
「自身の「理想」を表現する」平良菫さん(後編)

●平良 菫
Profile
描画した人物画から心地の良い形を線で追いかけるように作品を制作。
人物画を描く際は理想の造形を意識しながら日々の心情を含ませている。
主にシルクスクリーンを用いて作品を制作している。
略歴
2000 大阪生まれ
2022.3 嵯峨美術大学 造形学科 油画・版画領域 卒業
現在は関西を中心に作家活動をしている。
卒業後の展示
Art Continuation Project 展
CrossOver Vol.38 in Bangkok
「呼吸」展
Art Continuation Project2展
自身の「理想」を表現する
―今、活動されている中で良かったことはありますか?
平良:作品を購入して下さった方の思い出とともに作品があるっていうことが、私にとって本当にうれしいことです。そこが活動したい理由でもありますね。
―やはり購入された方の反応ですか?
平良:反応とか感想をSNS頂いたりするときもあって、それを拝見すると本当に作っていて良かったなと思える瞬間ですね。
―大変だなとか苦労していると感じるところはどこですか?
平良:描けなくなる時期とかはしんどくなる時はありますけれど、それをどう理性的に解決していくかみたいなところがあります。
―描けなくなる時期というのはどのような状態ですか?
平良:なんというか、自分の理想のところまでもっていけない時期みたいなのがありまして。
―それは技術的な問題ですか?それともそれ以外の部分なのでしょうか?
平良:それ以外の要因になってくるんじゃないかなと思います。結構メンタル的な面とかあったりもして。
―ちょっとネガティブな部分も・・・
平良:そうですね。でも、そこもいい風に作品に出していけたら、理想に繋がっていくだなって思ってはいます。
―そうなんですね。
イラストを拝見していると、どちらかというとキラキラした綺麗で透明度のある印象ですが。制作の過程とかではそういうネガティブな部分もやっぱりあるんですか?
平良:私は作品にちょっとだけ、ネガティブ要素を入れたりするときもあって。
あまり気づかれなかったりするんですけど。
―そうなんですね。ネガティブなイメージに気づきませんでした(笑)
平良:それを自分の中でいかにして表に出さずに自分の中でどう昇華するかみたいな部分もあります。
―例えば?
平良:結構花をモチーフにすることがあるんですけど、花言葉とかが (笑)
―そういうことですね!
平良:はい。人の顔を描くときもちょっとコンプレックスを表現するとか。
―意外です。このきれいなイラストの中からそんなことが。
平良:どちらかというと、理想を描いているような形になるので、私自身は結構ネガティブかもしれないですね。
―自分の理想をこう表現している?
平良:理想を出しているっていう形なんで。
―理想の描きたい題材というのはどうやって探しているのでしょうか?
平良:たぶん自分の中に美意識があるんです。
特にメインとしては人を描きたいんです。学生時代に先生にご指摘頂いたことなんですが、平良さんには謎の理想があるよねと言われたことがあって。
顔の造形だったり、シルエットの形だったりの、理想が漠然となんですけどあって、それを描き出すみたいな部分で作っています。
―根本としては理想の人を描きたいという感じですか?
平良:そうですね。理想の人ですね。理想っていうのは日によって変わったりもするので、その時の理想を描き出して、それを作品にするみたいな。
―理想の人はどうやって見つけるんですか?
平良:普段から結構、本とか見たり、テレビとか見たり、その時にこの人のこの目は綺麗だなと思ったり、他の作家さんの絵とかも見るんですけど、その時のこの線の表現がいいなということを記憶しておいて、作品を作る際はそこからアイディアを出しているという感じです。
―自分の中で理想の人や綺麗なものをインプットされている?
平良:インプットしていることが大事かなと思いますね。
―ご自身の理想を描くためにインプットを大事にしていらっしゃるという感じですね?
平良:そうですね。移動時間とかにSNSで作品を拝見したり、結構色々見ていますね。
色々なことから形は得ることが出来るので、何見てもインプットできますね。
「人」を描く魅力
―作品を作られている中で大事にされていることはありますか?
平良:自分自身が見てきれいな作品、自分が好きであることが大事かなと思っています。
たぶん自分が好きじゃなかったら相手も絶対に好きになってくれないというのをずっと思っているので、そこだけは納得したものを出すようにしています。
―平良さんは人をモチーフにした作品が多い印象ですが、人が好きなんですか?
平良:人が好きなんですかね(笑)
―人以外のモチーフも描かれたりするとは思いますが。
平良:高校の頃とかは、部活の影響で抽象画を描いたりしていましたが、その時からずっと裏とかでは人の絵を描いていて、っていう形でしたね。
―小さいころから、イラストは好きだったんでしょうか?
平良:覚えているのは、小3くらいから友達と集まって描いていたりしていました。
―その時から、人を描いていた?
平良:人を描いていました。
―子どもの頃って漫画とか・・・
平良:そうですね。漫画からの影響も大きいですね
―昔は漫画を描きたいという気持ちもあった?
平良:昔は結構模写をよくしていまして、漫画の表紙だったり、あとはアニメの一部を見て模写していました。
―その時の模写していたことが、今に繋がっている感じってあったりしますか?
平良:そうですね、イラストから写して版画を作るっていう意味ではその時の感覚があるかもしれないですね。
―人を描く魅力っていうのはどんなところにあるのでしょうか?
平良:やっぱり、一番身近だからですかね・・・。
身近だからこそ、こういう形であってほしいみたいな(笑)。そういう面があるのだと思います。
―よく目にする人を造形としてきれいな所を描く感じが自分の中で好き?
平良:そうですね。内面でも、何と言うんでしょう・・・思うところはあって描き始めている部分はあります。
―では、描かれる人物に対して、その方の背景とか、性格とか、というのはある程度イメージされながら描かれているのでしょうか?
平良:背景とか性格は作らないようにはしています。状況とかどっちかというと私の心情に近い感じの部分がありますね。
―その時の気持ちや感覚の表現?
平良:表現が近いかなと思いますね。毎回、描いている人のモチーフは私の頭の中で作った人を描いていて、私の理想の形をしているんですけど、描き始める要素としては多分、今の心情から描き始めることが多いですかね。
―作品の人を通して平良さんがいる感じですね?
平良:いたらいいなぁ(笑)
―そういうことですよね(笑)。気持ちを表現しているんですもんね
平良:表現して、ただそれを直接知られるのは恥ずかしいみたいな所はあるので。
―人という造形を通して・・・
平良:造形を通して、みたいな(笑)
―平良さんが人を描く上で大事にされているのは、自分が綺麗だとものを描かれているとのことでしたが、その上で自分の負も踏まえた感情を作品に表現されていますよね。
綺麗なだけだとダメなんですか?
平良:なんか、そこもきれいだと思うんですかね・・・?美しいのには棘があるではないですけど。
そういう、本当にきれいだけで成り立っていないからこそ、強くきれいみたいな。
―より美しさがあると?
平良:そういう部分もあると思います。
―今後こういったことがしてみたいという展望や予定があれば教えて頂けますか?
平良:今回、このお話を頂く前からグッズ展開を考えておりまして、絵が人に届くことが好きなので、色々な人に作品が届いてほしいなという気持ちがあって、今後はそこにも力を注いでいけたらなと思っています。
―最後にファンの方に一言お願いできますか?
平良:応援して下さってありがとうございます。これからもご期待に添えるように精進していきます。