未だに試行錯誤中
―現在の活動内容について教えてください。
46: イラストやグッズを販売するイベントなどへの参加やSNSでの作品の発表を主にして活動しています。

―46さんの作品はいろいろなジャンルにマッチしそうですが、どういう依頼が多いなどありますか。
46: VTuberの活動されてる方などの個人の方からの依頼が多く、内容は動画のサムネイルや歌ってみたのMVのイラストが多いです。
あとはSkebなど、仲介会社を経由して依頼していただくことも多く、その場合はオリジナルキャラクターやVTuberのキャラクターのイラストの依頼が多いです。
―絵を仕事にしようと決心したきっかけや理由を教えてください
46: 私は幼いときから絵を描くことが好きで将来絵に関するお仕事をしたいと思っていましたが、漫画家やイラストレーター、デザイナーなど、絵の仕事の中でどれになりたいかは全く決められていませんでした。
大学生になってから就職が目前に迫ったこともあり具体的に考え始めましたが、結局自分がどんな仕事をやりたいか分からなくて、『絵に関わる仕事』という大きなくくりの中で就職活動をすることにしました。その結果、印刷会社さんに就職しましたが、働いていく中でやっぱり自分で作る側に回りたいと思い、退職いたしました。
仕事を辞めてからは、まずはイラストのお仕事での実績を作るために、SNSでの作品のアップや、学生時代にご依頼いただいた方に声をかけたり、skebなどのイラスト依頼の仲介サイトに登録したりなど、イラストの仕事をいただける環境作りを心がけました。
現在のメインはイラストレーターのお仕事と、美術大学様で非常勤講師として課題を採点させて頂くお仕事をいただいています。
―講師のお仕事は定期的にされているのですか。
46: 学校の方から春夏秋冬のシーズン毎に仕事をいただいています。私は教壇に立って教えるのではなく、1シーズン毎の大きい課題の採点をしてアドバイスする感じです。

―自分の作品の方向性はどのように固まっていきましたか。
46: 自分の好きなものを表現しようと模索してる中で、一番しっくりきた結果が今の方向性になりました。
―今の方向性に落ち着くまでにどのくらいかかりましたか。
46: 実は今もまだ落ち着いておらず模索中なんです。漫画チックだったり、絵画チックだったり、デザインチックだったり、イラストの表現には様々な方向性があると思うのですが、全部好きなんです。もっといろんな表現のものが描けるようになりたいのですがやっぱり難しいですね。現時点ではシンプルな表現や抽象的でわかりやすいデザインチックなものが今一番描きやすくて表現しやすい描き方かなと思っています。
でも、毎年いろんな方向性の表現を試すことも心がけています。今は創作の方だとカントリーや少し昔の少女漫画のような、『線が繊細なタッチのイラスト』に挑戦しているのですが、それとは別に今流行っている平成レトロを感じる表現も極めたいなという気持ちもあります。ですが今メインで描いている作風とは少しかけ離れているので、どのように描き分けるかで結構悩んでいます。でもこの辺を極めていけたらもっと楽しく表現の幅を広げた絵が描けるのではないかと思っているので、現在も頑張って模索中です。
絵に負の感情を持ち込まない
―絵を描くにあたって大切にしていることや意識していることを教えてください。
46: 負の感情を持ち込まないことを大事にしています。生活してるとどうしても暗い気持ちや辛い気持ちになることがあるのですが、その時の感情を出来るだけ絵には持ち込まず、描くときは全部楽しい、かわいい、綺麗などのプラスな気持ちをつめた表現をしたいなと思っています。もし負の感情をテーマにするとしても、自分のそのままの感情ではなくモチーフやカラーに変換して表現するようにしています。私の絵を見た人に、絵を描いてるときの私の気持ちが伝わったらいいなと思って描いています。

―影響を受けたクリエイターはいますか?また、どんな点で参考にされていますか?
46: 影響を受けたクリエイターさんはたくさんいますが、一番影響を受けてるのは『綿の国星』などを描かれている少女漫画家の大島弓子さんです。
10年ぐらい前に初めて見たときに、あまりの絵や世界観のロマンチックな可愛らしさと、イラストでも漫画でもどちらで見てもバランスや構成がばっちりの絵で衝撃を受けました。
繊細なタッチのふわっとした少女漫画を描かれる方で、レトロでカントリーな雰囲気の作風を描かれているのですが、時代を全く感じないというか、どんなタイミングで見てもどこか新しく、けれど馴染みがあってほっと安心するような作画で、柔らかなタッチや線、暖かでシンプルだけれど繊細さのある色味で表現される表現のかわいらしさ、とにかく全てがすごく素敵で大好きです。
色使いやデザイン的な面で影響を受けたのはミッフィーなどのキャラクターを手がけたディック・ブルーナさんです。色の数や全体のトーンを決める時に、ディックブルーナさんの色使いやその色の構成などを参考にしています。ディック・ブルーナさんの作品はどれもとてもシンプルなのに何が表現されているかわかりやすく、しかし決して単調なわけでもない、それでいてとても可愛いじゃないですか。
色は一番ダイレクトに視覚情報に訴えかけてくるものなので、ちょっと色の明るさや彩度を変えただけで、この絵はおしゃれな雰囲気だとか、かわいいやクール、派手やシックなど受け取る印象が大きく変わるんですよね。
ディック・ブルーナさんの絵のように直感的に訴えてくる、でも単純ではない構成の絵を計算的に出せたらすごくかっこいいなと思っていて、色や構造を決めるときによく参考にしています。
上達のカギは資料集め
―画力を上げるために実際にやったことやおすすめの勉強方法はありますか?
46: 私は高校、大学と美術系の学校に通っていましたが、表現に関しては学校で習ったことのほかに個人でいろいろ模索していた面が強いです。とにかくたくさんの資料を見て描くということをずっと心がけていました。わからないことは脳内の情報だけで勝手に補足するのではなく、実際のイメージに近い資料を納得いくまで集めて見まくります。例えばキャラクターがガッツポーズしているイラストを描く場合も、同じような構図の写真を大体100枚くらい集めてきて、それを見ながら補正しつつ、一番頭の中のイメージに近い構図を組み立てています。

―現在、どうやってお仕事をとられていますか?また仕事が増えてきた際にどのような基 準でお仕事を選ばれていますか?
46: サイト経由でお仕事を注文していただいたり、以前ご依頼をいただいた方からリピートでお仕事いただいたりすることが多いですね。お恥ずかしながら営業の上手なやり方がよくわかっていないこともあり、とにかく絵を描いてSNSにアップしながらアピールしたり、展示やイベントでの宣伝活動や、同業者のお友達に相談して紹介してもらうこともあります。
まだそんなに頂けるお仕事が多くはないので、もらった仕事はほぼ全て請け賜っています。
仕事に関しては、多い時もそうではない時も締め切り順に優先順位を決めて描いていますね。どうしても選ばなきゃいけないという状況になったときは、納期が1週間後などの短いものは申し訳ないんですけどお断りしたり、無償でのご依頼は全て断っています。
―クリエイターとして活動する上で不安はありましたか?また、どのように向き合ってきましたか?
46: クリエイターはフリーランスだとどうしても不安定な職業なので、仕事が途切れた時や、メンタル的に描くのが難しい期間とかだと、いつ仕事がもらえなくなるか、いつ描けなくなるか、誰にも見向きされなくなったらどうしようとかずっとよくない方向に考えてしまう時があります。でもそれらをただ考えているだけの時間はすごくもったいないので、とにかく何でもいいから手を動かして絵を描くようにしてます。
積極的な営業が苦手なら、もうとにかく絵でアピールしていくしかないので、創作のオリジナルの他にも、ニ次創作や落書きなどの自分の大好きなものを描いて発信するようにしてます。また、大好きな絵を描くことで自分の気持ちが落ち着くこともあり、どれだけ完成までに時間がかかってもいいからとにかく描き続けることで不安と向き合ってますね。どうしても描けないときはインプットが足りてない時だと思うので、その時は描くのは一旦完全に諦めて遊びに出かけたり、美術館や博物館、映画館などに行ったりしてインプットをしたりしています。あとは実逃避に近いんですけど、負の感情ばかり持っていても仕方がないので、楽しい方向にシフトチェンジするために遊ぶ予定をいっぱい入れたりして、気持ちや環境の整理をつけたりしてますね。
―絵を仕事にしていてよかったことと大変なことを教えてください。
46: 好きなことでお仕事ができて、自分の絵で喜んでもらえて、さらにそれでお金がもらえるというのがもう本当に夢のように嬉しくて、絵を仕事にできて本当に良かったなっていつも思っています。
私は要領があまり良くないので、できることを考えるとやっぱり絵を描くことなんです。自分の不甲斐なさに結構凹むことが日常生活で多いんですけど、絵を描いてるときは自分を好きになれるので、自分ができることで、さらに自分を好きになれることで仕事ができるっていうのが本当に嬉しいです。
好きなことでその能力を認めてもらえて、お金にしてもらえることは中々無いことなので、求めて頂けることが本当に嬉しくてたまらないです。
絵を仕事にしていて大変なことは、絵はその時期、時代、流行りによって求められるものが早く変化する、所謂ナマモノなので、常に練習やアップデートを意識しながら一定の評価をもらえる絵を維持し続けることがすごく大変だと感じます。

―最後に、今後の目標や展望を教えてください。
46: 広告などの人の目に触れたり直接手にとってもらえる絵のお仕事をしてみたいです。企業様のクライアントワークや、ポスターや版権もののグッズ、CDジャケット、本屋さんに並ぶ雑誌や本の挿絵や表紙など、絵そのものが商品の広告になる仕事を一度やってみたいですね。
あと昔からずっと目標にしていることがあるんですが、画集『ILLUSTRATION』シリーズに死ぬまでに1回載りたいです。この本に掲載されるようなクリエイターになれたら、きっとクリエイターとして生きていく中で一番の心の支えになるんじゃないかなって思っています。掲載されるようにこれからも頑張ります。

