香港にはいない生き物だった、キツネに夢中になった
―現在の活動内容について教えてください。
いふあ:今は主に「キツネキツネ」というキャラクターで活動しています。
キツネをモチーフにした、宇宙からやってきた生き物という設定なんです。
その子たちが地球に遊びに来て、地球のみんなと暮らしたりする日常の絵を描いたり、ゆるゆる系の癒し系イラストを展開しています。
―この活動は、いつから始められたんですか?
いふあ:一番最初は学生の時なので、もう8年くらい前になります。
その頃はInstagramで、キツネキツネという名前ではなく、メイちゃんというキツネになりたい人形のキャラクターの絵日記を、毎日投稿していました。
キツネキツネは、そのメイちゃんのお友達みたいなキャラクターとして展開していたんです。
大学卒業後は、キツネキツネをメインに活動するようになりました。

―では、現在の活動をしようと決心したきっかけを教えてください。
いふあ:もともとキツネがめちゃくちゃ大好きなんです。
私の出身は香港なんですけれど、香港では、野生のキツネを見ることができないんですね。
なので、最初は「なんだろう、この生き物」という感じだったんですけれど、その後SNSで見かけて、可愛いと思って。
そこからすっかりキツネにはまっていきました。
メイちゃんの活動を通じて、もっとキツネの良さをアピールしたいなと思って、キツネキツネの活動を進めていったんです。
大学を卒業した後、日本のかわいいものを好きになって、日本に来たんですよ。
それからキャラクターグッズのグラフィック制作に関わる会社に入社して、グッズ制作やキャラクター制作のノウハウを身につけていきました。
それを生かしてキツネキツネの商品を作りたいなと思って、思い切ってデザインフェスタに応募して、今に至るという感じです。
―ありがとうございます。ご自身の作品スタイルや方向性については、どのように決められましたか?
いふあ:方向性として、何か一定のものを決めたことは全然ないんです。
もともと私自身は、リアル系の動物の絵よりも、緩くて簡単な、癒し系の動物の絵がめちゃくちゃ大好きなので、とにかく自分の好きなモチーフをひたすら描くことが多いですね。
最近は、自分の心の中で「こんな生活をしているんじゃないかな」と妄想しているキツネたちを、ひたすら描くことが多いので、ネタ切れになったことはあまりないです。
日本に来てからは、キツネと触れ合えるところに結構通っていて、そこで本物のキツネを見て「こういう生き物なんだ」「こういう生活をしているんだ」と知ることが多くて。
それを自分のキツネキツネの絵の中に取り込むことが、結構多いですね。
しっぽをプルプル震わせるとか、そういう生活習慣もよく描いています。
キツネとの出会いが、キャンバスの色を鮮やかにした
―絵を描くにあたって大切にしていること、意識していることがあれば教えてください。
いふあ:絵を描く時は、ふわふわ感を意識してキツネたちの絵を描くことが多いですね。
キツネという生き物は、リアルタッチを意識しすぎて細かく描くと、結構怖い印象になる傾向があるんです。
なので、イラスト化するには結構難しい生き物だなと思っていて、できるだけシンプルな線の中に、キツネのふわふわ感があることを重視しています。

―影響を受けたクリエイターさんなどはいらっしゃいますか?
いふあ:高校生の時に、日本の絵本の「くまのがっこう」に、すごく影響されました。
その絵本は、結構緩いタッチで、水彩の絵っぽくて、リアルすぎず、すごく可愛いクマたちの世界観が描かれていたんですね。
それを見て、こんなに可愛くて面白い物語は初めて見た、という気持ちになって。
今も結構、その子たちの目や耳の描き方などに影響されています。
―「くまのがっこう」とは、どうやって出会われたんですか?
いふあ:高校生の時です。
香港にいた頃、マクドナルドのハッピーセットで「くまのがっこう」のミニ絵本がついてきたことがあって。
当時の香港では、絵本系のハッピーセットがあまりなかったので、絵本があるんだとびっくりして買ったら、本当に可愛くて。
そこからずっと関連のグッズを集めていて、日本に来てからも買い続けています。
―画力や作品のクオリティを上げるために意識していること、おすすめの方法などはありますか?
いふあ:昔は画塾で油絵などを描いていて、今のような可愛くて緩いタッチの絵はあまり描いていなかったんです。
キツネのモチーフの質感を身につけるために、細かい線を通してふわふわ感を出す練習を結構しました。
万年筆で紙の上にひたすら線を描いたり、模写を重ねたりして、手に質感を覚えさせるようにしていましたね。
昔は色彩に関する概念もあまりなくて、日本に来て初めて色彩検定というものを知りました。
時間を作って勉強して、光と色の関係性を改めて学んだんです。
それまで自分が描いていたキツネの色が、結構浅かったんだなと気づいて、色の付け方を見直しました。
―去年か一昨年くらいから、色使いが変わってきたりしているんですか?
いふあ:そうですね、自分のSNSの絵を見たら、1年前はグレーがかった淡いタッチが結構多かったんです。
この1年間で、結構鮮やかになったイメージがありますね。
キツネのインパクトをもっと伝えたいなと思って、少しずつ彩度を高くしていって、今のキツネキツネちゃんたちになった感じです。
これからも作品と共に自分も成長して、また違う形のキツネが生まれるんじゃないかなと感じています。

『きつね派』を、もっと増やしたい
―現在は、どのようにお仕事を取っているのでしょうか。
いふあ:企業さんから依頼を受けて絵を描く、クライアントワークを時々しています。
個人でグッズを作る場合は、基本的にコストは関係なくて、自分がこれを欲しいという気持ちで作ることが多いんです。
クライアントさんとのお仕事は、自分一人の力では作れないものが多いので、そのクライアントさんがどれくらいキツネの良さを広げてくれるかを結構重視しています。
クライアントさんからのお仕事だと、オンラインのイベント関連が多いですね。
昔はガチャガチャのお仕事もしていました。
香港のイベントのポスターの絵を描いたり、特典の絵や、コラボ商品のデザインなどを担当していたこともあります。
最近は自分の活動を優先したいので、企業さんからのお仕事はあまり受けていません。

―クリエイターとして活動する上で、不安などはありましたか?
いふあ:普段のイラストの活動は、趣味で制作することが多くて。本職がしっかりあるので、創作の時間がかなり少ないんです。
投稿している作品のほとんどは、お昼ご飯の時間や、休日に描くことが多いですね。
すごく大変なんですけど、好きなことなので、苦には一切ならなくて、むしろリフレッシュになることが結構多いです。
ただ昔、絵を描きながら本職もしていた時に、体調を崩したことがあって。
力が出ない時期があったんです。
最近は、それを改善するために、ほぼ毎週運動して、食事も健康的にして、常にメンタルをハッピーに保つことをすごく大切にしています。
皆さんに可愛い絵を見せると同時に、自分の心のバランスも保たないといけないな、とすごく思うようになりましたね。

―ありがとうございます。では、今の活動をしていて良かったと思うこと、大変なことをそれぞれ教えてください。
いふあ:いろいろなイベントに参加する際に、多彩なクリエイターさんたちと仲良くなれることですね。
例えば、クリエイターさんとファミレスでお絵かき会を開いたり、クレープパーティーもしたことがあります。 オフ会などにも参加させていただいたきました。
絵を描いていなかったら、こんなにいい機会って本当になかったと思うので、もう感謝しかないですね。
大変な事は、自分は内職や商品管理などがすごく苦手で、克服するしかないなと思ってます。
自分のオリジナルグッズを作るたびに、シール貼りや梱包材貼りなどの内職作業をやらないといけなくて、毎回地獄のような気分になるんです。
泣きながら作業したことも何回もあって。
シール200個とか、ポストカード600枚とか、ひたすら貼ったり準備したりすることがあるんです。
出荷の作業もすごく精神的にきついんですけど、出荷が終わると、達成感もすごいですね。
イラストの仕事に関わり始めた最初の頃は、こういう事務作業が思ったより多くて大変だということに、びっくりしました。
―それでは最後に、今後の目標や展望を教えてください。
いふあ:来年も再来年も、もっとイベントをしたいなという気持ちがあります。
今後の活動を通じて、もっといろんな方にキツネの良さを世間に伝えたいなと思っていて。
「あなたは犬派ですか、猫派ですか」と聞かれたときに、「私はきつね派です」と答える方が増えるように活動を続けていきたいです。

