
「言葉では表現できないことを、絵に描いていく」トヨダイズミさん(前編)

●トヨダイズミ
Profile
東京、鳥取を経て、現在京都在住
2009年頃からインターネットで作品を発表
2014年より展示活動を開始
少女や植物等をモチーフに、メランコリーと、それに寄り添うものを描く
独学で絵を学ぶ
—イラストレーターになるためにデザイン系の大学や専門学校に通われましたか?
トヨダイズミ:通っていませんでしたね。子供の頃から絵が好きだったので描くことが楽しくて趣味でずっとやっていました。インターネットで発表するようになってそこからお声掛け頂くことが増えて展示に出たり、グッズを作って販売するというようになりました。
—インターネットで活動を始められたのはいつからですか?
トヨダイズミ:社会人になってからですね。
—美大や専門学校へ行っていないとのことですが、どのように学ばれましたか?
トヨダイズミ:完全に我流ですね(笑)
—すごい!絵が好きな方はデザイン系の大学や専門学校に行かれる方が多いと思いますが、そういった選択肢はありましたか?
トヨダイズミ:私はすごく田舎に住んでいたので、そういう選択肢を最初から選べないと思っていたんですよ。学校に行けないけどインターネットを見ていると、絵を掲載されている方やハウツーも掲載されている方も多かったので、刺激を受けています。専門的には学ばなかったけれど、自分の出来る範囲で描こうかなってずっと続けていますね。
—環境的に美大や専門学校に行くのは難しかったとのことですが、インターネットによって世界が広がるということはすごいきっかけですね。
トヨダイズミ:すごく大きかったですね。それまでは絵のことを知ろうと思ったら自分でお金を出して高い本を買うことがメインだったので、私が中学生くらいの頃はそういうことをしていましたね。
—インターネット上で絵の描き方や基礎的なところ、色々な方との繋がりを得られたのですね。
トヨダイズミ:そうですね、ハウツーを出してくださる方もいるのですけど、それ以上にやっぱり同世代ですごく上手な人ってインターネットではゴロゴロいるので、それを見ると自分も頑張らなきゃなっていう気持ちがそこで芽生えました。インターネットが無い状態だったら友達の中で絵を見せて、こんなん描いたってやっているのが関の山なのかなって。井の中の蛙が大海を知ってしまったなって(笑)
子供の頃から変わらない想い
—絵を描くことが好きだなと思ったのはいつ頃ですか?
トヨダイズミ:物心付いたときにはもう思っていましたね。体を動かすことはそんなに好きではなかったので、家で出来る絵を描くっていうことがすごくフィットしたみたいで、二歳にはもう色んなものを描いていたって聞きました。幼稚園のときは絵描きさんになるって言っていたらしいので、多分ずっと一人で完結できる遊びとして面白かったのだと思います。
—家庭環境的に絵を描くような環境だったというわけでは特になかったですか?
トヨダイズミ:そうですね。ただ祖母が油絵をやっていて、小さい頃私は油絵をやっている=絵描きさんだと思っていたんですよ。全然絵描きさんではなく趣味だったんですけど(笑)おばあちゃんが絵描きさんなら私も絵描きさんになろうかなっていう風に幼稚園くらいのときに思っていました。
—絵を描いていて嬉しかった出来事はありますか?
トヨダイズミ:子供のころは絵を描いていたらみんな「上手に描けたね」って言ってくれるのでそれで満足していましたし、祖父母に会ったときに似顔絵を一生懸命描いたりとかすると「似ているね」とか結構褒めてもらえたので、それが体験としては大きかったかなと思います。その時描いた絵を大人になってから見ても結構似ているなって、小さい頃の自分はほんとに真面目に絵を描いていたんだなと考えるとその頃から今も変わっていないと感じたことがありましたね。
—小さいころから変わらない思いがあるのですね。
トヨダイズミ:ちっちゃい頃も絵の上手い友達とかもいる中で、みんなが一斉にお姫様描き始めるようなところからスタートするじゃないですか。その中でちょっと負けず嫌いが出てうまくなりたいよなっていうのが絵を好きになっていくきっかけでもあったと思うので、その気持ちはまだあると思いますね。
—絵で勝ちたいって思われるのはすごいですね。
トヨダイズミ:絵は競争じゃないから本来勝ちたいとかないはずなんですけど(笑)
—好きなら当然だと思います。
トヨダイズミ:小学校二年くらいのときに私は漫画を読んでなかったんですけど、同級生には読んでいる子がいて、そういう子が漫画のキャラクターとかを描いていると、もう幼稚園までのお姫様の絵と違うんですよ、漫画の絵なんですよ。その絵を見て嫉妬しましたね、私と違う!って(笑)この世界は知らなかったけどこっちのほうが絶対上手じゃん!という感じで、そういうのを見ると違う世界があるなとその都度体験としては残りますね。