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【erumina - エルミナ】記事一覧インタビュー「自身の理想を表現する」平良菫さん(前編)

「自身の理想を表現する」平良菫さん(前編)

平良 菫

平良 菫

Profile

描画した人物画から心地の良い形を線で追いかけるように作品を制作。
人物画を描く際は理想の造形を意識しながら日々の心情を含ませている。
主にシルクスクリーンを用いて作品を制作している。

略歴
2000 大阪生まれ
2022.3 嵯峨美術大学 造形学科 油画・版画領域 卒業
現在は関西を中心に作家活動をしている。

卒業後の展示
Art Continuation Project 展
CrossOver Vol.38 in Bangkok
「呼吸」展
Art Continuation Project2展

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自分の作品との出会いで進路の方向転換?

―現在どのような活動をされているのでしょうか?

平良:展示・販売などをメインに行っております。先日だと大阪の百貨店で展示させてもらったりしました。
あと、海外だとバンコクでも展示していました。

―クリエイターとしてご活躍されていらっしゃいますが、クリエイターを目指そうと思ったきっかけは?

平良:大学に入学してから自分の絵のカタチが見えてきてからです。就職活動を視野に入れながら制作をしていましたが、卒業制作しているともっと続けたいなと思ったのがきっかけです。

―大学に入学された頃はクリエイター活動されるよりかは就職をしようと?

平良:そうですね。就職を考えていました。

―でも、やっぱりご自身の作品を出していきたいと。

平良:出していきたいな、と思いまして。大学で仕事をしながらですが、作品を制作して出していけたらなと思い活動しています。

―クリエイターさんとして活動していきたいと思ったきっかけが、ご自分の絵のカタチが見えてきたとありましたが。

平良:そうですね。カタチがやっと見えてきたみたいな感じで、ここで終わらしたくないなと思ったので、続けていくことに決めました。

―どういった経緯でカタチが見えてきたのでしょうか?

平良:三回生の終わりくらいに自分の絵について悩んだ時期があって、作品を作れなくなった時期があったんです。
そこからまた試行錯誤して、最後卒業制作で本当に完成したんです。
それが今のカタチになっていて、このまま終わらしたくないという気持ちが強かったですね。

―でも、結構苦しかったこともあったのではないでしょうか?

平良:苦しかった時期もありますね。でも作品を作ることはすごく楽しいので、それを続けていくというのは、自分の中で大事な部分なんじゃないかなと思って。
創作の基となる熱意とか熱量みたいなものが卒業制作を通してまた出てきてという感じですね。

―すごいですね!それがなかったら、普通に就職活動をしていたかもしれないですもんね。

平良:そうですね。ぎりぎりまで就職活動を視野に入れながら作品制作をしていたので(笑)

 

絵を描くプロセスを通して

―色々な展示会に出展されていますよね!

平良:卒業制作をきっかけにお声掛け頂いたり、在学中に行った展示をきっかけにお声がけ頂いたものを卒業後にやるという感じになっています。

―展示・販売以外にされているお仕事もあるのでしょうか?

平良:仕事としては、本当に大学で仕事をしていまして、その他の日に制作をしています。

―限られた時間の中でどのように作品創りを進められていますか?

平良:私の作品の作り方が、まずイラストレーションのようなものを描いてから作品に起こすということが多いです。
まずはラフな感じで描くことが多くて、それをばーっと描いてから、この絵はいいぞと思ったものを版画で作品にするという形で制作しています。

―この工程をされるのにはどんな意図があるのでしょうか?

平良:自分の中で、作品として出すのは版画ですが、イラストはとにかく私が描きたいものをすべて描くみたいなところがあります。だからイラストレーションを描き、それを線で描き起こすというプロセスを経て、私の作品が完成できるんです。
その理由で、今はこういう工程を経て作品を作っています。

―版画を想像して、イラストレーションを描かれているのでしょうか?

平良:一応、版画も視野に入れてはいますが、本当に自分が描きたいものを描いて、色の境界線などを純粋に抜き出していくという形で制作しています。

―結構珍しい方ですよね?

平良:大分珍しいかもしれないですね(笑)

―そうですよね。イラストとして、この時点で作品として完成していると思います(笑)

平良:ありがとうございます(笑)
ただ、作業量を踏んで完成するところが私の大切にしているところなので、そういう面でも作業量を経て、見た目としてすっきりしてこそ完成します。

―創作する中でプロセスもすごく大切にされているんですね。

平良:そうですね。プロセスは大事です

―もちろんイラストも素敵ですが、版画になった時はすっきりした綺麗さが出ますね。

平良:余白の綺麗さみたいなのはすごく意識して作っていますね。

―そうなんですね。版画は何に印刷されますか?

平良:最近はキャンバス地にジェッソを塗ったものに印刷しています。

―これはキャンバス地に版画を?

平良:そうですね。これは大分大きな作品になっちゃうんですけど。

―だって、162㎝あるんですよね。

平良:人ぐらいですね(笑)

―それぐらい大きいものを刷るっていうのは結構大変ですよね?

平良:そうですね(笑)

―絵を描かれてから作品にするということですが、イラストの段階での気持ちと作品の段階の気持ちってやっぱり違うのでしょうか?

平良:違いますね。一回私の感情はイラストで吐露し終わっているみたいな(笑)
吐き出し終わっていて、版画では色とかバランスとか見ながらの抜き出しであったりです。最近だとちょっと変わって来ていて、抜き出しとは別に、別に線を入れてみたり。抜き出す線以外を入れたりして、もしかしたらここから変わっていくかなという感じです

―想いやフラストレーションなどのネガティブな部分、綺麗な部分も一度デジタルに描き出して、その後、最終の作品としてきれいにしていく感じですか?

平良:そうですね。最初に作品を作るときは、実はイラストレーションを作品として出せないという悩みがあって、でもその時に学校の先生に「描いちゃえよー」と言われて、じゃあどうしたら描けるだろうって思った時に生み出したのがこの工程だったんです。

―では、作品はイラストより自分の感情よりちょっときれいというか研ぎ澄まされた感じ?

平良:そうですね。ちょっときれいに、上にレイヤーかけた。みたいな感じになっています

―デジタルの段階でも素晴らしいですけど、それは平良さんの中では吐き出し?

平良:吐き出しですね。

―イラストまでは本当の平良さんで、そこから作家としての平良さんが作品を作っていくみたいな形ですね

平良:そこから展開していく感覚です

―イラストからここ版画になるってあんまり想像つかないですもんね?

平良:展示とかでは版画だけなので、たぶんイラストを知らない人もいるかもしれないですね。

後編へつづく

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