表した時の周囲の反応の良さが後押しとなって、今の感じに落ち着いています。
描いてみたら、思ったよりも楽しかった、というのもありますね。
なので本当に、作品の方向性を決めたのも、卒業制作がきっかけになったと思います。
カートゥーンアニメにおいては、バランスが一番大事
―作品制作にあたって大切にしていること、意識していることがあれば教えてください。
ピザ小僧:線の太さが、恐らく一番大切にしている部分でしょうか。
線を太めにしっかり描くと、キャッチーな見た目になるんですよ。
それに、やっぱり見やすい。
色を結構派手に使っても、太い線が全部をまとめてくれるので、そういう点でもすごく見やすいなと感じています。
あと、線画の色自体を変えてみる、という部分も意識していますね。
例えば、やわらかい雰囲気の子であれば線画を青くするとか、ピンクにするなどして、ちょっと他の子とは違う立場なんだよ、というのを表したりしています。
その上で、色塗り自体はパステルカラーよりも原色を使うようにしていますね。
―では、影響を受けたクリエイターさんはいらっしゃいますか?
ピザ小僧:クリエイターさん個々人を挙げるとなると、やっぱりたくさんいるので難しいのですが…
作品を挙げるとすれば、カートゥーンネットワークで放送されていた、『デクスターズラボ』や『パワーパフガールズ』からは、一番大きな影響を受けているだろうなと思います。
ただ、背景だけは少し違って、『ユナイテッド・プロダクションズ・オブ・アメリカ』という映画会社の作品の影響が大きいですね。
この会社はいろんなアニメを出しているのですが、背景がすべて統一されているんですよ。
そういった部分を見て、参考にさせていただくことが多いです。
それらの作品を、幼少期から毎月ずっと見て育ちました。
親がカートゥーンネットワークを見られるチャンネル契約をしていて、ずっとカートゥーンアニメを見ることができる環境だったんですよ。

―画力や作品のクオリティを上げるために意識していること、おすすめの方法などはありますか?
ピザ小僧:自分で見て学ぶ、というのが一番大切かなと思っています。
実物を見て、見たままを模写して描く、というところですね。
いろんな絵がありますけれど、カートゥーンだとバランスがとても大事になってくるんですよ。
例えば派手なポーズなどを描いた時、少しでも重心がずれてしまうと、変に見えてしまうんですね。
それを改善するためには、下書きからシルエットを意識的に捉えてみて、そのシルエットの上から線画でなぞってみてバランスを確認してから、おかしくなければ先へ進む、という段階を踏んで描いたりしています。
色選びは臨機応変に、ぱっと描いてみて、合っていないなと感じたらすぐに変えてみたり、などの柔軟性も大事かなと思っています。
あと、カートゥーンアニメを描く上では、カートゥーンアニメを観るのが一番だと思いますね。
想像だとやっぱり描きにくいと思いますから、実際にどういったバランスで、どういった動きをしているのか、とか。
顔の表情とかも、日本人では発音しない言葉の口の動きとかもありますから、その辺りはしっかり見ながら真似してみると、よりカートゥーンっぽさが出るような気がしています。
1秒の中に12枚、30秒のアニメのために360枚の絵を描く
―現在、クライアントワークはなさっていますか?
ピザ小僧:今年(2026年)の3月末に専門学校を卒業しましたので、まだ4月から始めたばかりではありますが、MV制作や、アニメの業務委託の依頼などをいただいていますね。
お仕事の募集は、Gmailでおこなっています。
それぞれのSNSのプロフィール欄にも、お仕事募集中である旨を明記しているので、そこからご依頼をいただくことが多いですね。

―クリエイターとして活動する上で、不安などはありましたか?
ピザ小僧:絵だけで食べていくことがすごく難しい、ということは、前々からずっと周りの方々に言われていましたので…
お仕事を始める前は、私の絵だと難しいかな、という不安がありましたね。
日本だと、カートゥーンもそれほど流行してはいませんでしたから、尚のこと。
でも実際、卒業制作で見てもらったら思った以上に好評でしたし、友人や先生方にも「これを仕事にしてみたらいいんじゃないか」と背中を押していただけたので。
不安を持ちながらも、勇気を持ってやってみた、という感じでした。
ありがたいことに、両親からも「せっかくなら、やってみたいことをやってみたらいいんじゃない」と言ってもらえまして…特に母が一番応援してくれましたね。
そこから実際にやっていく上での不安としては、やはりお仕事をずっと続けない限り、収入がなくなってしまうので…
例えばアニメ1本作るだけでは、一般的な月収に届くまでにはなりませんから、ずっと人気でい続ける難しさというか、そういった面での不安は今も感じています。
その辺りは、改めてカートゥーンアニメを観ることで、やっぱり好きだなと自分の気持ちを再確認してメンタルを持ち直すのが大事だなと思っていますね。
ただ、私の場合、外に行くのが結構好きでして。
「好き」の再確認以上に、アウトドアレジャーでリフレッシュしたり、友人と語り合うというか、みんなも進学や就職で色々悩んでいることもありますから、そういった話を聞くことで気持ちを切り替えたりもしていますね。
語り合うわけじゃなくとも、不安解消の面では、人と話すこと自体を一番大事にしていると思います。
寂しくなると、抱え込んでしまったりなど、悩みごとが増えてしまいますから。
―ありがとうございます。では、今の活動をしていて良かったと思うことを教えてください。
ピザ小僧:絵を描くことが大好きなので、それを仕事に繋げられたこと自体が、自分の中ですごく大きいなと思っています。
あとは、やっぱり『絵』って、見てくれる人がいてこそだと思いますから、自分の中の承認欲求が満たされる、という部分もありますね(笑)

―逆に、大変なことはありますか?
ピザ小僧:1枚絵の場合、何時間もかけてその1枚を完成させる形になるわけですが、私の場合はアニメーションなので、1秒の中に12枚の絵を描かなければいけないんですね。
そうすると、1つの作品を完成させるにも本当に多くの時間がかかってしまいますから、そういった面で色々と時間を取られたりする部分が大変だな、と感じますね。
現在TikTokだと、短いものでは5秒くらい、長いもので30秒くらいの作品を投稿していることが多いでしょうか。
本当にショートで、分単位に乗せることなく、結構分けて投稿しているのですけれど、単純計算でも30秒のアニメのためには、360枚描かなければいけません。
ただ、卒業制作の作品が2分ちょうどくらいの長さで、完成まで2~3か月ほど制作にかかっていたことを思えば、今は慣れてきたこともあり…
30秒アニメくらいであれば、恐らく集中できれば1週間かからずに作れるだろうな、というくらいには制作速度が上がってきましたね。
―それでは最後に、今後の目標や展望を教えてください。
ピザ小僧:デザフェスなどのイベントに、出てみたいなと思っています。
過去、専門学校で1度だけ、みんなでイベントに出る企画があって、コミティアに出たことがあるんですよ。
その時に、やっぱりいろんな人が自分の作品を見に来てくれて買ってくれる、というのを目の当たりにできたのが、とても嬉しかったので…
デザフェスでも個展でも何でも、イベントに行けたらな、と考えています。
それから、アニケット(インディーアニメマーケットX!)という、ショートアニメ専門のイベントがありますので、そこにも出られたらいいなと思っていますね。
大きな目標としては、本当にできるかはまだわかりませんけれど、アニメシリーズの制作がしたいです。
アニメーターは、やっぱり憧れますね。
差し当たっては、卒業制作で作った『Gabby & Dante』の続編を制作・公開できたらいいなと思っています。

